「ゆびわものがたり」
◆1◆
「烈兄貴〜、手ェ出して〜〜〜〜〜♪」
「・・・・・なんで?」
怪しい、怪しすぎる。
豪が面倒な事まきおこす天才なのは分かりきってるにしても、
こんな笑顔で寄ってくる豪に不審感を抱かない方がおかしい。
にこにこしながら、豪が『ホラ』と僕の手を取った。
「イーものあげるカラ!」
「・・・・・!?」
そして豪が僕の手を離した、そこには・・・・・・・・・
ジャーン!! ラバーリング〜(^^)」
すばやく右手の薬指に指輪がはめられていた。
シルバーの台に透明なピンクがかった石。
真ん中だけ、淡く紅色ですごく奇麗。
え?で、でもラバーリングって・・・・・・・///
「うれしい?」
自分こそ嬉しそうな顔をして豪が聞いてくる。
そりゃ、ちょっとは・・・ってゆーかかなり嬉しいかも。
でも、性格上そんなこと言えないじゃないか。
「ば・・・っか、こーんなおもちゃ・・・・・///」
なんでもないフリをして、でも照れているのはバレバレで、
真っ赤になりながら、その指輪を指から外そうと慌てた。
だって、嬉しいけど、小学生男子がこんなのつけてるわけには・・・・・・
「・・・・・・・・・・?」
・・・・・・なんで?
豪がはめたときはあんなにカンタンにはいったのに。
「そのゆびわさ」
豪がそれを見て、心底楽しそうにとんでもないことを言ってのけた。
「送った相手とHしないと外れないんだ〜♪」
烈の頭の中でドラクエの呪いのメロディーが流れた気がした。
『指輪は呪われていた』
◆2◆
フザけんなよ〜〜〜〜〜ッ///
悪あがきにしかならないとしても、外れない指輪をどーにか外そうと
がんばるけど・・・・・・マジでこの指輪って・・・・・
「だから呪われてるんだってばー」
もーあきらめれば?
ってカオで豪がそんな僕をながめていた。
『外すためにはオレとHするしかないんだぜ』って言ってるみたいで。
指輪が外れない苛立ちと、それを引き起こした豪への怒りがその瞬間に爆発する。
「〜〜〜〜〜〜〜ッ、このばか----------ッ!!!」
指輪をはめた拳で豪を張り飛ばす。
「・・・・・ばかっ」
ホントにばかなんだから。
指輪はめられたとき、ドキドキしたのに。
・・・・・うれしかったのにな。
指輪がはめられた手を、見ているとくやしくって思わず目元が熱くなる。
「・・・・・・あのさ」
殴られた顔をおさえながら、豪が困った顔で烈を見つめる。
泣くほど嫌だった?なんて気にしながら。
「ホントは違うんだ、呪いとく方法」
ゴメン、とあやまって豪がうつむいた。
「兄貴が・・・・・・1番好きな人と結ばれると解けるんだ」
だから、オレじゃなくてもいいんだよな。
さみしそうに、豪はつぶやくけど。
でも、でもでもそれって。
聞いて、僕はさらに頭を抱えてしまった。
・・・・・実質、変わんねーってことじゃん(><)
◆3◆
「だぁってさー、ソッコーでアメリカとかドイツとかに行かれたらヤだもん」
だから、はじめにあんな嘘ついたのだと豪は泣きまねしながら弁解した。
「そしたらオレ、たちなおれねーじゃんか」
そりゃ、僕のこと大好きっていう豪にとってみれば、そんなことになったら
やぶへびもいーとこだろうけど。
そんな豪の気持ちは分からないでもないけど、でもっ
「・・・・・豪」
こんな指輪、僕にはめたのはそれ以前の問題!!
「考えナシで行動すんのヤメロっていつも言ってるだろー!?
しかも、いつもいつも僕をまきこむなっつーの!!」
大声でしかられて、豪が『キャー』っと身を縮める。
下心が、ダメなんて言ってるわけじゃないじゃん。
・・・・・こんなことしなくても。
でも・・・僕には理由は必要なのかも。
黙りこんでしまった烈を、豪がそっと閉じていた目を薄く開きながらうかがう。
「あにき?」
赤い顔で、ため息をついてから、そっと着ていたジャケットから腕をはずした。
「・・・・・ゆ、ゆびわはずす為だからなッ///」
おわり
ライジさんの話によると、この後指輪ははずれたらしいです。
つまり・・・・・・!!!(笑)
素直になれない烈がもうサイコーに可愛いです・・・(うっとり)。
ライジさん、ありがとー!
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