コンサートレポート

管理人の視点から書き残したコンサートの記録です。

 2007.8.25 Angeloにて

 
 

 Angeloさんでの2回目のコンサート。去年は初めての事で勝手がわからず、宣伝やチラシ作成など全て智子さん任せだったので、今年はその仕事を私が一手に引き受けた。パソコン仕事が得意な私が本来はするべき仕事。また去年は作らなかったが、Angeloさんでの他のコンサートではプログラムを配布していた事から、今回はプログラムまで作成してみた。プログラムを配布する事で演奏する曲目を知らせるだけでなく今後のコンサートの宣伝やHPアドレスを知らせる事もできる。今後もコンサートでは極力プログラムを作っていこうと思う。今回は私個人的に事務仕事を随分がんばった。

 今回は2つの大きな挑戦があった。1つは私がピアノに回り、智子さんがピアニカでソロを吹くという初の編成。ピアノに関してはほとんど素人で、人前で弾くのは数年ぶりの私にとってはとても大きな挑戦だった。我ながら無謀だと思ったが、どうしても智子さんをソリストとして前に立たせたかったし、ソリストとピアニストが交代するという演出的な面白さを狙ってみたかった。最初はソフトなタッチを要求されて苦労したが、無謀かとの懸念に反してメンバーからはいい評価がもらえ、練習ではとてもいい手ごたえで、私も新鮮な楽しさを味わえた。またソロで聴く智子さんのピアニカは素晴らしく、思わず胸がジーンと来る独特の哀愁がなんともいえない。この演奏スタイルは是非確立していきたいもの。もう1つの挑戦は去年レッスンで勉強した「パントマイム」。小串レッスンで勉強する曲はそれなりに難しい。私は既に2回よその本番で経験している曲だが、基本はジャズ系コンボバンドであるB.B.Q.でどこまでできるか。一番大きな負担をかける智子さんが「多分できる」と言ってくれたので踏み切ったが、ベース・ドラムに関しては楽譜がなく、本格的なアンサンブルの技術が必要なこの曲がどこまでこなせるかが難しい所だった。実際これまでにない苦労を皆強いられたようで、大変な曲を提案した事を申し訳なく思った事もあったが、皆嫌な顔せずがんばって取り組んでもらえた事は嬉しかった。多少危なっかしい部分はあったが、どうにか仕上がりが間に合った。

 ドラムの智ちゃんが8月中不在だった為、8月に入ってからはドラムなしでの練習だったのも不安材料の一つだった。その為今日は午前中から集まって練習したのだが、さすが智ちゃん、練習に参加していなくても、イメージトレーニングだけでバッチリ我々に合わせてくれて、この日のリハーサルでドラムが原因で練習が滞ることが全くなかった。忙しくて一緒に練習できない事が多い彼女だけれども、だからいつも安心して任せられる。

 智子さんが「いそしぎ」の演奏を直前まで変更していたらしく、何やら心配そうだった。またパントマイムもCoda以降がやや焦ってしまうのが気になった。やはり本番を控えて緊張し始めていたせいだろうか? 私もいつもは問題なく指が動く箇所が今日に限ってなぜかもたついていた。他の曲も変なミスが多く、内心ちょっと心配なリハーサルだった。

 会場では録音レベルチェックと、一番心配だったパントマイム、そして私が初めてピアノを弾く為その感触を確認する為に「羽を忘れた天使」を通すだけに留めた。しかしやればやるほど焦るパントマイム。一体今日はどうしてしまったのか?

 そしてコンサート開始。1曲目、2曲目は特に問題なく進んでいったが、3曲目モリタートで私が馬鹿げたミスをやらかした。楽譜は全曲分コピーしてつないであったが演奏ではカットしており、普段は必要なページだけ楽譜を折りたたんで譜面台に載せていたのだが、この時開いているページの内容を確認せず演奏を始めてしまい、アドリブの2コーラス目は楽譜なしで演奏するハメに! 悪い事に暗譜が完全にできておらず、半分は本当にアドリブで演奏しなければならなかった。なんとか平静と保って演奏を続けたつもりだったけど、部分的に無茶苦茶な演奏になってしまった事が悔やまれる。でもその動揺にとらわれず5曲目のミッドナイトラヴァーは普通に演奏できたつもり。いろんな失敗を経験してきたお陰で、失敗を後まで引きずらないよう演奏を続ける事だけは身についてきたみたい。

 後半1曲目の「A列車で行こう」が終わった時の拍手がすごく大きかった。この手の賑やかな曲というのはやはり聴衆ウケするのか。こういうスタンダードナンバーは演奏する我々にとっても負荷が小さく、本番でもプレッシャーにとらわれず演奏を楽しめるのがいい。そして私が初めてB.B.Q.のメンバーとして人前でピアノを弾く「羽を忘れた天使」。ほぼいつも通り、音楽を見失う事なく演奏できたが、1箇所普段練習していてもよくミスする箇所があり、そこで不安がよぎった瞬間頭の中が真っ白になって、手が言う事を聞かなくなってしまった。慣れたサックスならすぐリカバリが可能でも、ピアノでそうなった場合リカバれるか心配だったが見失ったのはその1小節のみで済み、以降は問題なくいつも通り演奏が進んだ事にはホッとした。止まらなくてよかった(苦笑)。演奏経験がほとんどないピアノ、練習でいかに完璧に弾けても本番どうなるかわからないことが、今日よくわかった。

 そして問題のパントマイム。ずっと問題なく進んだがやはりリハーサルで焦っていたCodaは本番でも焦った。テンポが舞い上がり、朝から指がもたついて心配だった箇所は自分の指が自分のものでないような状態だった。普段の練習でもここまでひどい状態だった事は一度もなかったのに・・・。それでも日頃失敗が多いからと危機感を持って練習してあった箇所は上手くいったのだから皮肉なもの。調子のいい時は気持ちのいいほどノリ良く指も軽々と演奏できていただけに、この本番での出来はとても悔しい。いつもは問題のないアンコールのリベルタンゴもソプラノに持ち替えてからはパントマイムと同じ状態。どのミスも大きく音楽を崩したり見失ったりする事はなかったものの、不完全燃焼に終わった今日のコンサートだった。

 コンサートを終えてBCO(尾西ウィンドオーケストラ)関係者たちの声。まず真っ先に言われたのが「顔が引きつっていた」「1曲1曲終わる度に大きなため息をついていた」「テナーの音がイマイチ」など。さすがに普段一緒に演奏している人たちの言葉は厳しい。しかし、どんなに緊張していても極力顔には出さないよう努めていたつもりで、いつもは「とても緊張しているようには見えない」と言われるのだけど、客席が間近のアンジェロでは、その点隠すことができないのか? でも、考えてみたらBCOの人たちがソロ演奏している私の姿を前から見たのは今日が初めてではなかったか? 後ろ姿だけでは計り知れない部分がバレたにすぎないのかも(苦笑)。ただ、今日の本番はB.B.Q.でのこれまでの本番の中でも特に調子が悪く、確かに平静を装う余裕はなかったかもしれない。

 今回の選曲は少なくとも私にとってはさほど無理のあるプログラムではなかった。一番の難曲であったパントマイムも過去2回の本番では失敗なくこなしてきた。去年のアンジェロコンサートの方が曲数が多く休憩もなく、大曲ばかりで最後まで集中力が持たなかった記憶が残っているが、それでも失敗はほとんどなかった。今回なぜこんな悲惨な結果に終わったのか・・・? 智子さんが「今回ほど十分な準備のできない本番はなかった」と言っていたが、確かに彼女は6月の終わりから7月にかけて自身で本番を2つも抱え膨大な曲数を抱え、B.B.Q.との両立が相当大変そうだった。私自身もちょうどこの時期に抱えていたレッスンの課題曲が難しかった上に、来月に控える門下生発表会向けの準備も重なり、限りある時間の中どうしても難しい方に練習の比重が傾く為、B.B.Q.向けに割いた練習時間が少なかった事は否定できない。B.B.Q.としても「パントマイム」という初挑戦の大曲を抱えていたにもかかわらず、練習に集まる回数が少なく、準備開始が遅かった事も後々の焦りに結びついたかもしれない。

 皆それぞれに各自の活動、仕事、レッスン等を抱えながら、その合間を縫って練習し、集まっているB.B.Q.。だから思うようにスケジュールが合わない為集まっての練習回数が少なく、各自の準備も十分できない事が多い。それでもそれぞれが精一杯頑張った結果ではあるのだけど、やはり人前で演奏するからには、もっといい演奏を作り上げる工夫をしなければならないと思う。まずは各自が自身のスケジュールを調整し、その上でB.B.Q.でも無理のない計画を立てなくては! というのが今回の大きな反省点。また、集まる回数が少ない中パントマイム等に多くの時間がかかったり、ムダに休憩時間が長かったり等で、時間が足りずほとんど合わせられなかった曲もあった。バランスの良い練習計画も必要。今までもずっと慌しく練習回数の少ない状態で演奏活動を続けてきて、何も問題が起きなかった事がそもそも変だったのだ。今回の事は、いずれB.B.Q.が通るべき試練だったのかもしれない。

 私も個人的に練習方法を見直さなければならないことを痛感した。いくら普段の練習で完璧に演奏できても「本番は実力の8割出せれば上出来」という一般論を思えば、もっと精度を上げておくべきだった。今思うと練習では上手くできていたつもりでも余裕はあまりなかった気がする。また普段から失敗が多く危機感を持って練習した曲は意外に上手くいきながら、なんでもない箇所でミスするというのは最近よくある私の失敗パターン。練習がまだまだ足りないか、もしくは練習のやり方がまずいのだ。まずは自分自身が演奏を楽しまなければ、聴く人にも楽しんではもらえない。本番で演奏を楽しむほどの余裕を得るために自分はどう練習に取り組むべきなのか、今回の失敗は練習方法をじっくり見直すいい機会だったと思う。

 でも、こんな我々の反省に反し、お客様の反応は予想外に良かった。BCOでこそ厳しい事を多く言われたが、掲示板には暖かい言葉を沢山残してもらえた。これらの書き込みにメンバー一同がどれほど救われた事か! 次への大きな励みになった。今度は自分たちも満足した上で良かったと言ってもらえるよう、がんばろうね! B.B.Q.のみんな!