コンサートレポート

管理人の視点から書き残したコンサートの記録です。

 2010.5.15 Cafe HIGUCHI(各務原APITA店)にて

 
 

 Cafe HIGUCHIでの3回目のコンサート。今回はやや負担の重い曲があったり、軽いのを自ら重くしてしまった曲もあったり、直前で曲の変更があったり‥・と、今まで引き受けたTea Time Concertの中では一番大変だったかも・・・でも、なんとか曲の仕上げが間に合ってよかった。

 1週間前に「聴きに来るなら予約を取りにいくよ」と両親に言った時は2人共乗り気じゃなさそうだっだけど、出かける間際に父が聴きに来てくれると言ってくれた。予約した席じゃないと空いていても奏者が全く見えない席しかない。一人だけだし、そんな席より・・・と、カウンター席が空いていたので、父にはそちらに座ってもらう事にした。このカウンター席、実は譜面台が覗き込めるほど奏者に近い場所。そんな場所で身内に聴かれるというのも微妙な心境だったけど、譜面台に置いたカンペを読みながらMCをやるのに、他のお客様に見られるぐらいなら、その場所に父が座ってくれる方がいい。

 3回目ともなると、私でも常連客が誰だかわかる。見覚えのあるお客様が5名ほど。間近のカウンター席には父と常連のお客様が2名。いずれも父と同じぐらいの年齢に見える男性だった為、その席から独特の雰囲気が流れていた。正直、奏者にはちょっと怖い雰囲気だったかも。(苦笑)

 1部は軽めの曲を、2部に重い曲を集めた今回のプログラム。1部で場の雰囲気に慣れて・・・という意向もあったのだけど、軽めの曲といっても元の楽譜通りではつまらなかった為、2度目の繰り返しをアドリブに書き換える等自ら面倒な楽譜にしてしまったので、実は私にとってはあまり軽いわけではなかった。でも練習は十分してあったし、この1、2年はソロの本番がかなり増えて場慣れしてきているし、このTea Time Concertも3回目・・・緊張しながらも冷静さを失わず、集中力を保って演奏できたので、ミスなく無難に演奏はこなせた。ティコティコが練習時のテンポよりかなり速くて焦ったものの、これも冷静に対処。経験が確実に身になっている・・・のかな? なかなかMCの原稿作成に着手できず、実はこの日の朝ようやく完成して、午前中MCを交えての練習をして臨んだこのコンサート、苦手なMCも随分慣れてきたけど、できればやらずに済めばそれに越した事はない。タダでさえ緊張でロや喉がカラカラなのに、吹きっぱなし・しゃべりっぱなしで喉が中でくっつきそう。今回は1部の真ん中にお店の人によるコーヒーのお話が入って、そこで少し休憩できたのがありがたかったのだけど、その時水を飲もうとグラスを持った手が震えて水がこぼれそうだった。自分が自覚していた以上に緊張していたみたい。

 10分の休憩を挟んで2部。このコンサートは特にお店から指示が出される事なく、時間が来たら奏者が勝手に始めて進めるようになっていて、休憩も時間を見ておかなきゃいけなかったのに、今回は2人共休憩の開始時間を見てなくて焦った!‥・でも近くに座っていた父がちゃんと見ていて、教えてくれて助かった。今回父があの場所で聴いてくれた事には随分助けられた。

 後半は我々2人にとって重い曲が並ぶ。といっても私はピアノソロの間休んでいられるけど、ピアニストは気の休まる時がなくて大変だったと思う。特にGW中に急遽変えたナザレの2曲。2曲のうちの1曲ピアノソロは直前までその演奏に悩み、練習には苦労したとか。3回目にして初めてプログラムにピアノソロが入って、私はこのピアニストのソロ演奏を初めて聴いたのだけど、とても色彩豊かで説得力のある演奏。こんないい演奏をする人なのに、どうして今までピアノソロを入れようとしなかったのか? もったいない!! 伴奏とは大きく弾き方を変えているとの事だけど、伴奏といえどあまり演奏を抑えてしまうのももったいない事。考えてみると私はサックス以外のリサイタルをあまり聴きに行かないから、伴奏としてのピアノもサックス以外の伴奏で聴く機会がほとんどないのだけど、いつも聴くサックスの伴奏ピアノはいずれもフロントと張り合うような、ダイナミックな演奏が多い。もちろんサックスを超えてはいけないのだけど、伴奏ではなくサックスとピアノのデュオ・・・そんな感覚で演奏するのがいいし、そうある事で私も益々のびのびと楽しく演奏できる。だから遠慮しないでハデに演奏してほしい旨ピアニストには伝えた。ただ、このTea Time Concertは会場があまり広くないから私も普段の半分ぐらいのパワーしか出さないし、ピアノは電子ピアノだし、互いに本気をぶつけ合うスリリングな演奏というのは難しいかもしれないけど。

 本番の話に戻って・・・さすがに2部は若干小さいミスが・・・GW中に変更したナザレのブラジル風組曲。カデンツの後ピアノとタイミングを合わせるところで、本番前に確認したのに、私が自分の中でタイミングを合わせられなくてピアノと合わなかった箇所が1箇所。アヴェ・マリアは、これも予想外に速いテンポで弾かれたものの、これは演奏し慣れているのと、元々私が望んでいたテンポだったので、とてもノリ良く演奏できた。練習より数段いい出来ではなかったか? あんなに練習では苦労していたのに、このピアニストは本番にとても強い。ここまで大きなミスなく無事こなして気が抜けたか、最後のカルメンでは#や♭を落としたり余分に付けたりというミスを2箇所ほど・・・ちょっとした気の緩みでやらかすこの類のミス。来週の本番でもこの曲を演奏するから、気をつけなければ! でも、他に大きなミスはなく、緊張しても冷静さを保ちつつ、全体的にまずまずの出未だっだのでは? と自分では思う。父もそう言ってくれた。

 演奏終了後、2人のお客様から話しかけられた。一人は去年もお話したお客様。同じ市内に住んでおられて、市内で行われるコンサートは、小さいものでも足を運んでおられる様子。よっぽど音楽が好きなんだな‥・という感じ。そう、確か去年「サックスでのチャルダッシュは初めて聴いたけど、すごく良かった」と言ってくれた。今年はポール・デスモンド版で演奏したオルフェのサンバが良かったと言ってくださった。自分でも気に入っている演奏がよかったと言ってもらえるのは嬉しい。あと一人は去年もカウンター席で聴いてくださっだけど、今年初めて話しかけてくださったお客様。自らもソプラノサックスを習っているとか・・・今日のプログラムにソプラノを使う曲がなくて申し訳なく思った。あと、私が下の歯にかぶせている紙が気になったみたい。MC時は外さないと話しづらく、ステージ上ならあまり目立たないけど、あれだけ客席が近いと目に付いてしまうだろう。さらに、今日は起こらなかっだけど、付けたり外したり・・・を繰り返すと、演奏中に口の中で外れてしまう事もあり、そうなると悲惨。その点も、なるべくMCをやりたくない理由の一つ。

 3回目のTea Time ConCertも無事終わってよかった。選曲に悩み、苦しんだ今回。次回話が来たら、もっといろんな視点から曲を選べるような事前の準備が必要かもしれない。