かなぼーの絵本 ★★★ クジラの夢

※これは単なる夢物語ではありません




クジラが座礁したというニュースを聞いた
僕はスケッチブックにクジラを描いてみた

「クジラっておたまじゃくしの親分だよね
でもって頭の上から潮吹いて・・」

なんか違う気がする


その夜

「ガターン!ドスーン!」

激しい物音で目が覚めた
そこには僕の描いたクジラがいた
そして、僕を食べようとした


僕は必死で逃げた

クジラがどこかに消えてしまった後、
真っ白なスケッチブックだけが残っていた


次の日、僕は亀じいのところに行った
彼ならクジラを知っているかもしれない

亀じいはスケッチブックにクジラを描いてくれた


その夜、またもや物音で目が覚めた

あれ?誰もいない

スケッチブックには、ちゃんとクジラがいる
誰かが外から窓を叩いていた


窓を開けると、ペンギン達が飛びこんで来た

そして、スケッチブックのクジラと一緒に、夜の空へと消えて行った


不思議なことに、朝になるとスケッチブックにはクジラが戻っていた

それから毎晩のように、ペンギン達はクジラを呼びに来た


ある晩、僕はくじらにしがみついた


クジラ達は歌いながら飛び続けた

海へ行こう
海へ行こう

僕はいつのまにか眠ってしまった


朝になるとベッドにいた
クジラもスケッチブックの中にいる
あれは夢だったんだろうか?

僕はスケッチブックに海を描いた


その夜もクジラ達は飛び立っていった
そして、二度と戻って来ることはなかった


スケッチブックには海だけが横たわっていた
クジラ君、良かったね

これで、僕も平和な夜が送れる


・・はずだった

THE END


☆☆ コメント ☆☆

 クジラは

   深い海の底で何を見たのだろう?
   遠い北の果てで何を聴いたのだろう?

 ただ一つ言えることは

   クジラは僕らよりもたくさんの地球を知っているってこと