スウェーデン旅行記/天地の果てまでも編(6/7)

1.キルナ滞在6日目

5時半頃ナルビクを出発する。

山脈の向こう側には相変わらず分厚い雲が広がっていたが、行きのようなブリザードにはなっておらずすんなりと国境を越える。
南西に向かって走ると丁度朝日が眩しい時間だが、幸い太陽自体はほとんど雲の中に隠されてしまっているため、雲の端々が眩しく光る程度である。
途中、眩しく輝く雲が微かに青や赤の光を放っていたため、

「真珠雲だ!」

などとのたまう。でも、おそらく違う。

国境の作業小屋。貴重なトイレスポット


国境越え。雲に向かって走る

途中の凍った湖

とにかくようやく出逢えた青空なのだ。
真っ白な山脈の景色をカメラに納めたかったが、好き勝手に道端に止まることも出来ず(途中のパーキングは下が凍っていて歩ける状態ではなかった)、フロントガラス越しにデジカメを向けるのが精一杯だった。


よく分からない像。守り神か何かか?

喫茶店?雲が鮮やかに輝いていた

とにかくまぶしい

スウェーデン側の国境

スウェーデンに入り、既に馴染み深い(?)トルネ湖岸を走る。

だが、アビスコの山はまたもや見つけることが出来なかった。
雲が多すぎてどこにあるのかすら分からない。
以前見たポイントがどこかも思い出せず仕舞いだった。


偽真珠雲。路面は凍ってます

トルネ湖

トルネ湖

トルネ湖。やたらとでかい

帰り道、国道はいつもより対向車が多い。
朝の出勤風景なのだろうか?
それらの車の多くは台車を引いており、その上にはスノーモービルやそりが乗っている。
さすがに北極圏だ。
だが、スノーモービルを2台横に並べるのはやめて欲しい。
ほとんど対向車線はみ出してるよ。(^^;

国道のパーキングには時々不思議なことがある。
民家のなさそうな場所に無人の車が止めてあったり、なぜか空の台車だけが置き去りにしてあったりする。


天候は快方に向かっているのだろうか?
曇ってはいるが雪は止んでいるし、空もわりと明るい。
そんなことを考えながら助手席で爆睡してしまった。
ごめん、相棒。キルナ市街へ入った記憶がないんだ。




夜は雪。
とりあえずアビスコ方面へ向かったのだが、期待とは裏腹に行けば行くほど悪天候になっていった。
国境を越えれば晴れていそうだが、さすがにあそこまで行くのはもう無理だ。
可能性は低いが南の方がまだマシかもしれないと思い、来た道を引き返す。

途中の街で雪が小降りになり、微かに星が見え、天頂にもやもやしたオーロラが出ていた。
だが、すぐに霧が被ってしまいそうだ。ひとまず先を急ぐ。

雪の中を車で走るとフロントガラスに雪の粒が吹き付け、さながら吹雪のように見える。
相棒も北欧での運転はこれで3度目なので、その程度のことは慣れたようだ。
だが、対向車が行き交ったり、あるいは後続車に追い抜かれた直後に風圧をもろに受ける。
路上の雪まで吹き上げられて、ただでさえ悪い視界が真っ白になりほとんど見えなくなってしまうのだ。
抜いて行ってくれる分にはまだ良い。
問題はその時起こった。

前方に、大きな除雪車を発見する。
最初は距離感が分からず、動いているのか止まっているのかさえ分からなかったのだが、40km/hくらいで除雪作業をしながら走っていた。

「(北欧で)初めて追い越せるね。」

などと言っていたのも束の間、追い付いてからそれが至難の業であることを悟る。
たかが時速40キロ、されど40キロ。
道幅は十分広かったが、視界の悪さに加え、大型車の後ろに入ると前から来る対向車がまったく見えない。
だが、空中にぼうっと滲む光の有無で対向車の存在を判断出来る。
多分来ていないと信じて車線を変更する。(汗)

一番の問題は・・・

「何も見えない〜!」

大型車の真後ろに入ると巻き上げられた雪がもろに掛かり、その量といったら半端ではない。
対向車線に移ってもなお、道端のポールが全く見えないのだ。
ポールが見えないということは、つまり道がどこに向いているのか分からないということ。
アクセルを恐る恐る踏み込むが、どうしても追い抜けない。
その先に道があるという確証がないからだ。

何度かチャレンジして、結局最後は諦めた。
仕方なくパーキングに停まり、時間潰しに持ってきたサンドイッチを食べる。


こちらの車は吹雪いていようが、構わず猛スピードで追い抜いて行く。
時には2台至近距離で並んで走っていることもある。

どうしてあんな神業的なことが出来るのだろう?

と不思議に思う。
もっとも、除雪車の運転手にしてみれば、

何故追い越さないのだろう?

と思ったに違いない。


しばらく休んだ後、また国道を走る。
さすがに除雪車も行ってしまった後のようで、また巡り会うことはなかった。

そのままユッカスヤルビに行く。
しばらく待機するが状況は一向に変わらず、この晩は早々に引き上げた。