フィンランド旅行記(3/4)

8.ロバニエミ

フィンランド滞在5日目の朝、レヴィに別れを告げ、送迎バスにてロバニエミへ向かった。
空の大部分は朝焼けで真っ赤に燃え上がっていたが、真上の方はだいぶ青空が見え始めていた。久しぶりに太陽を拝むことができるのだろうか?
日が差してくる方向の地平近くには厚い雲が覆い被さっている。

今か今かと待ち遠しく思う。
フィンランド人の気持ちが少しは分かるような気がする。(?)

途中、長いドレープのような雲を見たので、勝手にオーロラ雲と呼んでいた。
オーロラが強烈な日差しを受けて、光を散乱するようなことはないのだろうか?昼間だって、磁場があるのは一緒なのだから。ごちゃごちゃ考えながら、せめてもの美しい朝焼けを堪能した。
結局、その日もついに太陽は見えずじまいであった。

ロバニエミに着いた時はこれまでになく冷え込み、ここに来て初めて寒さを痛感した。(街頭の温度計はマイナス16℃を示していた。レヴィにいた時よりも薄着をしていたこともあり、余計に寒く感じた。)
バスを降りると、別の日本人スタッフが乗用車で出迎えてくれた。
私達はロバニエミからヘルシンキ行きの寝台列車に乗る予定だったので、その手続きと簡単な説明をしてもらった。

また、私達の他に二人の日本人観光客がいて、一人は完全な個人旅行(それもスカンジナビア航空で乗り継いできて、宿泊先も現地で探していた)で途中のシティホテルで降りてしまったのだが、もう一人の日本人観光客とその日の行動を共にすることとなった。
彼は、黄色いダウンになぜかカウボーイハットを被っており、短髪で黒縁の眼鏡をしていた。実は、レヴィに到着した時から、彼の存在は気になっていた。
というのも、相棒が「大学の同級生に似てる!」なんて言うから妙に意識していた。顔を見る度に「怪しい。似てるなー。」なんて言うのである。
日本人客は他にも大勢いたのに、彼と共に過ごすことになるとは奇遇であった。

我々三人は日本人スタッフの人にサンタクロース村まで送ってもらい、礼を言って別れを告げた。
サンタクロース村には、サンタクロースがいて(有料で)一緒に写真が撮れる。また、北極圏到達証明書なるものがもらえる。(有料)(北極圏到達証明書に、日本語バージョンまであるのには驚いた。)それ以外は単なるお土産屋で、これといって見るものはなかった。

夕食は、駅のそばで日本語メニューがありそうなレストランを選び入った。
私は、ディップド・チキンのライス付きというのを選んだ。しかし、運ばれてきた皿の上にはからあげとポテトが乗っていたので、店員に聞いてみると、メニューの日本語訳が間違っていることが分かった。すぐにポテトをライスに取り替えてもらったまでは良かったのだが、次に運ばれてきたのは、スパニッシュライスみたいな細長いライスに香草のようなものが散らしてあるものだった。
てっきりバターが何かで炒めてあるものと思い口にしてみたが、なんのことはない、ただの白米であった。パサパサで味も素っ気もない。結局ほとんど残してしまって、店の人にはすまない気持ちであった。
でも、ひとことだけ言わせてもらいたい。

「これ、フィンランド人は味見してるの!?」


私が思うには、日本人向けに置いてあるメニューで、日本人はなんでこんなまずいもの食べるのだろうと思っているに違いない。
もともと期待はしていなかったが、あまりに外れすぎていた。

夜になると、ロバニエミ駅に行きサンタクロースエクスプレス(フツーの寝台列車だった。)に乗った。
黄色い服の彼は、ホテルへ一泊して翌日の飛行機でヘルシンキへ向かう予定だったので、そこで一時お別れをした。(大概の日本人は、旅のスケジュールが似通っているので、途中途中で会うこととなるのである)

ロバニエミでも晴れていればオーロラが観られるということであるが、夜になってまた雲が多くなり、最後の望みも絶たれることとなった。
寝台列車は、窮屈であまり快適とは言えなかった。(寝るだけだから仕方ないか)
走っている間も小さい窓から未練たらしく空を覗いていたのだが、ガラスまで曇ってしまってとても見辛い上、首が痛くなってきた。