コンサートレポート
管理人の視点から書き残したコンサートの記録です。
2009.7.11 稲沢市民会館 小ホールにて
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本来La Vie en Roseとして出演するハズだった今日の稲沢ワンコインコンサート、申し込む時点では、こんな状況になるとは夢にも思わなかったけど、智子さんの事情で別の伴奏者を依頼しての出演となった。何があってもキャンセル不可と言われていたワンコン、伴奏を引き受けてもらえなければどうなったことか・・・引き受けてくれた伴奏者は小串門下生発表会で毎回伴奏を弾いてくれる人、気心も技量も知れた相手なので何も不安はなかった。ただ、ジャズやポップスをどう弾いてくれるのか・・・が気になるところだったのだけど。
曲は明治村で使った曲をなるべく使いたいと思っていたのだけど、オリジナル曲など智子さんにしか演奏できない曲は変更しなければならない。また伴奏者には1ヶ月前という急な時期にお願いしたので、あまり大変な曲で負担をかけるわけにもいかない。そして私自身仕事で連日帰りが遅くて十分な練習時間がとれない事もあって、演奏し慣れた曲、過去に経験のある曲がいい・・・という観点で選んだプログラムだった。
B.B.Q.や前回明治村時等では、プログラムに変化をもたせる為に、1曲はサックスソロ以外の曲をプログラムに入れていた。これまではピアニカソロだったけど、今回は現役で活動しているピアニストが相手だから、ピアノソロを1曲お願いした。まさかショパンの幻想即興曲なんてすごい曲を弾いてもらえるとは思わなかったけど、聴き栄えする選曲に頭を悩ませる中こういう曲を弾いてもらえるというのは嬉しいもの。
この伴奏者とは、いつも小串門下発表会で取り組む難しい曲でも、1回の合わせだけで本番直前レッスンと本番に臨む。今回の曲は発表会に比べたらかなり難易度は低かったものの、彼女相手に初めて取り組むジャズ・・・とりわけ、前半でテンポを大きく揺らすスターダストが心配だった。でも、この伴奏者はいつもデモCDを渡しておくと、しっかり研究して練習に取り組んでくれるので、今回のスターダストも全く問題なく合わせができ、あんまり調子良かったから拍子抜けしたほど。ただ、この曲の後半は私の演奏を無視してテンポキープに徹してもらわねばならず、「伴奏としてソロを聞かずに自分の演奏に集中する」という事は経験がなかったんだそう。あと、これは予想の範疇だったけど、サマータイムの裏拍の取り方には苦労していた様子だった。あの曲は本来リズムセクションが入らないと難しいと思う・・・今までどのピアニストも苦労していたからしかたがないのだけど。
こんな、未経験な問題にちょっと苦労させた伴奏者だけど、彼女はジャズにおいてこれまで合わせてきた伴奏者の中で一番軽やかな演奏をする。最初はやや違和感を感じたものの、何度か合わせるうちに自分自身の余計な力が抜けてきて、逆に今までがリキみ過ぎていた事に気付いた。伴奏者が変わるとここまで自分も変わるものなのか・・・こんな演奏も悪くない。
ワンコインコンサート出演は2度目だから要領を得ていたのと、今回自分がピアノを弾かなくてもいい事、練習は十分できなかったけれど、演奏し慣れた曲ばかりだったのもあって、ほとんど緊張しなかった。伴奏者はソロで演奏する幻想を一番心配して相当緊張していた様子。そんな事なら、もっと気楽に楽しめる曲でもいいと言ってあげればよかったと反省。
今回一緒に出演のグループは、本業が音楽の先生のテノール歌手。奥様と一緒に来られて、2人とも気さくに話しかけてくださって、本番前に思わぬ楽しい時間を過ごせた。なんと、私たちの分までサンドイッチとジュースを用意してくださってて、これには恐縮。この場で食事しようなんて考えてもなかったから・・・このお礼に、この日の彼らの録音をCDにして送ってさしあげた。喜んでもらえるといいのだけど。
この会場は小さいけど音響は私好み。だから1曲目のアリオーソからとても気分よく演奏できた。何より気持ちよく演奏できたのがスターダスト。伴奏の雰囲気も最高で、明らかに練習時とは全然違う演奏をしている自分がいた。成功率100%じゃないベンドもきれいに決まった。こんな感覚を本番で味わうなんてなかなかない事。その演奏が単なる自己満足ではない事は聴いてくださるお客様の表情でも実感、ますます気分良く演奏できた私だった。いつもこんな風に演奏できればいいのに・・・
明治村で3日連続でコンサートを行った事でMCにも大分慣れて、明治村の時はカンペを作って譜面台に置いておいたのだけど、今回は会場へ向かう車の中でせっせと考え、何も見ないでやってみた。用意しておいた言葉がいくつか出てこなかったけど、おおむね上手くいったみたい。MCなんて絶対嫌だと以前は思っていたけど、慣れると意外に面白いかも。
でも、何もかも上手くいったわけじゃない。チャルダッシュでは明治村で3日連続で本番をこなした経験と、この日もここまでいい調子で演奏できた自らを過信し過ぎて、油断して1箇所指がもつれる箇所が・・・また悪いクセが出てしまった。この曲は慎重さを絶対忘れちゃいけないのに・・・。あと、アンコールの「青春の輝き」では、イントロ中に口の中で下歯にかぶせてある紙が外れて、直す間もなく演奏が始まって・・・間奏で直したから後半は普段通りの演奏ができたものの、前半は口の中の紙が気になって演奏どころではなく・・・多分聴いている人にはわからなかっただろうけど、気分的に本来の演奏ができなかったのが今日一番の失敗。長年演奏活動をしていろんな失敗をしてきたけど、こんな失敗は初めてだった。MCの度に紙を外すのが原因だろうけど、これは今後の注意点。
我々の演奏は前半で、後半はテノールのコンサート。舞台上手からこっそりのぞきながら聴いたのだけど、歌が明るくて楽しいばかりじゃなく、MCで何度もお客様から笑いを取っていた。私もあまり堅苦しい話はしなかったつもりだったけど、あれを聞くと私のコンサートは面白みがないかも・・・という気分になる。すごくコンサート慣れした様子に、色々と勉強させてもらった。演奏だけを上手くこなす事だけ考えていてはダメなのだな・・・
全く考えていなかったのだけど、コンサート後のインタビューでコンサートの宣伝をしてもいいと言われたので、ソロイスツの11月の演奏会を宣伝してみた。稲沢からは遠いのであまり期待していなかったのだけど、コンサート終了後お客様をお見送りする際、「行ってみたいから場所と時間を教えてほしい」と言われるお客様が何人かいた! 正直自分でもびっくりだった。コンサート中のお客様の表情もよかったけど、帰りに「とても良かった、ありがとう」と言ってくださる方がとても多かったし、美濃加茂という遠い会場でも行ってみたいと思えるほど私の演奏を楽しんでくれたのだろうか・・・と思いたい。
今回の伴奏者との今後の活動の為に、ステージのピアノをバックに衣装で写真を撮った。その場にいたスタッフにお願いしたのだけど、いいアングルをみつけるのってなかなか難しい。仕事で忙しい中、そのスタッフには何枚も写真を取らせて面倒をかけてしまったけど、おかげで結構いい写真が取れた。それが上の写真。
コンサートは、演奏者が聴衆を楽しませ、楽しく聴いていただいている様子の雰囲気で演奏者自身も楽しんで・・・そうやって、演奏者と聴衆が一緒に楽しい空気を作っていくのが理想と日頃思っていたけど、今日はそんな楽しい空気をすごく良く感じる事ができた気がする。度重なるコンサートに慣れてきたからか、不安な曲がなくてあまり緊張していなかったからか(ピアノを弾かずに済んだから?)・・・?特にスターダスト演奏時の、えもいわれぬ心地よさ・・・次はいつそんな演奏ができるだろう?