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クジラが座礁したというニュースを聞いた 僕はスケッチブックにクジラを描いてみた 「クジラっておたまじゃくしの親分だよね でもって頭の上から潮吹いて・・」 なんか違う気がする |
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その夜 「ガターン!ドスーン!」 激しい物音で目が覚めた そこには僕の描いたクジラがいた そして、僕を食べようとした |
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僕は必死で逃げた クジラがどこかに消えてしまった後、 真っ白なスケッチブックだけが残っていた |
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次の日、僕は亀じいのところに行った 彼ならクジラを知っているかもしれない 亀じいはスケッチブックにクジラを描いてくれた |
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その夜、またもや物音で目が覚めた あれ?誰もいない スケッチブックには、ちゃんとクジラがいる 誰かが外から窓を叩いていた |
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窓を開けると、ペンギン達が飛びこんで来た そして、スケッチブックのクジラと一緒に、夜の空へと消えて行った |
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不思議なことに、朝になるとスケッチブックにはクジラが戻っていた それから毎晩のように、ペンギン達はクジラを呼びに来た |
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ある晩、僕はくじらにしがみついた |
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クジラ達は歌いながら飛び続けた 海へ行こう 海へ行こう 僕はいつのまにか眠ってしまった |
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朝になるとベッドにいた クジラもスケッチブックの中にいる あれは夢だったんだろうか? 僕はスケッチブックに海を描いた |
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その夜もクジラ達は飛び立っていった そして、二度と戻って来ることはなかった |
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スケッチブックには海だけが横たわっていた クジラ君、良かったね これで、僕も平和な夜が送れる |
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・・はずだった |