イラストについて  ちょっと真面目な話 その1
→BACK

1.出会い

絵について、これまで専門的に学んだことはなかった。
小さい頃、アトリエに2、3年通ったことはある。
油絵もちょこっとだけ習ったが、静物画のデッサンにはすぐに飽きてしまった。
絵を学校で習ったのは義務教育まで。
美術の授業は楽しかったのだが、片付けが面倒なのと時間内に終わらないのが嫌なので、高校では音楽を選択した。

両親も美術とは無縁の凡人だったが、絵画展などにはよく連れて行かれ、素人なりに批評しているのを聞いていた。
抽象画や人物画(ヌードなど)にあまり興味がわかないのも、絵の持つストーリーにこだわるのもその影響かもしれない。 そして他人と違うものを求める強い思いも、もしかしたら両親に対する挑戦かもしれない。
もっとも、彼らが好きなのは絵画なので、私の目指すイラストは好みでないかもしれないが・・。

退職後、たまたま出した公募をきっかけに通信制のイラストスクール(講談社フェーマススクール)へ勧誘され、罠だと知りつつも入会してしまった。(1999年8月)
これまでイラストの世界というものを知らなかったし、絵描きなんて苦労するだけでなるもんじゃないと思っていた。
でも、その時に見せてもらった公募の大賞作品や、イラストックという業界向けの冊子が私を思い立たせた。
そこには私の好きな自由な世界が広がっていた。
もともと創作するのは好きだったから、見ているだけでワクワクした。
でも、画材のことなんて何ひとつ知らなかったし、ただひたすらすごいなぁって感動していた。(^^;

2.学ぶ

前述のイラストックは掲載されている人でさえもらえない高価なものなのだが、勧誘時に「くれ!」と言っておいたのが良かったのか、入会時に一緒に送られた来た。
しばらくは、それに魅入っていた。
フェーマスのテキストや課題もそれなりに勉強になった。(最初の頃はちゃんと真面目にやっていた)
でも、一番勉強になったのは、沢山の絵を見ることだと思う。
イラストを習い始めて色んな絵を見る機会が増えたことで、自分も描きたいなって思った。
インターネットという場がさらに多くの機会を与えてくれた。
自分の絵も公開した。
はっきりいって他人に見せられないような酷いものもあるが、それでも感想を言ってもらえるというのは励みになるし、次はもっと良い絵を描こう!っていう自分に対する叱咤激励でもある。

3.相性

私は物事を楽しむことにかけては天才的だと思う。
絵に向いているとしたら、多分そんな性格だろう。
どんなにつまらない時でもなにか楽しみを見つけようとするし、くだらないことをあれこれ考えたりするのが好きだ。
だから私にとっては、暇で死にそうなんて時はあり得ない。

熱しやすく、何かを始めると入り込んでしまうのも絵向き?
(どうでもよいところに凝り出してしまうので、仕事には向かなかったが(--;)
ただ、問題は飽きっぽい性格と、切り替えが下手なところ。
一つのことにはまると他のことに気が回らなくなる。
だから、現在の悩みは趣味のスケートとの両立。
ほどほどに付き合うってことが出来れば、ギターだって続けられたかもしれないのにねぇ。

4.技術

アクリル絵の具さえ知らなかった最初の頃は問題外だが、もともと専門的に習ったことのない私の技術なんて酷いものだ。
(インターネット上だと粗が目立たないので、多少の誤魔化しは効く?)
それに、なにぶん飽きっぽい性格なので、地道に練習するということが出来ない。
なので、好きなものを描きながら練習し、その結果失敗する。(^^;

私の絵は多くの失敗が作り上げた絵だと思う。
描く前にある程度の計算はするのだが、計算通り描けた試しがない。
なのでどうやって描いたのか、本人にすら分からない。
あえて言えば、失敗を修正しながらひたすらチマチマ塗り重ねればああいう絵になるのだ。(^^;

5.ストーリー性

常々、ストーリー性のあるイラストを描きたいと思っている。
といっても、私の言うストーリーってのは断片的なものが多いかもしれない。
伝わりにくいものもあるかもしれない。
でも、何か感じてもらえればそれでいい。(イラストとしては失格か?)
イラストを描く時、最初にテーマを考える。
考えるといっても、無理にひねり出すのではなくある時突然アイデアが思い浮かぶ。
過去に見たものや出来事が断片的なイメージとなって、私の頭の中を巡っている。
たとえどんなに些細なものでも、この空気が好きだと感じられる瞬間、たぶんそういうものが沢山ある。
それらがまれに結び付いてストーリーを作る。
そこからどうやって絵にするかがイラスト作りの作業。
構図をどうしようか、何を登場させようか、悩むところである。

断片的なイメージのまま絵にしてしまい、後からストーリーが浮かぶこともよくある。(^^;
また、描きながらストーリーがさらに発展して行くこともある。
それはそれでいいと思う。
問題なのは、描いている途中で別のストーリーが浮かんでしまうこと。
絵の主題から外れてしまい、ピンボケ気味の絵になってしまうのだ。
それだけは直したい部分である。(^^;

6.なぜ描くのか

イラストを習う以前からの話しだが、私の頭の中には印象的なシーンが沢山ある。
それを何らかの形で残せたらってずっと思っていた。
絵でも、写真でも、音楽でも、文章でも何でも良かった。
そんな時に、たまたまイラストに出会っただけのことである。
オーロラを見たい!と思ったのもイラストを習うずっと前だし、イラストでなくても何かの形で残そうと思っただろう。
要するに、描きたいものがあるから描く!
私にとって、イラストは自己満足の世界っていうわけである。(^^;(やっぱ職業には向かないかも)
でも、それを他人が見て何かひとつでも感じとってくれたら嬉しい。
だから、

斬新な絵よりも、見ていてほっとするような絵を描きたい
私が好きな空気を描きたい
少しでも希望を感じられる絵が描きたい

と思う。