コンサートレポート

管理人の視点から書き残したコンサートの記録です。

 2008.7.10 尾崎中央ふれあい会館 2Fホールにて

 
 

  この日は父から依頼を受けた、コスモスの里でのコンサート。残念な事にB.B.Q.としての最後の本番となってしまった。メンバーが結婚したり、リーダーである不破氏の仕事との両立が困難になったり・・・その後メンバー同士が気まずくなる事態が発生し、私が10年間所属していた尾西ウィンドオーケストラと縁を切った事で尾西の会長だった不破氏とも決裂。B.B.Q.は解散する事になってしまった。互いに音楽が好きな者同士集まって楽しく活動をしていたハズだったのに、なぜただ音楽を楽しんでいられないのか? 周囲はなぜ温かく見守っていてくれないのか?…いつになったら、余計な気苦労を抱えないで音楽を楽しませてもらえるのか・・・?

 本題に戻って・・・コスモスの里というのは、私が住む尾崎団地内で、週に1度お年寄りを団地内の公民館に集め、一緒に楽しい時間を過ごすというボランティア活動で、ゲームをしたり、紙芝居を見せたり、時にはゲストを呼んでコンサートや芸を披露してもらったり、公演をしてもらったり・・・という事を、数年前からやっているそうだ。父が今年の春からその活動に参加しているが、毎週出し物を考えるのがかなり大変そうで、ゲストもなかなか見つからず困る事が多いという事で、私がB.B.Q.を巻き込んで協力させてもらうことにしたのがこの日の本番。

 通常コスモスの里の活動は、公民館の1Fで行われていて、その会場には古いエレクトーンしかなく、2Fならグランドピアノがあり、ピアノが不可欠な我々のバンドの為に特別今回は2Fを借りたとの事。だから、当初はお年寄り相手がメインのコンサートの予定だったのが、いろんな人に声がかかり、別の活動団体が興味を持って聴きに来たり・・・と、総勢70名以上が聴きに来るという、予想以上に大きな話になっていった。特にうちの近所の奥様方が、私が演奏するというのに興味を持って聴きに来ると言っていたそうで、お向かいさんも「楽しみにしているわ」と挨拶に来たり・・・お年寄り相手のボランティアだけのつもりが、ちょっと様子が違ってきたな・・・と複雑な心境でこの日を迎えた。

 不破氏と智子さんは一宮を10時に出ると事前に聞いていた。我々が会場の控室に入れるのが11時半。そんなに早く出なくても・・・と思ったが、途中迷うかもしれないという不破氏の配慮。でも迷う事なく到着したみたいで、10時40分頃「着いた」と連絡が! 近くの商店街に喫茶店があるので、そこで11時半まで時間を潰した。私がその喫茶店に入ったのが11時を過ぎていたのに、アイスコーヒーを頼んだらボリュームタップリのモーニングが付いてきたのには驚き! そういえば、長年この団地に住んでいて、商店街の喫茶店に入ったのは子供の頃以来かも。不破氏・智子さんも、緑の多いこの団地に旅行気分で到着したそうで、去年明治村で同じく「旅行に来たみたいね」と智子さんと2人話した事を思い出した。旅行に行った先で、楽しく観光して、おいしい物を食べて、そんな中コンサートができたら最高だね・・・そんな話で盛り上がって、コンサート前にいい精神状態に持っていく事ができた。

 喫茶店を出る頃、外に見たことある顔ぶれが・・・うちの近所の奥様方の集団だった。そのうちの何人かは来られると事前に知っていたが、他にも意外な顔ぶれが一杯! 予想以上に知人が聴きに来ることを知って、私は個人的にちょっとドキドキしてきた。

 11時半に控え室入り。そこで昼食を食べる予定が、変な時間にボリューム満点のモーニングを食べた為食べられない。この時間に我々が昼食を取ると連絡が通っていたのか、コスモスの里のスタッフが我々に汁物を持ってきてくださったのに、下げさせてしまったのは申し訳なかった。他にもコーヒーやお茶を入れていただいたり、お菓子を用意していただいたり・・・いろいろとお気遣いいただいた。

 そして12時に会場準備。広いとは聞いていたが吹奏楽の練習にも十分使えそうな広さで、100人お客様がいてもコンサートができる広さ。ただ、音響がデッドなのが私にはちょっとした難点。でもピアノを傾けて、イスを並べたら立派なコンサート会場になった。

 そして本番。商店街の喫茶店で過ごしたままの和やかな状態でスタートできた。が、ここで私がありえないミスを! 途中「ピアノとずれた!」と感じたものの原因が分からず、最後はどうにかピッタリ合わせて終われた1曲目の「夏は来ぬ」。後で確認したら私が間奏を4小節飛ばしてしまっていた! なぜそうなってしまったかは不明。速いテンポの中、ちょっと面倒なフレーズが無事できた! と安心して無意識に元のテーマに戻ってしまったか? さぞや智子さんが困った事だろうと思う。申し訳ない!m(_ _)m あとは、演奏面での失敗はなかったと思う。智子さんが「見上げてごらん夜の星を」を演奏する所を、間違えて「川の流れのように」を弾き始めたぐらい。でもそれもお愛嬌で、コンサートとしてはいい雰囲気が流れたと思う。

 
 

 私が内心上手くできるか心配していたのが、5〜6分程度喋ろうと思っていた楽器紹介。1時間演奏しっぱなしは演奏する側も聴く側も単調だろうと試みた事だった。サックスの歴史や、サックスの仲間、サックスが活躍するジャンル等を何日も前から原稿を考え、通勤の車の中で練習し続けた。カンペを使わなかったけど意外にどもったりド忘れする事なく、若干しゃべり忘れた内容もあったけど我ながら上手くできたと思う。お客様方が所々で大きく頷いて聞いている様子だったし、それらの表情から多分退屈させる事なく楽しく聞いてもらえたと思う。最後にクラシックのサックスがなかなか親しまれず、普段聴く機会がない事を話した上で、今日はクラシックの音色による演奏を「目の前で、生で、タダで聴いていただいている」と言った時には笑いまで取れた(笑)。あんな事、スランプから復活した今だからこそ言える事。(苦笑)

 リベルタンゴを演奏した後には歓声が上がった。あの曲はどこで演奏してもウケがいい。後で聞くと、ピアノとピアニカを同時に演奏する様子に皆驚かれるらしい。ノリも勢いもよく、最後がバシッと決まれば我々も実に爽快で、きっとそれがお客様にも伝わったんだろうと思う。リズムセクションなしでも演奏可能で、聴き栄えするこの曲は貴重なレパートリーだ。その後に演奏した「羽を忘れた天使」も、「ピアニカがあんないい音だとは思わなかった」との感想を多く聞いた。ピアニカを使うこれら2曲は、今後も大事に演奏していきたい。

 その後もコンサートは順調に進んだが、さすがに1時間吹きっぱなしというのはキツい。いつもせいぜい続けて演奏するのは30分。休憩なく1時間もコンサートを行うのは初めてだった。最後の方は疲労で集中力が途切れ、息が続かなかったり、指がもつれたりという箇所がいくつか出た。長時間のコンサートはなかなか経験できないので鍛えるのは難しいが、今後の課題にしなければ。

 「あっという間の1時間だった」と最後スタッフの方に締めくくってもらえて、このコンサートの成功を確信した。終わってから何人かが「とても楽しかった」と笑顔で言いに来てくださった。この瞬間が嬉しくてこの活動をやっているようなもの。また、子供の頃英語を教えてもらった近所の方に久し振りに会って「とてもよかった。また演奏する時には知らせてほしい」と言ってもらった事も嬉しかった。知人が大勢聴きに来てくれるコンサートというのもなかなかいいものだと今日は思った。直接私が受けた言葉はそれぐらいだけど、後で両親から「道ですれ違う度に『楽しかった』とお礼を言われる」とか、「サックスにあんな種類があるとは思わなかった」「感動した」「あんないい音だとは思わなかった」「曲と曲の間のトークが良かった」など、大評判だそうで、次から次へと良かったとの感想を聞かされた。

 アマチュアとして活動を続け、ここ最近人前で演奏する機会が増えてきて思う事は、意外に一般の人達は機会があればああいうコンサートをどんどん聴きたいと思っているという事。でも、高いお金を払ってホールへ聴きに行くには敷居が高く、クラシックにしろJazzにしろ、小難しい曲ばかりのプログラムでは多分良さがわからない。今回のように、一般の人たちが自然に楽しんで聴けるコンサートであれば、普段音楽に馴染みがなく、興味がない人でも十分楽しい時間を過ごしてもらえる様子だし、無料であったり、稲沢のワンコインコンサートのように低料金であれば気軽に足を運んでもらえる。専門家達によって、高い料金やギャラを前提に質の高い音楽活動を行う事も音楽の重要な楽しみ方の一つ。それがなければ私たちが楽しめない。でもそれだけでは一般の人々にはなかなか楽しんでもらえない。もし、プロとして第一線で活躍する人達の活動では一般の人々に気軽に楽しめないのであれば、一般の人々に楽しんでもらえる活動をする事が、我々アマチュアの使命じゃないだろうか? それは、ギャラをアテにせず活動できる我々にしかできない事じゃないだろうか? そして、我々の活動により音楽の素晴らしさを少しでも知ってもらって、それが一流の演奏家たちのコンサートに足を運ばせるきっかけになれば、それはそれで重要な役割なのではないか・・・などと、偉そうな事を考えている、今日この頃である。