フィンランド旅行記(4/4)

9.ヘルシンキ到着

PIC00051/サンタクロースエクスプレス

PIC00052/AM8:30 ヘルシンキ到着(真っ暗!)



ヘルシンキに着いたのは翌朝8:30であった。
まだ暗い中、列車を降り、ホテルに荷物を預けることにした。
宿泊先のホテル・ソコス・ヴァークナーは、ガイドブックの最高級ホテルの頁に掲載されていて驚いてしまった。パックツアーなのでわりと安価で来たのだが(観光シーズンでない冬季の間はツアー料金が割安になるらしい)、本当はいくらぐらいするんだろう?

部屋に入ると、大型のテレビモニターが出迎えてくれた。色々なインフォメーションが参照できる。航空機のフライト案内まであった。
ちなみに、あまり知られていないが、フィンランドは世界一といってよいほどコンピューターが普及している国だそうである。

駅のレストランで朝食をとり、ヘルシンキ観光に出掛けることにした。
ヘルシンキ市街にはトラムという乗り物が縦横無尽に走っている。ガイドブックにはトラムとしか書いてなかったので、どんな乗り物だろうと不思議に思っていたのだが、路面電車のことであった。
トラムやフェリーが乗り放題の一日乗車券があったので、これを利用することにした。


10.ヘルシンキ/スオメリンナ島へ


マーケット広場近くの発着場からフェリーに乗り、スオメリンナ島へ行った。
フェリーといっても小さな連絡船で、豪華客船シリアラインが停泊する脇を抜け、氷塊が浮かぶ海へ滑り出た。

PIC00055/フェリー発着場

PIC00056/船窓から見たシリアライン



スオメリンナ島に近付くにつれて、氷塊が大きくなってきたようだ。
スオメリンナ島の一部は要塞として現在も使われており立ち入り禁止となっているが、反対側の方は昔の要塞跡が残っており散策できるようになっている。潜水艦も残っているのだが、夏場のみ中へ入れるようになっている。
要塞というイメージ通り、外から見た限りではちょっと寂しそうな島であったが、上陸してみると、民家や教会があって、公園で子供が遊ぶ姿もあった。

お目当ての潜水艦のそばに行って写真を撮った。(デジカメ画像はなし)

PIC00060/スオメリンナ島へ

PIC00062/スオメリンナ島上陸



その後、乳母車を押したフィンランド人と目が合うと、彼が微笑みながら声を掛けてきた。
「僕は、君たちに会ったことがあるような気がする。」
先ほど船の待合い室にいた時に、島の説明をしてくれたフィンランド人の父子である。彼らは隣町から島へ散歩に来ていたのだった。
彼が案内してくれるというので、一緒に着いていくことにした。

凍り付いたドックヤードを一巡りし(冬の間、船は全て引き上げてある)、昔の要塞があったところまで行った。石でできた塀で海岸が取り囲まれ、ところどころに砲台が置いてあった。
その頃には雪もだいぶ降っていたが、男の子は乳母車から降りてはしゃぎまわっていた。

PIC00063/要塞から対岸を眺める

PIC00065/隣町から散歩に来ていた親子と



帰り際に相棒が手袋をなくしてしまったことに気付き、その親子と一緒に通って来た道を探し歩いた。
なかなか見つからず、子供が父親にフィンランド語でなにやら訴える度に、父親が子供を歩かせたり乳母車に乗せたりしていた。どうやら寒がっている子供をなだめていたようである。親切な彼らに感謝すると同時に、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
半ば諦め掛けていた頃、雪の上に落ちている手袋を見つけた。

フェリーでヘルシンキへ戻り、船着き場でフィンラド人親子に礼を言った。
彼らは、奥さんの待つ我が家へと帰っていった。(道中、何度も奥さんから携帯電話がかかってきた。(^^*)


11.ヘルシンキ/ヘルシンキ市街散策


昼食をムーミンの原作者の絵が飾られているというレストランでとり(ムーミンの絵はなかったが)、ウスペンスキー寺院を訪れた。
その後は、トラムでヘルシンキ市街を一回りした。
市街を8の字に巡り駅前まで戻ってくる路線があって、これで大部分を観ることができるのである。
特にこれといってあてもなかったので、車窓からぼんやり街並みを眺めた。
オリンピックスタジアムの隣には屋外リンクもあった。

PIC00069/夜の大聖堂

翌朝、朝食をとるとすぐホテルを出て、駅の隣にあるフィンエアーで搭乗手続きをした。空港までは、その前の乗り場からバスが発着している。

皮肉にもフィンランド滞在最終日になって、ようやく空が晴れ上がり始めていた。
雪もすっかりやんでいた。

相棒が足元を見て叫んだ。

「なにこれ?気持ち悪ーい!」


昨日の雪が道端に結晶のまま残っていた。
よく見ると色々な形状のものがあったが、どれも六角形で直径1cmはある。
日本では、こんなに大きくて完全な結晶はまず見られないと思う。
立っていても足元が六角形だらけというのは、綺麗というより、何か気持ち悪い感じがした。

まだ、一日乗車券が残っていたので(使用開始から24時間使える。日本みたいにせこくない。)、それでトラムに乗った。
昨日、トラムの車窓から見えたある光景の場所まで行って降りた。
空高く延びている建物がある。建物といっても、上の方が四角錐のようになっていて先が細く尖っている。
なんだったのだろう?そう思って来てみたのだが、教会であった。
ガイドブックには載っていないし、残念ながら閉まっていた。

そこから、近くの丘の上に上っていくと天文台があった。天文台といっても、こじんまりしていてあまりそれらしくなかった。
その周りには木立があって、野生のリスが枝の上を走り抜けて行った。
小枝の間から朝日が射し込む。
オーロラは観ることができなかったが、北欧の朝焼けがこんなに美しいとは思ってもいなかった。

PIC00077/天文台のそばから

PIC00079/朝焼けがすっごく綺麗!



昨夜は参拝時間を過ぎてしまって入れなかった大聖堂に訪れ、駅のそばの郵便局で切手を買うなどして時間を潰し、空港行きのバスに乗った。

PIC00080/大聖堂外観

PIC00081/大聖堂内装




12.帰国

帰りの座席は、行きと同じ番号であった。
なんだ、急いで搭乗手続きする必要なかったのかな?
でも、左側の窓際ということでラッキーだった。帰りは機内で一泊することになるので、オーロラが見えるかもしれないのだ。

案の定、夜の9時近くになると機内放送で、オーロラ出現を知らせていた。
機内は薄暗かったが、でも、飛行機の小さな窓からわずかな明るさのオーロラを見るのは至難の業であった。
二人で毛布を被り、明かりが入らないように抑え、ガラスにへばりついて見ていた。

一条の白い線が暗闇の真ん中を走っていた。
目を凝らしていると、段々青緑っぽい光にも見える。
やがて、一条が二条になり、粒子が激しく動き形を変えて行くのが見られた。

でも、機内は暖かくなっていて、すぐにガラスが息で曇ってしまうし、毛布の中は暑くて酸欠になりそうだった。それでも、最後までギャーギャー騒いでいた。
周りのフィンランド人は、さぞかし変な日本人だと思ったことだろう。

とりあえずは、オーロラを観たことになるのかな?
本当は地上から観たかったけど。こんなものじゃないんだろうなぁ。

オーロラを眺めていた時、流れ星がまたひとつ落ちていった。

おしまい。