コンサートレポート

管理人の視点から書き残したコンサートの記録です。

 2008.4.19 稲沢市民会館小ホールにて

 
 

 今日はワンコインコンサート出演。このコンサートは、稲沢市民会館小ホールという、小さいながらもホールで演奏させてもらえるというのに、かかる費用はわずかな著作権料のみ。常連客も多いのでわざわざPRしなくても多くのお客様に聴いてもらえるという、とても魅力的な演奏の機会で、その為出演希望者が多く、申込んだ時点では「1年半以上お待ちいただく」と言われ、実際には去年の11月に順番が回ってきたものの他の本番が入ってしまい、ようやくこの4月に出演が叶った。申込みしてから2年近く待っての本番だった。

 本当は4人で演奏するB.B.Q.。しかし今回はドラムの智ちゃんが渡米中の為3人で出なければならず、3人でも楽しく聴いていただける曲のレパートリーがまだまだ少ないのだけど、これまで何度か演奏してきて好評だった3曲に加え、「上を向いて歩こう」を今回の為に智子さんがアレンジし、また以前からやってみたいと話していた「アディオス・ノニーノ」に挑戦しようと、市販の楽譜・参考音源からベースパート・ピアニカパートを起こし、今年に入ってからこれらの曲に取り組み始めたのだが、ベースパートが相当難しかったようで、不破氏には大変な苦労をかけてしまった。特に難しい箇所については音程・リズム等を厳しく追及し、ほんの30小節ほどの個所を2時間近くかけて繰り返すという、ウンザリするような練習を強いたこともあったけど、気長に付き合ってもらったお陰で、なんとかアンサンブルとしてまとめる事ができた。いつも「最後まで通ったらOK」という練習が多かったB.B.Q.が、ここまでじっくり1曲に取り組むのは初めて。大変だったけどいい経験だったと思う。

 「上を向いて歩こう」は、ボサノヴァでのアレンジで、最初演奏した時はとても新鮮で演奏も楽しかったのだけど、練習を重ねるほど「なんか違う」と違和感を感じるようになり、どう演奏したらよいかわからず悩まされた。本来はドラムが入るべきこの曲、シンコペーションが多くてリズムセクションなしで安定したリズムを流す事がとても難しく、なかなか音楽に乗り切れなかった。テンポを上げたり、元気よく演奏してみたりと、試行錯誤した上での今回の演奏だったが、聴く人の耳にはどうだったのだろうか?

 
 

 アンコール曲を準備する際、最初は「Love」を考えていたが、リズムセクションなしで演奏するには厳しいものがあり、どうしたものかと思っていたところ、最近購読を始めたデアゴスティーニの「COOL JAZZ COLLECTION」の2刊目「ビル・エヴァンス」のCDにダニーボーイが入っていて、クラシックでは「ロンドンデリーの歌」でお馴染みという点が面白く、この曲をいつかやろうねとメンバー内の話題に挙げていた中で、試しにちょっとだけ演奏してみたら、練習も打ち合わせもなしで合わせてみたにもかかわらず、いきなりいい感じで演奏できた為、本番2週間前にアンコールをこの曲に変更してそこからアレンジし、本番1週間前に1度練習しただけで臨んだ曲だった。いつもアレンジは智子さんに任せっきりだけど、今回ピアノソロの裏で演奏するオブリガートぐらいは自分で考えようと、初めてアレンジに携わった私。といっても自分で考えたフレーズは半分ぐらいで、あとはあちこちからパクったのだけど・・・(^^;ゞ
 

 個人的な事を言うと、3月末から仕事で毎晩帰りが遅く、まともに練習できない日々が続いていた。その上、2週間前には風邪をひいたり唇にヘルペスができたり・・・と体調も悪く、こんな事でちゃんと演奏できるのだろうか? と、個人的には非常に心配だった今回の本番だった。練習では何も心配する必要がない状態にまで仕上がっているのに、なぜか本番が心配でならない・・・最近の私はこうやって、本番前に必要以上に心配してしまう事が悩みの種。

 ワンコインコンサート当日の予定については、だいたい打ち合わせで聞いていたものの、7時が本番なのに荷物の搬入が6時にならないとできなかったり、リハーサルが15分程度しかできなかったり・・・と、慌ただしく時間が流れ、緊張する暇もないと思われたが、開場してから本番までの30分の待ち時間の間に緊張感がどんどん増していった。この待ち時間がいつも辛い。

 そして本番。あれほど心配した割に私はミスらしいミスはせず、どの曲も無難にこなせた。「やるだけの事をやって、あとは神様にゆだねる」ここ半年ほどはそのつもりで日々の練習に臨み、そう考える事でどうにか本番を大きな事故を起こすことなくこなしてきたが、緊張すると体中のあちこちに余計なな力が入り、思うようにコントロールできなくなってしまう。今回やはり「青春の輝き」がそうだった。万博時にスランプで思うように吹けず、人前で演奏する事に恐怖心まで抱いていたこの曲、練習では気持ちよく吹けるようになってきたのに本番になると万博時の恐怖がよみがえって思うように演奏できず、いつも後で悔しい思いをしなければならない。他のメンバーも結構緊張していた様子で、智子さんはピアノのペダルを踏み間違えたり、不破氏は途中楽譜を見失ってしまったり・・・と、それぞれが色々とやらかしていた様子(苦笑)。緊張を乗り越えて本番も楽しく演奏するというのは、我々の永遠の課題。でもそんな中、大きな事故はなく、ヒヤっとするような箇所もどうにか持ちこたえ、最後まで無事演奏できた事にはホっとした。そして心配だった全ての曲が終わった後のアンコール。何の不安要素もなく、元々練習でも気分よく演奏できていたこの曲は、本プロ曲を全て無事終えた安心感もあり、私自身は全く緊張する事なく、むしろホールに心地よく響く自分の音を楽しむ余裕すらあり、心底楽しんで普段の練習以上の演奏をする事ができた。いつも、どの曲もこういう風に演奏できればいいのに・・・1週間前に一度合わせただけの為、所々タイミングの合わない箇所はあったけど、今回このアンコール曲が私個人的に一番いい出来だった。「終わり良ければ全て良し」と言うが、本番中いろいろあっても、最後に満足いく演奏ができたおかげで、いい気分で本番を終えることができた私だった。

 終演後はホール出口にてお客様にご挨拶。決して満足いく演奏はできなかったのだけど、お客様方の声は「とても楽しかった」「素晴らしかった」「ファンになりました」「絶対また来てください」等、とても温かいものだった。これらの言葉で、上手く演奏できなかった自責の念やら、疲れやらが一気に吹き飛ぶ気分だった。お客様って本当に有難い。まだまだ未熟だけど、真剣に音楽と向き合っている私たちの思いがお客様に伝わっているのだと信じたい。このお客様の笑顔や温かい声が、いつも私に元気を与えてくれる。「次に向けてがんばろう!」と思えるだけのエネルギーを与えてくれる。この感動があるから、私たちは音楽を続けていけるのだし、この感動を味わえる事が、音楽をやる上での最大の魅力だと思う。当面コンサートとしての本番は予定がないけれど、夏に向けて本番の予定が3つほどある。またお客様に喜んでいただけるよう、がんばらなければ!