低年齢化しすぎて幼稚園になってしまいました(笑)。
幼稚園ってネタに困らないから書きやすいわぁ。
「HENCE」
「うわぁあぁあぁん」
涙をぽろぽろ流しながら声をあげてる小さな女の子。
隣には風船の切れ端を持った青い髪の男の子。
女の子は木を見上げていた。
正確には、木に引っかかっていた風船を・・・悲しそうに。
それを見つけた豪は女の子に話しかけた。
「あのふうせん、とりたいの?」
女の子が肯くのを見て、「ちょっとまってて」と、いうと
スルスルと木に登っていく。
紐に手が届いて、それを引っ張った瞬間。
パーンッ
木の枝に引っかけられた風船は赤いゴムの切れ端に変わって。
女の子は風船が割れてしまったのが悲しかったのか
破裂した音に驚いたのか、豪が下に降りてくると泣き出してしまった。
豪は期せずして女の子を泣かしてしまい、おろおろしていたが
とりあえず泣きやんでほしくて、声をかける。
「・・あのさ・・ごめ・・・」
「きゃぁっ!ウチの子になにするの?!」
そこへ、我が子が泣いているのを見つけたお母さんが2人の所に飛んできた。
「あ、えっと、おれ・・・」
豪はどうして女の子が泣いてしまったのかを説明しようとしたが
母親には自分の子が泣いている、ということしか頭にない。
「うちの子に乱暴しないで!」
どうして?
なんでおこられるの?
ふうせん、わっちゃってごめん、っていいたかったのに。
「行きましょう。もうこんな子と遊んじゃダメよ」
どうしてきいてくれないの?
「・・・・うるせー!クソババァ!!」
「・・っな・・!」
豪はそう叫ぶと、きびすを返し駆け出した。
悔しくて、悲しくて、涙が出る。
豪は女の子に笑ってほしかっただけなのに。
ねぇ、おれ、わるいこなの?
あのこに、はなしかけなければよかったの?
豪は走っているうちにいつも遊んでる公園にたどり着いた。
中を覗くと砂場で兄の烈が遊んでいるのが見える。
豪は涙を袖口でゴシゴシと拭くと、砂場の方へと走った。
烈は何かを一生懸命作っていて豪には気づいていないようだ。
「れつにぃちゃんっ」
烈の横にしゃがみ、顔をのぞき込むと、烈はやっと豪に気がついた。
「あ、ごぉ」
「ねぇ、にぃちゃん、なにつくってるの?」
「んとね、お山だよ。すっごい大きいやつ、つくるの」
手にシャベルを持ちながらにっこり笑う烈を見て、
豪の中でさっきまでの嫌な気持ちが消えていく。
「おれもいっしょにつくる〜〜っ」
「じゃぁこれかしてあげる」
豪は烈からシャベルを受け取り、砂をかき始めた。
「おっきいお山をつくるときは、お水でかためながらやるんだよ」
烈の近くにバケツを見つけると豪は
「じゃぁ、おれ、お水もってくるっ!」
と言って水飲み場に駆け出した。
「ごぉーっ、走るとあぶないよー」
「へーきっ!」
早く烈の所に水を持っていきたくて、豪はバケツに水を汲むと走って砂場に戻ってきた。
しかし、走っている間にバケツの中身はほとんどこぼれてしまって
烈に渡したバケツの中にはほんのちょっとしか水が残っていない。
「もぅ、走っちゃだめだっていったのにー」
烈がぷぅっと頬を膨らますのを見て、豪は慌てて烈からバケツを奪い返した。
「もーいっかい、行くっ」
烈が何か言葉を返そうとした時には、既に豪は水飲み場へ向かっていた。
今度は水をこぼさないように、ゆっくりと慎重に歩いて来る。
「今度は、いっぱいお水入ってるよ」
「ありがと」
烈が笑うのを見て、豪も嬉しくなる。
「どこにかければいいの?」
「んとね、ぜんぶにかけるんだけど・・・」
豪は烈の言葉を最後まで聞く前に作りかけた山の上にバケツの中身をまいてしまい・・・。
「あ・・・」
なみなみと入っていた水が流された勢いで山は崩れ、砂が吸収しきれなかった水は
烈が掘っていた溝へ流れていった。
豪の頭に、さっきの女の子の泣き顔と、母親の怒った顔が浮かぶ。
「川になっちゃったね」
烈は楽しそうに笑って豪の方を振り返った。
あれ?
れつにぃちゃん・・おこってないの?
「ごぉ?どーしたの?」
バケツを持ったまま黙りこんでる豪に烈が話しかける。
「おれ、もっとお水もってくるっ」
「ごぉ?」
れつにぃちゃん、おこってなかった!
きっと、川がすきなんだ。
いっぱい、いっぱい、お水もっていってあげたら
にぃちゃん、きっと、もっと、わらってくれる!
豪は何回も往復して、水を汲んできた。
しかし、烈の掘っていた溝の許容量を超えた水は、今度はそこから溢れだしてしまった。
今度こそ、怒られちゃう。それより、烈が泣いてしまったら。と思うと
豪の方が泣きたくなった。
「ご、ごめん・・なさい」
必死に、涙をこらえながらやっと言葉を出すが、返事が返ってこない。
顔をあげると自分の前にいたはずの烈の姿が見えなかった。
やっぱり、にぃちゃんおこっちゃったんだ・・・。
我慢していた涙が溢れそうになったとき、後ろからポンと背中を叩かれた。
「こんどは、海になっちゃったからお船で遊ぼう?
こっちがぼくので、これが、豪のね」
烈はどっかから拾ってきた葉っぱを1枚、豪に渡しながらそう言った。
「あ・・・れ?・・ごぉ、どうしたのっ?
どこか、痛いの??」
豪の目に涙が溜まっているのを見て慌てた烈は豪の背中をさすりながら心配そうに
下から顔をのぞき込む。
豪は首をぶんぶんと横に振ると、烈に抱きついた。
「ごぉっ?」
烈は豪の行動がわからなくてますます焦る。
「お山・・・こわしちゃって、ごめんなさい・・・・」
抱きついたままの格好で豪がそう言うと烈は豪の頭をなでてあげた。
烈はどうして豪が謝るのかよくわからなかったけれど、
自分が泣いてるときにはお母さんがこうやって、いつも頭をなでてくれるから。
××× ××× ×××
「「ただいまぁーっ」」
「おかえり・・・っ、なんだい?2人とも泥だらけじゃないか!」
「お砂場であそんできたの」
「んとね、にぃちゃんとお舟でかけっこしたー」
良江はこんなに泥だらけじゃぁ、他の服とは一緒に洗えないわね。と
手間を増やしてくれた息子たちに少し頭を痛めたが、腰をかがめて優しく微笑みながら
「そうかい。で、楽しかったの?」
と、答えの分かりきった質問を2人にした。
「うん、すっごくたのしかった!」
「えっとね、えっとねっ」
「そう。じゃ、後でゆっくりと聞かせてもらうから、先にお風呂に入ってきなさい」
「えっと、れつにぃちゃんとお山つくって、それで・・・」
「はーい。・・ごぉっ、行くよ」
まだ話をしたそうな豪を連れて、烈はお風呂場へと向かった。
烈に無理矢理ひっぱられた豪が不満の声をあげると
烈は豪の腕を掴んでいるのと反対側の手をそっと開いた。
小さな手のひらの中には、葉っぱが2枚。
烈は少し声をひそめて豪に耳打ちした。
「おふろで、もういっかい、きょうそうしよう」
「ねぇ、れつにぃちゃん。おれ、れつにぃちゃんのこと、いちばんすき!」
「うん。ぼくも、大好きだよ」
おわり。
低年齢化しすぎ(笑)。5歳と4歳ってとこですかねぇ。
しかも、言いたいことがよく伝わらないよ、これじゃぁー(T_T)。
あいこが何を言いたかったかなんとなくわかる、という方は
エスパーの素質を持っていると思われます。
お近くの超常現象研究所に行ってみると良いかもしれません(笑)。
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