中学生?・・・んー、高校生くらいかなぁ?
よくわかんないや。




「TIME」





広いのか、狭いのか・・・それさえもわからないような暗闇の中で
ボクは膝を抱え込むように座り込んでいた。
見慣れたものよりも一回り小さな自分の手の中には・・・砂時計。

「何してんだ?」
突然、頭上から声が降ってきた。
見上げてみたけれど、背が高すぎるため暗やみに紛れた顔は
ボクからは見えなかった。
本当は顔なんて見えなくても、声でわかる。
ボクは視線を自分の手に移すと、彼の質問に答えた。
「時計を、見てるの」
「おもしろいのか?」
「この砂が、全部下に落ちちゃわないように、見てるの。
 それだけ。
 別に、おもしろいからみてるんじゃないよ」
「どうして、砂が落ちきるとダメなんだ?」
さっきから質問ばかりだ。
「1度途切れたら・・・・終わりだから」
彼は"何が?"とは聞いてこなかった。


砂が落ちるまでの、短い時間。
ちょっと目を離せば、その隙に最後の一粒が落ちてタイムオーバー。
だから、注意深く見ていなきゃいけない。
砂が落ちきる、ほんの少し前に時計をひっくり返す。
限りのある時間をつなげていくことで、いつかは永遠を得ることもできるかもしれないから。
ただ。
ただ、それは、いつ途切れてもおかしくない、不安定な空間しか作り出せない。


しばらく沈黙が続き、ボクは頃合いを見て時計をひっくり返した。
砂が逆流して、新しい時を刻み始める。
「もう・・・・・・つかれちゃった、な」
苦しくて。
つらくて。
何度も、何度も、もうやめてしまおう。と、思うのに。
それでも、もう少し。
もう少しだけ、この時間をのばしたいと願ってしまう。
目の前に立つ、"彼"と一緒にいられる時間を。
「それでも、やめないのか?」
「やめてしまったら、もっと辛いから」
「そんなに大切なの?」
「うん。・・・・・一番、大切なものなんだ」
「じゃぁ、こうすれば?」
「・・・え?」
大きな手が、ボクの手から砂時計を取り上げた。





コトン。





横向きに置かれた砂時計は時を刻むのを、やめた。
上と下とを行き来していた砂はゆっくりと横たわっている。
静かに。
もう、砂が途切れることは、ない。


「これなら、ほっといても砂が途切れることねーだろ?
 だから、もう時間を気にするのは、やめろよ」
彼が、かがみ込んできたおかげで、少しずつ顔がはっきりと見えてきた。
ほら、やっぱりコイツだった。
「これからは、オレのことだけ見てて。
 ずっと、2人でいよう」






   ×××   ×××   ×××







「・・・・・・・。」
変な夢。
隣で平和そうに寝ている豪のほっぺを思いっきり引っぱってみた。
「うにゅー・・あにふるんらよぉ・・・・」
「お前、コロンブスの卵って知ってるか?」
「ぅあ?・・・食ったことない」
当たり前だ、バカ者。
食ったことある奴なんかいるか!
さては、ほんとぉ〜のバカだな、お前。
夢の中とはいえ、こんな奴に教えられるなんて、シャクだよなぁ。
でも、まぁ・・・・・・。
「豪っ!起きろよ」
「・・・んだよ〜、もう少し寝かせてくれよ・・・今日休みだろぉ」
「あっそ。
 天気いいから、外でデートでもしようと思ったのに。
 いーよ。誰か他の人誘うから」
と言って、ベッドから出ようとするとパジャマの端を引っぱられた。
「今起きる・・・」
半分眠りながら、よく言うよ。
豪の手を離して、ボクももう一度布団に潜り込んだ。
「あに・・きぃ?」
「もう少しだけ、な」
そう。
時間はまだ、たっぷりあるし。
慌てる必要なんてナイ。

でも、午後になったら一緒に出かけよう。
明るい太陽の下を、一緒に歩きたい気分なんだ。







END


なんで2人で同じベッドで寝てるんでしょう? パジャマ、来てるけどね(笑)。 夢の中では豪くんは高校生あたりで烈ちゃんは小学生くらい。かな。 でも夢を見てる烈の意識は高校生(複雑^^;)。 NOVELのTOPへ戻る HOMEへ戻る