「映画を見よう」



それは、一つの小包から始まった事。
配達物は、大きな大きな箱。誕生日プレゼントとして届けられたそれは、
本当に大きくって、中に何が入って居るのか、想像も付かない。
 目の前にあるその箱を見ながら、豪は呆れた様にため息を付いた。
差し出し人は『豪くんの幸せを願う人物』からとなっている。怪しい事この上ない。
「……爆弾じゃ、ねぇだろうな……」
 目の前の箱を見詰めながら、豪は思わず呟いて箱に耳を当てる。別段、何の音も聞こえない。
「…とりあえず、開けるか……」
 意を決して、箱を開けるが、開けた瞬間、目が点になる。
箱の中からは、また別の箱が出てきた。
そして、自棄になってその箱を開けて行けば、永遠と箱が入っている。
まるで、タマネギの皮を剥くサル状態で、豪はどんどん箱を明けて行った。
そして、残ったのは小さな箱。
「……これで最後だろうなぁ…」
 肩で息をしながら、掌に乗るくらいのその箱を持ち上げて蓋を開ける。

『ご苦労ざまでした。これが、私からのプレゼント。
 絶対にレツくんと、一緒に行ってねvv  より、愛を込めてvv』

「……」
 中から出てきたそのメッセージカードに、豪は言葉もなく立ち尽くす。
そして、更に出てきたのは、封筒に入った2枚の映画チケット。
 今人気のホラー映画。(何かは、謎ですけどね<苦笑>)
自分が烈と見たいと思ったその映画のチケットを前に、豪の顔がにやけてくる。


「烈兄貴!!」
 そして、そのチケットを手に持ったまま烈の部屋へと急ぐ。
「なんだよ、煩いなぁ……さっきから何バタバタしてるんだ、お前は!!」
「んな事はどうでもいいじゃんか!それより、映画行こうぜvv」
「映画?」
「そっ、 が兄貴と行けってチケット送ってくれたんだぜvv」
「……ふ〜ん、一人で行けば?」
 冷たく言い放って、烈はまた机に向き直った。
「なんで、 が絶対に、兄貴と行けって書いてるんだぜ、ほら!!」
 目の前に先ほど出したばかりのメッセージを置いて、豪は更に言葉を続ける。
「兄貴だって、 には世話になってるんだから、こんな事言われたら、断れないだろう?」
「……確かにそうだけど……でもなぁ……」
 乗り気ではない烈を前に、豪は最後の技とばかりにため息をつく。
「……兄貴は、俺と一緒に行くのがいやなのか?」
「えっ…別にそう言う訳じゃないけど……」
 段々と落ち込んで行く豪の言葉に、烈は慌てて首を横に振った。
勿論、イヤだなんて思わないのは本当の事。
「だったら、俺と一緒に、映画行ってくれていいじゃん…」
 『恥ずかしいんだよ!』と言う言葉を飲みこんで、烈はシブシブ頷いて返す。
「兄貴vv男に二言はないよな?」
 烈が頷いたのを見て嬉しそうに笑顔を見せた豪が、烈に再度問い掛ける。
 その言葉に意味が分からないながらも烈は頷いて返した。
「んじゃ、早く準備して、出掛けようぜvv」
「えっ?今からなのか?」
「そっ、今からvv」
 嬉しそうな豪に急かされるままに、烈は映画を見に行く事に決まってしまった。




 映画館の前に着いた瞬間、烈は頷いた事を深く後悔せずに入られない。
 目の前で上映されているのは、今話題のホラー映画である。
烈が、絶対に見たくはない部類の映画。
「ほら、入ろうぜ、烈兄貴vv」
 入り口で固まっている烈を促す様に背中を押して、豪はこれ以上無いほど幸せそうである。
 その後、その映画館に悲鳴が聞こえたとか聞こえなかったとか……xx
 それは、誰も知らない事である。


−end−




なんと!harukaさんがあいこが中途半端に終わらせた(爆)、
アノ企画にSSをつけてくださいました!
豪さん、映画は楽しかったですか?
そうですか。楽しかったのは映画じゃなくて烈の・・・そりゃぁ、まぁ、ねぇ?(笑)
Javascriptでお名前入りにしてみました。
harukaさん、ペケペケの企画では見事に出番のなかった烈を可愛く書いてくれてありがとう!!(笑)


<by あいこ>




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