コンサートレポート
管理人の視点から書き残したコンサートの記録です。
2006.7.8 アンジェロにて
今回のコンサートはすごくハードだった。練習回数が少ないわりに、曲数が多くその中身も濃かった。 5月29日と同じ曲も3曲ほど使ったのだが、今回新たに取り組んだ曲が5曲もあり、それらを4人が揃うことができた、たった2回の練習のみで本番に持っていかなければならず、またその他の曲についても、過去に演奏したとはいえ難度の高い曲ばかりで、なんとも無謀なプログラムを組んだものである。皆でコーヒーを飲みながらプログラムを決める時点では、後の事を考えず「やりたい」という思いだけで調子良く決めてしまうのだが、メンバーが気に入って「やりたい」と思う曲は、どれもいい曲であると同時に難度も高く、後でエラい思いをし、後悔するハメになってしまうのである。今回は特にこの点を痛感した。加えて私は、このアンジェロでのコンサートに合わせてHP開設を急いだ為、全く練習できない日々が5日ほど続き、本番前1週間は、受験前の追い込みのような練習をしなければならなかった。何度仕事を休んでHP作成と練習に時間を当てたいと思ったことか。会社で仕事をしている時間がもったいなくてしかたがない、今日この頃である。
今回またピアニストの智子さんがオリジナル曲を出してくれた。「Midnight
Lover」という、ちょっと危険な夜の香りを感じさせる、「クリスマスケーキ」とは全く異なった大人の雰囲気の曲である。どうやらこれを聴く人はみな「火曜サスペンス劇場」を連想するらしい(笑)。実際智子さんも大人のドロドロした恋愛模様(?)を背景に作ったそうで、この曲を聴いて智子さんのお嬢さんが「Midnight
Lover」と名づけたのも頷ける。イメージしやすい上に魅力的な旋律が続き、非常に演奏意欲を沸かせてくれる曲である。
また、智子さんの師匠である松田昌氏の作品で「お母さんに聞いた珊瑚礁の話」を今回のアンコールに準備した。沖縄を思わせるノスタルジックなメロディは、夏にぴったりの曲である。本当は次のコンサートに使う予定だったが、ドラムの智ちゃんたっての願いで、今回アンジェロで演奏することとなった。さすがやりたいと言うだけあって、素晴らしくセンスのいいリズムが入り、夏らしくて爽やかな、いっそういい感じに曲が仕上がった。
今回私にとってハードなコンサートとなった理由の一つに、「録音をCDに残す」という、初の試みに挑戦したことがある。去年の万博以来、少しずつ演奏活動が軌道に乗ってきた為、自分たちの足跡を、できるだけいい形で残したいと以前から思っていた。6月の中旬頃、それまで稲沢に通勤していた私の勤務先が名古屋の自社営業所に移ったのを機に、会社近くにある大須商店街を毎日昼休みに歩き回って録音機材を物色した。この方面に関する知識があまりなかったので、店員に教えてもらいながらどの機材を使うのがよいのか検討したが、悲しいことにどれもこれもこれまで使ってきた私のパソコンでは使うことができなかった。私のパソコンは6年ほど前に購入したもので、基本OSは未だにWindows98である。最近はWindows98では動かないソフトや周辺機器が増えてきて、かろうじて使えてもパソコンに負荷がかかりすぎて動かなくなってしまうことも多く
「そろそろ買い替え時か」と思っていた。それでもどうにか使えないかと思い、まずはMDの録音をパソコンに取り組むことを試みた。1万円程度で、Windows98でも使えるインターフェースを入手。早速ドライバをインストールしたところ、手順を間違えたらしく、なんと!パソコンを壊してしまった・・・(@o@;)! しょうがないのでリカバリディスクを使って復旧させたが、これをやると、それまでインストールしたソフトが全て消えてしまうのである。(ToT) おかげで元通り使えるまでに随分手間をかけるハメになってしまった。 苦労してパソコンを復旧させ、インターフェースのドライバインストールに再挑戦!
今度は正しい手順を踏んだので上手くいったが、MDからパソコンに上手く音を取り込めない。再生すると、レコードの針が飛ぶような現象が起きてしまう。この現象について、説明書にあったあらゆる設定を見直したが、一向に改善せず、私のパソコンでオリジナルCDを作成するのは諦めなければならなかった。 ・・・で、結局ノートパソコンを買い、コンパクトレコーダーも購入。思わぬ出費がかさんでしまったが、ノートパソコンは以前から欲しいと思っており、コンパクトレコーダーには思わぬ便利な機能がいくつかついていたので、私には良い機会だった・・・と思うことにしよう。
前置きが長くなってしまった。
今回演奏させていただいた「アンジェロ」は、輸入家具・雑貨を扱う店である。こちらで開催されるコンサートは、我々の七夕コンサートが99回目だそうだ。元はピアニストの智子さんが、エレクトーンを持ち込んでコンサートを行ったところ、
店主がピアノを入れてくださったことで、さかんにコンサートが行われるようになったという。こちらでコンサート開催を希望するグループは多く、何ヶ月も先まで予定は埋まっているのだそうだ。 私は今回初めてこの店を訪れたのだが、店に入ってまず驚いたのは、すごい商品の種類と数。小物から家具までが広い店内に所狭しと並べられ、どれも魅力的なその商品たちに、思わず時間を忘れて見入ってしまいそうだった。人が二人すれ違うのも難しいほどに置かれた商品の中、いったいどこにコンサートを行うスペースがあるのだろうと思ったが、奥の方にその空間はあった。海外の家具や絵画に囲まれ、とてもエキゾチックな空間。客席は手を伸ばせば届くほど近くまで迫っていて、ライブを行うには絶好の場所だと思った。 十分とはいえないPRだったので、お客様が集まらなかったらどうしよう? などと、
コンサート前に智子さんと話していたのだが、それは余計な心配だった。新聞に広告が載ったこともあり、35席しか椅子が用意されていないこの会場には70名近いお客様が訪れ、店内はあふれるほどの聴衆で満たされた。こんな大勢の聴衆に囲まれてのコンサートは、B.B.Q.としては初めて。後から聞いた話だと、これほどのお客様が入ったのは久しぶりだという。しかも、一宮ケーブルテレビまで入ってきて、事前にインタビューを受け、会場にはカメラがセットされた。なんだかすごいことになってきた・・・思わぬ展開にドキドキしてきた私だった。
忙しい日々の中思うように練習できなかったが、直前の追い込み練習が功を奏し、自分としては落ち着いて冷静に演奏することができた。本番特有のテンションの高さのせいか、テンポが異様に上がってしまう箇所もあったが、
それも冷静に対処できた。練習ではやらないことをやらかしてしまうのは、ある意味本番の醍醐味である。時として練習とは違った魅力を出せるので、こういうハプニングも重要だと思う。 この日の私は会場のお客様の反応をうかがう余裕もあった。にこやかな表情で音楽に合わせ体を揺らしながら、楽しんでくださっている様子が感じられ、それが嬉しくて、練習時には出ない力が演奏に込められた。コンサートというものは、プレイヤーだけではなく、聴衆と共に作り上げていくものなのだと実感した瞬間だった。 いつも曲の間のトークはベーシスト不破氏の役目だが、この日も彼の語りは絶好調だった。事前に原稿を作らず、その場のアドリブで展開されるその語りは、いつも出演者の我々も演奏の合間に楽しませてもらっている。お客様からも「楽しかった」との感想をいただいた。コンサートというものは、いい演奏さえ聴かせればよいというものではなく、曲をつなぐ語りも、コンサートの重要な要素だと私は思う。そして不破氏の語りは、普段親交を深めつつ楽しく練習している我々の雰囲気を確実に伝えてくれている。それがお客様にも好評だったようだ。
前半は勢いに乗ってあっという間に過ぎていったが、後半は大曲揃いで曲数も多く、最後はパワー切れ寸前だった。夢中で演奏している間は自覚がないのだが、本番演奏時の集中には、かなりのエネルギーを要する。しかもやっかいなことに、この集中力は普段の練習では訓練することが困難である。ずっとたいしたミスなく演奏をこなした私だったが、ラスト2曲でミスが目立ち始めた。 たっぷり吹き込みたくても息が入らず、また上手く息が吸えず、指まで意に反して誤動作し始めた。なのに最後は大曲「ラテン・フィエスタ」である。ソプラノに持ち替えてからはミス連発で、聴いてくださったお客様には大変申し訳なかった。集中力低下によってここまでミスしたのは、私には初めての経験だったかもしれない。 間に休憩はあったものの、あれほどの曲数をコンサートでこなすのは初めてだった。2時間ものリサイタルを一人でこなすプロ奏者たちの偉大さを、改めて思い知った。この点は、私個人の今後の大きな課題である。
しかし、お客様からは「よかった」との声を多数いただいた。「もっと大きな場所で、もっと大勢に来てもらわなきゃ、もったいない」とまで言ってくださった方もあった。半数が立ち見という、悪条件の中聴いていただいたのだが、店主によると、立ち見を苦痛に感じる様子もなく皆さん聴き入ってくださっていたそうだ。楽しんでいただけたというのが、何より嬉しい。そして、そんな様子を肌で感じながら演奏できた我々も楽しかった。反省点は多々あるが、いいコンサートになったと思う。こちらの会場では、また是非コンサートをやらせていただきたい。
コンサート終了後は、近くのイタリア料理店で打ち上げ。いつも、これが何よりの楽しみである。コンサートの疲れを忘れて11時半近くまで食事と会話を楽しみ、自宅に帰ったら日付が変わっていた。疲れていたがHPを更新し、買ったばかりのコンパクトレコーダーの録音が気になったので、それを聴き出したら、自覚していなかった箇所でも反省点がたくさん出てきた為、結局4時近くまで一人反省会をしてしまった私であった。(^_^;)