くそー、あたしが何をしたっていうんだ! 羽交い絞めにされながらあたしは内心毒づいた。 目の前にはクラスにあまり顔を出した事のない、何度か見たことのある、良い噂はあまり聞かないクラスメイト女子(名前を覚えてないあたりが致命的すぎる)がにやりと笑って立っている。その横には2人の男子と1人の女子。見た目年上風なこいつらは知らない。羽交い絞めにしてるやつも見覚えなし。 「あんた、生意気」 おなかに蹴りこみが入る。喉の奥から熱いものがせりあがってきてげほげほむせた。血だった。女の子のおなかに蹴りこみを入れるなんてなんてやつだ。くそう。あたしはクラスメイト女子の顔に血の混じったつばを吐いた。ざまあみろ、と思ったらおもいっきし殴られた。 そもそも生意気ってどういうことだ。あたしが何をしたっていうんだ。…ってこれさっきも言ったな心の中で。 「あたし、アンタになんかした?」 聞いてみると、クラスメイト女子はものすごーく嫌そうな顔をした。 「あんた、しらばっくれんの?」 「は? 何が?」 「遠藤君のことよ!」 誰だそいつは。しらねーよ。そう思ったのが顔に出ていたらしくて、クラスメイト女子は眉を寄せた。 「アタシから遠藤君を取ろうとしたって、無駄なんだから!」 「はぁ!?」 どうやらその遠藤君とやらとあたしが何かあったとこいつは勘違いしているみたいだ。しかしあたしには遠藤君なんて見たことないし、知らないし、身に覚えもない。 「誰だ遠藤って知るかそんなの! 被害妄想もいい加減に」 してよ、と言いかけたところで殴られた。殴られた瞬間おもいっきり口の中を噛み切ったようで、血の味がじわじわと広がった。唾液が傷口にしみこんでじりじりと痛む。くそう。なんであたしがこんな目に会わなきゃいけないんだ。助けを呼ぼうにも今は夜だしここはただっ広い公園だからあたしが叫んだところで誰も来るわけがない。 必死に抵抗すれば逃げれるだろうか? 無謀にもそんな事を考えたが、可能性としてはあり得なくもなさそうだ。羽交い絞めにしてる男はひょろひょろしてるし、女子二人はやせっぽちだし、男二人はまあ何とかなるかもしれない。 ――やるしかない。 あたしは思いっきり息を吸い込んで、後ろの男の鳩尾に肘をのめりこませた。うっとうめいた男の力が緩んだ瞬間、わき腹に回し蹴りを食らわす。地面に転倒した男は起き上がってくる様子はない。これくらいで気絶したのかと、なんだか情けなく思えた。 「っ、このぉっ!」 クラスメイト女子が飛び掛ってくるが、こんなんどうってことない。振りかざした腕を身をかがめてかわしたあと、彼女の足の間に右足を差し込んで思いっきりはらった。彼女は情けない格好で転倒する。あ、パンツ見えた。 瞬間、腹に衝撃。男二人の片方(ややこしいから以下男A、男Bと呼称する)だった。ものすごく痛くて、吐き気をもよおす。それを堪えようと下唇をかみ締めたその時、男Bに押し倒された。男Bがポケットから何か取り出す。月光を反射して光るそれは折りたたみ式のナイフだった。 息を呑んだ瞬間、制服を切られた。下衆た笑顔にぞっとする。もしやこれは貞操の危機なのだろうかと思ったらスカートをめくられた。やっぱ危機だわこれ。 「くそ、畜生!」 言って立ち上がり、あたしの脇腹を蹴るクラスメイト女子。 「こんなやつ、ペットボトルつっこんじゃえば?」 後ろ側にたって傍観してた女子が飲みかけのミネラルウォーターのペットボトルをクラスメイト女子に差し出した。いやいや、待て待て。ペットボトルを突っ込むって、どこにだ。そもそもあたしはセックスとかしたことないわけで…想像してぞっとした。いや、まじで無理だから。なんて理性ではそんなギャグみたいな事を考えてるけど、身体は思うように上手く動かなくて、ガクガク震えている。 なんていうか、自分が二人に分かれたみたいだ。本能の自分と、理性の自分。本能の自分だけがパニックを起こしていて、それを理性の自分が見つめている。きっとそうなったのは、まるで現実味のない状況に頭が追いついていないせいだろう。 「あははさんせー」 男Aがにやにやしながらクラスメイト女子からそれを受け取る。500mlのペットボトルの中に残っている水が街灯の光を反射してきらきらと光った。だけど綺麗だなーとか思う暇はない。 「子宮ぶっ壊れるかもね」 男B、グロイ事言うな! なーんて理性で突っ込んでみるが、現実では喉の奥から小さく悲鳴がもれた。 「いーじゃんこんなヤリマンには十分」 それはおまえだクラスメイト女子! ちくしょー暴れてやる、と思ったけど男Aと女子に手足を押さえつけられてどうしようもない。あたしの運命はここで終わりらしい。情けないけど涙が出てきた。何故か脳裏に沢田綱吉その他もろもろの顔が浮かぶ。そういやこいつらいっつも助けに来てくれたなあと、今までの思い出が走馬灯のように駆け巡る。まあ彼らがあまり役に立った覚えはないけれど。 一か八かだ、助けを呼ぼう! と口を開いたらハンカチを突っ込まれた。 ニーチェは言った。「神は死んだ」と。まったくそのとおりだ。とりあえずあたしも今ここで死ぬというフラグが立ちました。 パンツに誰かの指先が触れる。骨ばったその指が物凄くおぞましくて、触れた箇所からじわじわと鳥肌が立った。恥ずかしいやら怖いやらで目じりに涙が浮かぶ。ぎゅうっと目を閉じて、頭が真っ白くなるのを感じながら、声だけは出すまいと必死にハンカチを噛んだ。 「随分楽しそうな事してますね」 クフ、と含みのある笑い声に、まさかなあと思いつつ目を開ける。月光を背に立つそいつは紛れもなく六道骸だった。まるでヒーローみたいな登場の仕方がやけにムカついてしょうがないし、この格好を見られたのが物凄く腹立たしい。なんでこいつに助けられなきゃならないんだ。 とりあえずまあ、言えることは…――神様ごめん。あんたはちゃんと生きてるんですね。 「僕も混ぜてくださいよ」 言いながら骸は男Aの顔面を蹴り飛ばした。地面に赤いものが飛散する。その中にまじって白い塊が数個落ちていた。どうやら歯が抜けたらしい。骸はスタスタと軽い足取りで男Aの傍によると、ゆっくり片足を上げた。そのまま、股間をねじるように踏みつける。 「――――――――――!!!!」 瞬間、人間のものとは思えない奇声が響いたあと、男Aはぐったりした。 「っ、何すんだよっ!」 男Bが骸に飛び掛るが、あまりにも無謀だとあたしは思った。骸は飛び掛った男の首をつかんで、そのまま持ち上げる。男Bの足が地面につかなくなって、もがくようにばたばたと揺れている。見た目あたしと変わらない腕の細さのくせに、どんだけ腕力があるんだろうこいつは。 「このまま喉仏つぶしてやりましょうかね」 クフフ、と目を細めて至極嬉しそうに笑う骸はマルキ・ド・サドもびっくりのサディストだろう。もはやこいつの性癖は手遅れに近いなあと思う。 「声も出ずに息もできずに、痛みにもがき苦しみながら死ぬなんて君は幸せですよ」 ぐ、と骸が力を込める。あまりの恐怖からか男Bが泡を吐いて白目をむいた。 「…情けないですね」 さもつまらなさそうに言って、軽々とその男を投げ飛ばした。そいつが動かないのを確認してから、さて、と地面にしりもちをついている女子二人を見下ろす。ガクガクと震えているそこの二人は今にも泣きそうだ。 「女性を痛めつける趣味はないんですけどねえ」 言いながら、骸はクラスメイト女子の頭部を鷲掴みにする。そのまま、無理やり立たせた。骸は片手でピースを作ったあと、人差し指と中指をくにくにと動かす。 「口止めの為に目玉でも取りますかね」 口止めって普通舌を抜くんじゃないの? と思ったけど、口に出したら実行しそうだったから思うだけにとどめておいた。 骸は爪先で彼女の目じりをそっとなぞる。彼女の横で腰を抜かして座り込んでいた女子が、嫌な悲鳴を上げて立ち上がり、闇の中に走っていく。骸はその後姿をおやおやといった感じで見送ったあと、クラスメイト女子に極上の笑みを浮かべた。見惚れそうなほど綺麗な笑顔だが、この状況の中でそんな顔をされるとただ怖いだけである。 「一人になっちゃいましたねえ」 クフクフ嬉しそうに笑うこいつは、正直気持ち悪い以外の何者でもない。背筋に鳥肌が立つのを感じながら、あたしは口の中からハンカチを吐き出してよろよろと立ち上がった。 骸は本気だ。今確実に彼を止めなければ、後戻りできない状況になってしまう。 骸の指がクラスメイト女子の眼球を撫でる。ヒッと声にならない悲鳴をあげる彼女の目から涙が零れ落ちた。骸の2本の指先が、左右の目の淵にぐっと押し付けられる。私は慌ててその手をつかんだ。 「骸、もういいってば!」 オッドアイが数回瞬いた。それから不思議そうに小首をかしげてあたしを見たあと、盛大にため息を吐いて頭をつかんでいた手を離す。どさっと地面に落ちたクラスメイト女子は、ややあってから大粒の涙をぼろぼろこぼしてその場で泣き出した。 彼女のを中心にして、地面が濡れ出す。微かなアンモニア臭に、私は身を引いた。骸がどうしようもないものを見るみたいに彼女を見下ろして、バカにするように小さく笑った。 「その歳で失禁するなんてみっともないですよ」 骸が片足を上げて、彼女の肩を蹴る。泣きながら彼女は汚れた地面に叩きつけられるように横になった。しゃくりあげるように泣く彼女のおなかを、骸が思いっきり踏みつけた。彼女は目を見開いて何度かむせる。 「む、骸っ!」 あたしは慌ててそう叫んだあと、骸に半ば抱きつくようにして彼の腕を固定するが、骸はあたしの方をちらっと見てから、何事もなかったかのように彼女を見下ろした。 「クハハ、痛いですか? 怖いですか? 恥ずかしいですか? 悔しいですか?」 言って骸は思いっきり彼女の顔、の横、を踏みつけた。鼻先すれすれに靴の先があるもんだから、一瞬理解できなかったらしいクラスメイト女子はビクリと身体を震わせてから、骸を見上げて嗚咽し始める。 「…その感情、名前も味わったんです。忘れないでください」 忌々しいものでも見るかのように、眉をひそめて骸は言った。 知ってはいたが、ここはどうやら予想以上に物凄く広い公園のようで、骸に連れられて5分くらい歩いても公園の敷地から出る事はできなかった。その代わりに、大きな噴水のある広場にたどり着く。噴水、といっても夏場に子供たちが遊べるように膝下までのプールのような形になっていた。ちょうどいいや、とあたしは噴水の傍に寄ってローファーを脱いだ。 泥で汚れた靴下を脱ぎ捨てて、水の中に入る。制服のスカーフを解いて、上着を脱いだ。白いセーラー服に転々と、赤い斑点模様がついている。まあ血がついていたとしてもずたずたに切られたその制服は着ないだろう。脱いだ靴の傍にセーラー服を丸めて投げて、スカーフを水に浸して固く絞った。それで顔を拭っている最中、肩に何か掛けられる。骸の学ランだった。 制服の下にキャミソールしか着てなかったから、だから貸してくれたんだろう。変なところで妙に紳士っぽいなあと、あたしは傍に立つ骸を見上げた。さっきの笑顔とは打って変わって、にこにこと胡散臭い笑顔を浮かべている。 骸の制服に袖を通しながら、この二面性、なんとかならないんだろうかとか、そんなどうしようもない事を考えてしまう。 「制服濡れるよ?」 「捲ってるの見えないんですか?」 見れば骸はズボンの裾を律儀に膝のあたりまで捲っていた。それが妙に似合わなくて噴出しそうになる。それを悟られないよう、顔を隠すために身をかがめた。ついで、またスカーフを濡らして固く絞る。殴られたほっぺたにそれをあてると、ひんやりして気持ちよかった。 「もしかして骸、たまたま通りかかったの?」 聞くと、骸は首を振って小さく笑う。 「いえ。「うちの娘の帰りが遅いんだー」とあなたのお父さんが泣きながらボンゴレの家に駆け込んできましてね、夕食を中断してみんなで探していました」 突っ込みどころが多すぎて、なんと言ったら良いのかわからずにあたしは曖昧な返事だけをしておいた。 つまり、あれか。骸は綱吉んちに突撃となりの晩御飯でもしていたんだろうか。…かわいそうだなあ綱吉とそのお母さん。 「しかし、第一発見者が僕って、なかなか運命的ですね」 「…どういう考えを経たらそういう結論にたどりつくの?」 「ピンチの時に救世主が現れるって、正直かっこよかったでしょう?」 聞いちゃあいねえよこいつ。にっこり笑ってあたしの顔を覗き込んでくる骸をにらみつけて、骸から少しだけ離れると彼は苦笑して肩をすくめた。つれないなあ、と骸が呟いたような気がする。 「…でも、アレはやりすぎ」 「アレのどこがやりすぎなんです?」 無邪気そうに聞いてくる骸に半ば呆れながら、物凄く高く噴出された噴水の水を見上げた。 「あんなにする必要、ないじゃない」 「どうしてですか。あなたも同じような事されたんでしょう」 「あそこまで酷くなかった!」 言い切ると、骸が困ったように眉を下げた。それが妙に演技くさくて、イライラする。しょんぼりとしたような顔をする骸だが、それは美少年好きのお嬢さんやお姉さま方に通用するものであって、生憎あたしには全く通用しないのである。 「なんであんな酷い事できるのよ」 「…あんなの、まだまだ序の口です」 骸たちの生い立ちからすればそうかもしれないが、一般人のあたしから見たらそうじゃない。自称“マフィアの次期ボス”らしい綱吉から見ても、多分そう思うだろう。むーっと眉を寄せて骸をにらみつけると、彼はため息混じりにオッドアイを伏せがちにした。 「…僕だって、一般人相手にあそこまでしませんよ」 一瞬その言葉が理解できなかったが、瞬時に嘘だ、と思った。並盛中の人たちに暴力を振るっていたくせに。 「だったら、あんなにする必要はなかったじゃない」 「あんなにする必要はない、って、……あなたはそう思っていたかも知れませんけど、僕はそうは思わなかったです」 骸はあたしから視線をそらしてから、しばらくしてまた視線をあたしに戻す。 「僕が簡単に、あんな事をしたと思うんですか?」 まっすぐに見つめられて、思わずどきっとした。ていうか何気に目の前の男は意味深な発言をしたみたいけど、きっとそれ以上でもそれ以下でもない、何気ない骸のムカつく発言なのだと思ったら一気にどきどきがおさまった。 「思う」 きっぱり言うと、骸はややあってから苦笑を浮かべた。 「…ほんとに、あなたって人は」 素直じゃない、と骸は呟いて近寄ってくる。妙な危機感を感じで、思わずあとずさる。 ――と、頭に水が降りかかってきた。まるでホースから水をかけられてるみたいの勢いで、びっくりして悲鳴を上げた。 「ぎゃっ、つめたっ!!」 頭を抱えてちょっとだけ身体を丸くする。辺りを見回せば、プールの中に備え付けてあったらしい噴水から水が噴き出ていた。しかもいたるところにそれはある。…水着ならこんなん気にする必要はないかもしれないけれど、制服のままで全方位から水をかけられ、なんだか無性に泣きたくなった。 骸を見れば、彼は降ってくる水を迷惑そうに手で遮りながら、視線を感じたのかあたしのほうを見る。それから困ったように小さく笑った。それがなんだか無邪気な子供みたいに見えるので、内心ちくしょうと呟いて視線をそらした。 しばらくすると、水の勢いがおさまる。さっきみたいに中央の噴水だけから水が出るようになったころには、あたしも骸も濡れ鼠になっていた。 骸はTシャツが肌にぴったりくっついてるのが嫌なようで、Tシャツを着たまま服を絞っていた。このめんどくさがりが。と思ったら骸もそれが大変めんどくさかったようで、いきなりTシャツを脱いだ。慌てて視線をそらす。それに気づいた骸からクフフとからかうような笑い声が聞こえてきて、あたしは顔をしかめて骸に背中を向けた。 ざぶざぶと水をかきわける音にびっくりして振り返ろうとしたその瞬間、骸に手を握られた。 「帰りましょうか」 骸はにこにこ笑ってそう言う。せめてTシャツ着ろよ、と思いながらあたしは必死に視線をそらして小さく頷いた。それに気づいたらしい骸が、あたしの視界の中に入ってこようとする。あたしは必死に骸を見ないようにしたが、腰に手を回されてしまった挙句、鼻先同士がくっつきそうなほど顔を近づけられて思わず固まってしまった。視界いっぱいに映る骸はややあってから悪戯っぽくクフフと笑った。 くそー、間違いなくからかってるよこいつ! 「意外にこういうのもおいしいですね」 「何がおいしいだ! 離せこの!」 「イヤですよー上着貸してあげたんですから少しくらい我慢してください」 寒くて死にそうですー、と媚びるような声をあげて擦り寄ってくるこの六道骸は何を考えているんだ! と思ったその時。 「ぃっくし」 耳元でくしゃみが聞こえた。決して、あたしがくしゃみをしたわけではない、となると。 「ぶ、ブハー! 骸がくしゃみ! にあわねー!」 思わず噴出したあたしを見て、骸は心外だと言わんばかりに眉間にシワを寄せた。不満そうにあたしを見下ろしたあと。小さくため息を吐いて苦笑した。 「ほんと、あなたと話してるとイライラしてきますよ」 どうしようもない子供をあやすように言われて、かちんときた。 「それはこっちのセリフ!」 「まあそんな可愛くないとこも好きですけどね」 言われた瞬間、ぞわっと鳥肌が立った。びくりと身体が固まる。きもちわるいというフレーズが頭の中を駆け巡った。ぞわぞわして吐きそうになる。物凄く寒くてブルブル震えたが、それは水に濡れたあと風に吹かれて肌寒いだけとは到底思えなかった。 「ほら、帰りましょう。もう僕お腹ペコペコです」 言いながら、骸はあたしから離れて、頭からTシャツを着た。なんというか、変なところで子供っぽくて笑える。 「お腹ペコペコとか…、あんたそういうキャラだっけ」 呆れたように呟いて、プールからあがって、ローファーを履く。まるまって置かれた制服と靴下を持って、隣に立つ骸を見上げた。 まあ、なんだかんだいっても、こいつに助けてもらった事には変わりはない。小さくため息を吐いて、前を見ながらあたしは口を開いた。 「ありがと!」 言って足を踏み出す。後ろで骸が笑ってる気がして、あたしは歩く速度を速めると、骸が隣に並んであたしの手をつかんだ。蹴ろうかと思ったけど、とりあえずやめておくことにした。 2007/07/18