スウェーデン旅行記/天地の果てまでも編(4/7)

1.キルナ滞在4日目

結局アビスコで夜を明かす。
車中で仮眠後、4時半頃に目が覚める。


まだ薄暗い明け方。寂しい・・わびしい・・

キルナ雲っぽいグラデーション

雲の切れ間から明るい日差しが差し込み、上層を流れる雲は”キルナ雲”のグラデーションに染まっていた。
次第に南東(キルナ方面)から雲が集まって来る。
残念ながら日の出は雲に阻まれて見ることが出来なかった。

アビスコを立つ。
辺りには雪がちらついていた。
視界も悪く、期待していたラップランドの代表的な山──アビスコ近辺から見られるという、氷河に削られた山が2つ向い合せになってゲートのように並ぶ特徴的な形。TOPの地図にあるキルナのロゴにも描かれている。──は2001年に引き続き、またもや拝むことが出来なかった。

雪の量はさほどではなかったが、周りの雪が風でまき散らされ路面に風紋を作っていた。
走るとそれが蛇のようにうねって襲い掛かり、妙な錯覚に捕われる。

雪の風紋。写真だと実際の迫力が伝わらないのが残念

そこは2001年にも訪れた場所、だが、一つだけ大きな勘違いをしていた。
そこにある大きな湖──トルネ湖──は

凍っていた!!

実を言うと、2001年の旅行記には”凍らない湖”と書いてしまったのだ。(^^;
当時は昼間だったのだが、厚い雲に覆われ薄暗い中で見た湖面に荒れ狂う波のような波紋を見た・・と思っていた。
今回は当時よりも明るく、湖面をはっきりと見ることが出来た。
波紋だと思い込んでいたものは、先程路上で見たのと同じ風紋に他ならなかった。

だが、海と見紛うほどの大きな湖である、北極圏にしては温暖な場所でもあるし、上を歩くのはやはり危険なのだろうと思われる。


凍らない湖の真相が明らかに!?(^^;

アビスコからの帰り道にて

アビスコから遠ざかるに連れて、段々と空が見えなくなりくすんだ空に変わる。
今回はよほどの覚悟が要りそうだ。




キルナに戻り朝食を取る。
昼間は寝たり、買い物に行ったり。
北欧にまで来て何をやっているのかと自分ながらに呆れてしまう。
まあ、犬ぞりもトナカイぞりも散々体験したし、観光名所があるわけでもないので大してすることもないのだけど。
目的はあくまでもオーロラ観賞。
天候が悪化する一方で、のんびりと眺めていられるような状況ではないのだ。
休めるときは休む、これが鉄則。(^^;

晴天祈願。切実です

旅行前は3月という遅い時期に加え近年の地球温暖化の影響で、雪がなくなっていたらどうしようと心配していた。
雪がなければ北欧に来た気がしないし、ましてや雨など降ったら最悪だ。
だが、それは要らぬ心配で、滞在期間中は見事なまでの大雪。
天気の良い日の雪原は美しいのだが、こう曇っていると灰色一色になってしまうため写真を撮ろうという気にすらなれなかった。


(参考)食材はマーケットで調達。夜食は主にサンドイッチ

トナカイ印から勝手にトナパンと命名。以前犬ぞりで食べてから病み付きに!?丸いものとか色々ある。半生っぽいものは食べ方がいまいち分からなかった




夜も雪。
さすがに遠出する気力はないので(というより明日に備えて?)、キルナ付近を車で行ったり来りする。

やがて、小高い山に続く道を走る。
そこには2001にも訪れたESA(European Space Agency)の衛星追跡局がある。
今回は、そのさらに5km先のESRANGE(地上局)(※7)まで行ってみることにした。(TOP地図のI)

だが、どこまで行っても雪。
目的地に着くと正面にゲートが見え、その脇の建物に警備員がいた。
相棒が写真を取って良いかと聞くと、外からならということでその辺りをうろつく。
雪のちらつく夜中、怪しい日本人が二人。


門の外にあったロケット(オブジェ)

ゲートの向こうにESRANGEが。入りたい・・

天気が回復しそうにないので諦めて引き返す。

途中の追跡局にも立ち寄る。
そこで微かに星が見え、帯オーロラらしき筋を確認する。
おそらくオーロラを見たことがない人が見たら、ただの雲としか思えないような微妙なオーロラだ。(^^;
この晩見た星は、そこでの2、3個が最高なのでどうしようもない。

追跡局。闇夜に浮かび上がっているのはアンテナ


そのままアイスホテルに行って車中でしばらく待機する。
だが天候は一向に回復せず、早々に引き上げた。