ねこコラム

かなぼー

クジラのいる海

クジラのいる海

僕とクジラとの関わりはそれほど深いわけではないが、一度だけクジラと遭遇するチャンスがあった。
数年前、沖縄にホエールウォッチングに行った。でも、海が荒れていて見られたのは波しぶきばかりだった。
その時はザトウクジラが見られるはずだったのだが、最近はまっているのはマッコウクジラ。

今年になって、静岡の海岸でマッコウクジラが座礁したというニュースを聞いた。
砂浜に横たわるその姿はとてつもなく大きかったけど、どこか愛らしさを感じた。
僕も「頑張れよ!」って願ったけど、ダメだった。

それからだった。マッコウクジラを描こうと思ったのは。
さて、想像だけで描いてみると、なんだかグロテスクなものが出来上がった。
そこで、図書館に行き、図鑑を借りた。僕は、その本の虜になってしまった。

マッコウクジラの生態は不思議なことだらけだ。
雌は、暖かい海で、子クジラ達を育てながら集団で生活する。
なのに雄は、ある程度成長すると、雄だけの群れをなし極海をめざして旅立って行く。
彼らは成長とともに群れの頭数を減らし、次第に単独で生きていくようになる。
やがて、約20年の年月を経て成熟した後、繁殖のために雌のいる暖かい海へと戻って来る。

気が遠くなるほどスケールの大きな話だ。
また、別のページには、マッコウクジラは水深3000mまで潜ることがあると書いてあった。

クジラは寂しいなんて思わないのかな?
僕はつくづく自分がちっぽけな猫であることを思い知らされた。
そして、人間がクジラを大事にしたがる理由が分かるような気がした。