コンサートレポート
管理人の視点から書き残したコンサートの記録です。
2006.7.21,22 カフェ・ミュゼ・りぷるにて
半年前にこのコンサートを計画した時は、この日のプログラムはアンジェロ七夕コンサートとほぼ同じ曲を使うつもりだった。だからこそ、七夕コンサートからたった2週間しか間隔が開いていないこの日にコンサートを設定した。しかし、ドラムの智ちゃんが出られなくなり、プログラムの大幅変更をよぎなくされた。
りぷるに予約希望のお客様から「ジャズばかりではちょっと・・・」というご意見があったそうで、今回は歌謡曲や日本の歌を取り入れて、ノスタルジックなコンサートにしようということになった。「見上げてごらん夜の星を」「上を向いて歩こう」「川の流れのように」・・・など。歌謡界の名曲である。こういう名曲を演奏するなら、まずはオリジナルを聴かねば! と、早速美空ひばりと坂本九のCDを入手。普段はテレビで流れていても聴き流すだけだったが、改めて聴くと実にいいものである。最近はこういった、後まで長く聴き継がれる名曲が少なくなったような気がする。(・・・と思ってしまう自分に年齢を感じてしまうのだが・・・(-_-;))まさかB.B.Q.でこういった曲に取り組むとは思いもよらなかったが、今回のことは我々がレパートリーを新たなジャンルに広げるいい機会だったかもしれない。さらに、小さなお子様もお客様に来られる情報が入り、急遽ディズニー物を2曲追加。名アレンジャーのピアニスト智子さんがさらさらっと2曲書いてFAXを送ってきた。かわいらしく、そしておしゃれなその出来栄えは、子供だけではなく大人も十分楽しめるものであった。ぱっと思いつき、さらさらっとアレンジし、ちょっと合わせてみるだけでレパートリーになってしまうところは、このB.B.Q.の魅力の一つである。 そして、プログラムの曲の半分が今回新たに取り組んだ曲であるにもかかわらず、たった2回の練習でコンサートができてしまうところも、このB.B.Q.の大きな魅力だと私は思っている。
ただ、練習回数が少なかった為に、最終練習の後で思いついた事は、ぶっつけ本番で演奏しなければならない。本番当日「上を向いて歩こう」では、エンディングを突然変えようという話になり、リハーサルで少し練習しただけで、そのまま本番で演奏した。「イパネマの娘」はアンジェロに続き2度目に使った曲で、練習回数は十分であったが、いつも自分が吹いていたアドリブフレーズが気に入らないと日頃思っていた私は、たまたまレンタルショップで見つけたCDに収録されていた同曲のアドリブフレーズが気に入って、密かに楽譜を書き換え、ぶっつけ本番でそのフレーズを演奏した。ところが、ピアニストの智子さんもその同じフレーズでアドリブ演奏するつもりだったらしく、「先にやられた!」と思った智子さんは、急遽その場で自身のアドリブで演奏したと後から聞かされた。やった者勝ちの私であったが、やはり練習で一度もやらなかったことを、いきなり本番でやるものではない。いや、せめて一言断っておくべきであった。智子さんには迷惑をかけて、申し訳なかったと反省・・・m(_ _)m しかし、全く動じず見事にアドリブ演奏を決めた智子さんは、さすがである。
今回は7月21日、22日と、2日連続でのコンサートだった。21日の方は4名、22日には12名のお客様にご予約をいただいていた。
1日目のお客さまに、私はお侘びしなければならない。言い訳をすると照明の加減で楽譜が見づらかったのが原因だが、練習回数が少なく演奏し慣れていなかったことも原因として否定できない。「くまのプーさん」演奏時にエンディングでD.S.やto Codaで飛ぶ箇所があったのだが、飛び先を間違えて今どこを吹いているのか、楽譜を見失ってしまった。それを察知した智子さんが、私が演奏するはずのメロディを演奏してくれた為、それに必死についていって事なきを得たが、プレイヤーとしては大きく恥ずべきミスであった。助けてくれた智子さん、ありがとう!そして1日目のお客さま、すみませんでした!m(_ _)m
しかし、この日のお客様の反応は暖かかった。「たった4人の為にもったいない」とまで言ってくださったその声に、我々もリラックスして演奏することができた。不破氏の語りに対しても「癒しの声」とのお言葉をいただき、「癒しではありません、皓(ひろし)です。」などと切り返す場面もあり、演奏者も共に心和むコンサートであった。また最後にはお客様から、リベルタンゴをリクエストしていただき、技術的に難しいだけに必死に練習したあの演奏を気に入っていただいたことを、すごく嬉しく思った。さらに掲示板に「幸せだった」とまで書いていただき、コンサートを聴いて幸せに浸れることがどんなに素晴らしいことか、小串先生や須川氏のコンサートで何度も経験しているだけに、自分たちが聴く人をそういう気分にさせることができた事が、とても嬉しかった。
1日目も精一杯演奏したつもりであったが、ぶっつけ本番で演奏した箇所を含め、後で録音を聴くと非常に反省点の多い演奏だった。日常の練習においても、マメに録音して自分たちの演奏を確認することが大事だと思い知らされた。ただ、ご理解いただきたいのは、ぶっつけ本番で演奏したのも、ひとえに「よりいい演奏をしたい」という気持ちからのチャレンジ精神によるものである。プロでもないのにいささか無謀ではあるのだが、この向上心はどうか、おわかりいただきたい。
・・・ということで、2日目は1日目の反省点を踏まえて演奏に臨んだ。楽譜を読み違えてミスを起こした「プーさん」は、前夜楽譜をパソコンで見やすい状態に作り換えた。本番前に心配な箇所、1日目に上手くいかなかった箇所はリハーサルを行った。万全な状態で臨んだ2日目であった。
2日目は12名と、前日に比べ人数が多く、また、あまりに真面目に聴いていただいた為、演奏中かなり緊張してしまった。私の場合、2日目は知人が来てくれたというのも緊張の一要因だったのだが・・・。通常コンサートというものは、静かにじっくり聴き入るのがマナーであるが、まだまだ自分達の演奏に自信がない我々は、あまり真面目に聴かれてしまうと、演奏中お客様の反応を感じることが難しく「つまらなかったのだろうか?」と心配になってしまう。実際今回はドラムなしで臨まなければならなかった為、リズム物がほとんどできず、聴き栄えする曲が少なかった。特に2日目は男性のお客様が多く、この日は歌謡曲よりジャズを多く取り入れた方が喜ばれたのかもしれない。しかし、そんな心配はどうやら無用だったようだ。「奥様の誕生日祝いに」と、ご夫婦で聴きに来てくれた私の知人からは、すごく楽しんでもらえたという感想をいただき、また他のお客様の反応についても、演奏中の我々までその空気が伝わらなかっただけで、十分満足していただいた様子だったと後から聞かされ安心した。
・・・たとえばホールでのクラシカルなコンサートを聴く場合には、堅苦しいマナーが必要だと思う。でも我々はもっとリラックスして気軽に楽しんでいただけるコンサートを目指しているので、もちろん演奏中に騒ぐのは他のお客様のご迷惑になるので控えていただきたいが、1曲1曲が終わった後、もし演奏を気に入っていただけたなら、マナーなど気にせず遠慮なく騒いでいただきたいし、もう一度聴きたい曲などがあったら、遠慮なくリクエストしていただきたいと思う。コンサートにおける楽しい空気は、演奏者だけではなく、聴衆と共に作り上げていくものだと思うから・・・。