何故か急に書きたくなったミレニアム記念。
でも2人は高校生。
高校生ってことはもうミレニアムでもなんでもないやん。





暗い部屋で、目が覚めた。
心細さに、隣にあるはずの温もりを求める。
人肌に触れて、安心する。
それが大切な人ならばなおさら。
ボクはゆっくりと体をあずけながら目を閉じる。

そんな、幸せな時間。





    「Stay」      





カーテンの隙間から陽がさしてきた。
豪の腕の中でまどろんでいたボクはそのまぶしさに身じろぎする。

「・・・あに・・き?」

寝起きのちょっとかすれた声。

「おはよ。めずらしいな、こんな早く起きるの」

「・・・おはよ。んー、でもまだねみぃ・・・・・・」

「今日、日曜だし、もう少し寝れば」

「んー・・・」

返事をしながら寝るなよ。
まぁいいか。
今日はなんだかすごく気分いいし。
ボクももう少しこうしてたいし。
少し体をずらして豪の顔を見る。
整った顔。
豪のくせに。
くやしいよなー、こんなに好きなんて。
鼻でもつまんでやろーと思ったら急に豪の腕が伸びてきた。
抱き寄せられて、自分が思っていたよりも肩が冷えていたことに気づく。
相変わらずくーかーという寝息をたててるけど。
その顔があんまり幸せそうだから。


ボクはなんだか泣きたくなった。










自分のすぐ近くの気配に、めずらしく、目が覚めた。
まだ、夜が明けたくらいの時間。
うっすらと目をあける。
隣を見ると、兄貴が気持ちよさそうにオレに寄り添っていて。
あまり見ることのない、その無防備な姿にオレは
それが現実なのか夢の続きなのかよくわからなくなった。
夢でもなんでいーや。
とりあえず、兄貴可愛いし。
オレは壊れ物を扱うように優しく兄貴を抱き寄せる。
この大切な人を胸に抱ける幸せ。
すごく、すごく、幸せなのに。

烈兄貴はなんだか悲しそうだった。

たとえ、夢の中でだって、兄貴にそんな顔はして欲しくなかった。
好きな人の幸せ=自分の幸せ
それって恋愛の初歩だろ?






「・・泣くなよ・・・・・・」
急に声が降ってきて、ビクッとする。
泣いてなんか、いない。
・・・・・・泣きそうだったけど。
大体お前、今、寝てたんじゃないのか?

「兄貴・・・泣かないで」

ゆっくりと持ち上がる手がボクの顔を探り当てて涙を拭うように目元をなぞる。
寝ぼけてるのか?
何の夢見てんだよ。
ボクは優しく豪の髪に触れると、子供に言い聞かせるように言う。
「大丈夫、泣いてなんかないから」
それでも豪の不安そうな表情は消えなくて。
相手はどうせ寝ぼけてるんだし。
起きたら覚えちゃいないだろう。

「別に、悲しいわけじゃないんだ。
 豪とこうしてると、すごく、幸せで・・・だから、恐い」

普段なら絶対言わないことを言っている自覚はあった。

「今が幸せなほど、その幸せが壊れるのが恐い」

豪の眉が困ったような形になる。
ごめん、困らせるつもりはないいだ。
例えば、僕らは男同士で、こんな非生産的な付き合いってないと思う。
例えば、僕らは兄弟で、誰かに知られたら、そこで僕らの関係は終わるんだ。
でも、今ボクが思ってるのはそんなことじゃなくて。
例えば。
あと100年も経ったら、きっと僕らはココにいないんだろう。
それは、「もしかしたら」の仮定じゃない、確実にやってくる現実。
そんなことが恐いなんて、お前は笑うかもしれない。
でもやっぱり。

「・・・・・・恐いんだ」

それほど、君に溺れてる。

豪の顔を見上げるとうっすらと目が開いていた。
ぎょっとして体を強ばらせると、ボクの顔を包んでいた手が背中に降りてきて
強く、強く、抱きしめられた。


こうしてもらうと、不安でしかたなかったボクの心が落ち着いていく。
この不安は消えることはないけれど、豪とこうしている間だけ姿を潜めてくれる。


もう少しだけ。
一緒に眠ろうか。









「豪っ!いつまで寝てんだっ!」
思いっきり布団を剥ぐと抗議の声があがった。
「さみー!!!って、兄貴何すんだよっ!」
「もう昼過ぎだぞ?いくら休みだからって寝過ぎだろ」
「・・・昼過ぎ・・?」
「っそ」
「もーそんな時間かよー・・・なんか損した気分・・・」
やっと体を起こした豪にもう安心と奪い取った布団を投げ返す。
「言っとくけど、オレは何回も起こしたぞ」
「・・・・・・・・」
「なんだよ。何か文句でもあんのか?」

「兄貴さぁ・・・朝泣いてなかった?」
「は?泣いてないけど?夢じゃないの?」
「そっかな・・・」

あぁ、そうだよ。
ボクはお前に弱みは見せないって決めてるんだから。

「あのさー」
「ん?ほら、早く着替えちゃえよ。下でトースト焼いといてやるから」
「烈兄貴」
「バターでいいか?ジャムきれてるんだよなー、確か」
「あと100年たったら、オレ達どうしてると思う?」

夢だって言ってるのに。

「100年後とか、オレ達、一緒にいられないかもしれないけど・・・
 でもさ、1000年後には、また一緒にいようぜ」
「・・・・・・」
「声も顔も今と違うだろうけど、それでも絶対、見つけだすから」
「・・・・・・何言ってんだ?お前」
「寝言」
「バーカ」
「そのバカが好きなくせに」
「うっさい」

あームカつく。
トースト、黒こげにして出してやりたいとこだけど。
寝言じゃしかたないか。
今回は勘弁してやろう。


「早いとこ顔洗って目ぇ覚ませよ」
「おー。あ、コーヒーも入れといて」
「調子のんな」



約束をしよう。
闇が僕らを引き裂いても、1000年の果てに再び君に出会えるように。
違う涙を拭くことがあっても、最後には君に帰ってこられるように。


1000年ごと、君とかわす、愛しい約束。



きっと、次も2人は恋におちる END
なんか勢いで書いてしまった突発SS・・・。 こんなことしてる場合じゃないだろ、自分!原稿やれ、原稿ー!! イメージソングは2曲あります。分かる人だけ分かって下さい。<バレバレ いつものことだけどこの消化不良気味の終わり方、どーにかならんのかね・・・。
NOVELのTOPへ戻るHOMEへ戻る