12月5日、成田から再びフィンエアーでヘルシンキへ飛び立った。
再び−そう、前回観られなかったオーロラを観にフィンランドへ行くのだ。
今流行りの言葉で言えば、リベンジ!である。
9時間46分の飛行を終え、ヘルシンキに到着。そこから国内線に乗り換えイバロへ向かう。
ツアーのスケジュールではヘルシンキ泊の翌日移動となっていたのだが、旅行会社に無理を行って目的地に直行するように変えてもらった。
オーロラ観測のチャンスを一日でも多くしたかったからだ。
サーリセルカに到着したのは夜の11時頃だった。
眠さと疲れでヘトヘトだったが、観測小屋へ行ってみることにした。
曇ってはいたが、ところどころ星が出ていた。
観測小屋といっても窓はなく、ラップランド特有のコタという作りの小さな小屋で、真ん中に暖炉がある。
そこで暖をとりながら、時々外に出て空を見上げるのだ。
ホテルから少し離れていて周りに明かりが少ないので、オーロラ観測には格好の場所である。
どういうわけか、そこは某F社のツアー客だけが使用しているようだった。
大手旅行会社の団体客などは知るよしもない場所である。ラッキー!
先客として、2人の日本人男性がいた。
最初に話した時少しロレツが回っておらず、少々酔っ払っている様子だった。
アルコールは確かに温まるようだ。なにせ半端な寒さじゃない。1月にレヴィに行った時とは大違いだった。
ちょっと外に立っているだけで、前髪とまつ毛が凍りつく。まばたきすると凍ったまつ毛が目に入って痛い。
もちろん、皮膚の露出は最小限に抑えなくてはいけない。
現地の日本人スタッフに聞いたのだが、昨日、一昨日は大きいの(オーロラ)が見えたそうだ。エエーッ?(-o-;
それ以前は2週間ほどずっと曇っていたらしい。
それに、つい最近まではずっと気温も高く、今月になってようやく雪が降り出したのだそうだ。
暖冬だ暖冬だと言っていたら、急に冷え込んだということだ。
寒いとオーロラが出やすくなる、と言われる所以がやっと分かった。
寒いから出るのではなくて、空が晴れ渡ればオーロラが見やすくなり、また放射冷却現象により一層冷え込む、というだけのことである。
残念ながら、この日は寒いのに曇っていた。ついにオーロラらしきものも確認出来なかった。
コタでは、他の2人が待ちくたびれて眠りこけていた。
大丈夫かなと思いつつ、我々はホテルへ戻ることにした。
晴れ。
朝、ホテルの沿道でリスを発見した。
3匹のでかいやつが幹の周りをぐるぐると回りながら追いかけっこして遊んでいた。
ホテルにて
雪景色
その日は特にする予定がなかったので、街中を散歩しマーケットで買い物をした。
夕方早めに就寝。
7時頃一度起きたが、曇っていたため再び寝る。
一時間半ほど寝た後起きてみると、空は晴れ上がりオーロラらしきものが出ていた。
急いでコタ(観測小屋)へ向かう。
小屋には、昨夜の2人と他の日本人観光客もいた。
そのうち、日本人スタッフの人達が一人のフィンランド人の若い男の子(犬ぞりのインストラクターだそうだ)を連れて来た。
3人の日本人スタッフは皆女性であったが(レヴィの時も女性だった。なんでだろう?)、なかなか豪快な人達で、地元の人達と毎晩のようにお酒を飲みに行くらしい。(あ、言っちゃった。ごめんなさい!(^^;)
フィンランド人は結構飲んべぇのようだということが分かった。
確かに娯楽も少ないし、この寒さを乗りきるためにはアルコールは欠かせないのかな?
そのわりには、この辺りのマーケットではビールくらいしか手に入らず、度数も日本のものより低いものばかりだった。
しばらく談笑していると、オーロラの光が強くなってきた。
外に出て、フィンランド人の子に付いて行く。
少し奥に行くと、一層暗く開けたところがあって、オーロラがさらに観やすくなった。
一本の白い筋が空の真ん中を延びて行く。次第に濃く白い光が頭上いっぱいに広がった。この大出現の後、しばらくはまた薄いオーロラに変わっていた。
でかいぞ!
やがてドレープらしきものができ、ゆらゆらゆらめき始める。
フィンランド人の子が口笛を吹く。
「彼らはこうやってオーロラを呼ぶんですよ。口笛を吹くとオーロラがダンスするんだそうです。」
日本人スタッフが言った。
その口笛が効いたのかは分からないが、まもなくオーロラが激しく動き出した。
濃い光がオーロラの筋を伝い、一方向へ流れて行った。
「あっ!走ってる!走ってる!」
空の端から端までもの凄い速さで駆け抜けて行った。
コタに戻りしばらくすると、他の日本人客やスタッフ達も帰って行った。
残ったのは、昨日の人達と女性一人。
彼女は明日帰国予定なのだが、なんと一人で来たという。
一緒に来る予定の友達が来れなくなったという事情はあるにしても、勇気あるなぁ。
確かに治安はいいし、日本人スタッフもいるから安心はできるけど。それに、物怖じしない子だなぁ。
ところで、昨日の人達・・あれ?一人足りないぞ?
先ほどの大出現の時、カメラを抱えて山の上の方に駆け上がって行ったらしい。
山の上の方は真っ暗だし、この寒さだ、大丈夫かなぁ?
さて、オーロラそのものは常に出ていて、暗いところに行くと薄く広がっている様子が見える。
でも、強くなるのは数分から10分程度ということらしい。
街灯りがある所では、かなり強い光でないと確認できない。
おまけにところどころに雲が出ていると、見分けがつきにくくなる。
昨夜も薄いやつが出ていたらしいが、まだ見たこともない我々に区別がつくわけがなかったのだ。
コタにて
1、2時間後、次の大出現が起こった。その後、しばらくして行方不明の一人が帰って来た。
さっきと同じように白く濃い筋の上にドレープが出来ていたが、今度は端が北の方へ湾曲していた。
とりあえずは良かったぁ。
どこかで足を踏み外して動けなくなって、凍死でもされたら嫌だもん。。(^^;今だから言えるけど。
どうやら山頂の方まで上がって行ってしまったらしいのだが、せめて一時間に一度くらいは戻ってきましょうね。
ところで、怪しい雰囲気の2人。
一人はやたらと星座に詳しく、もう一人は写真にかける情熱(?)が並大抵ではない。
それに、暖炉の焚き方にもやたらと慣れている。
職業柄・・というようなことを言っているが、一体何者なんだろう?