コンサートレポート
管理人の視点から書き残したコンサートの記録です。
2010.5.22 ウェディングホテル アルモニーテラッセにて
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先週に続いて2週連続での本番。今日はM.I.G.として出演依頼を受けた、結婚披露宴での余興演奏。
当初30分ほどのミニコンサートとか、花嫁さんも参加するかも・・・など、いろんな話が上がったものの、余興に30分は長いと依頼者がプランナーから指摘をうけたらしく、2度に分けて演奏してほしいとか、何曲かをBGMとして使ってほしいなどとの様々な希望の変更があった中、結局3曲のみ演奏する事で話がまとまった・・・という形での本番だった。Tea
Time Concertと2週続きで、この披露宴の為に別の曲を準備する余裕はなかったが、Tea
Timeで使った曲や、来月明治村で演奏予定の中にいい曲があったので、選曲は問題なく決まった。
結婚披露宴で演奏依頼を受けた経験は多い私。ソロでも何度か演奏しているけど、前に所属していた楽団では毎年のように所属団員の披露宴に出ていた。その全ての依頼主が知人・友人であった為、演奏も仕事ではなく、あくまで友情出演。だからギャラがほとんどない代わりに控室有り・昼食有り・リハーサル有りなど、全てが高待遇だった。今回は仕事で受けた演奏依頼なので上記のような待遇は期待していなかったものの、リハーサルをさせてもらえたのは嬉しかった。というか、リハーサルをさせてもらえてよかった。思わぬ事態が多く待ち受けていた。
まず、ピアノがグランドではなくアップライト。そして開けられたフタの上とサックスの位置にはマイクが・・・生の音で演奏するつもりでいた私たちにとってはちょっとショック。専門家によってコントロールされたPAと違い、普通のマイクは音量バランスを乱すばかりか、苦労して磨き上げたせっかくの音色を損なう厄介な悪魔。でもビデオ撮影する関係で音をマイクで拾ってほしいという会場スタッフの言葉に従うしかなかった。会場のあちこちに設置されたスピーカーから聴こえる演奏は妙な感じ。ピアノから遠ざかるほどに聴こえる音は大きくなり、ピアノ自体からではなく部屋のあちこちから電子ピアノのような音が聴こえてくる。これにサックスの音がどういうバランスでどんな風に聴こえるのだろう・・・ピアノと違って私に代わって音を出せる人間がいないので、私は自分で確かめる事ができない。
さらにピアニストへの試練・・・どこからか吹き込んでくる風が楽譜を勝手にめくってしまう! 自分で譜めくりしながら演奏するピアニストは、楽譜をクリップで止める作業まで必要になってしまった。たまたま持参していたクリップも数が足りず、バッグの中を漁ってみつけたキーホルダーで楽譜を押さえなければならない有様。譜めくりにクリップ付け替えの作業を要する為、その間私は息が続く限りのフェルマータでピアニストの譜めくり時間を稼がなければならない・・・これだけの事を事前に確認できて本当によかった。ぶっつけ本番でこの事態に襲われたら大変だった。長く演奏活動をしていると、いろんな事があるもの。また一ついい経験が増えたかも。
控室も期待はしていなかったけど、一応用意してもらえたので、衣装を着て楽器をかかえたままロビーなどで待つような事はなかった。といっても、披露宴会場のすぐ隣の物置き。その日の披露宴で使う花束や小物類が置いてあってフロアスタッフが出入りするので、そこで着替えてもいいと言われても、スタッフが入ってきた時に開いた扉から披露宴会場が見えるような場所では着替えられない。着替えぐらいは遠くても別の場所へいけばいいが、披露宴の様子が丸聞こえのこの場所では音が全く出せない。もちろんこんな場所で練習する気はなかったものの、待ち時間の間一旦ケースにしまうリードを、本番前にマウスピースに付けて、微調整の為に音を出す・・・これができないのが辛かった。「着替える場所で控えていられる」という話だったので、普通結婚式場なら存在する着付け室で足を伸ばして待ち時間を過ごし、多少音も出せると思っていたので・・・予想外の事態が多かった今回の本番。
披露宴での我々の扱いは「スペシャルゲスト」。「扉をご注目ください」との司会者の声で扉が開き、照明がやや落とされた中スポットライトが我々に当てられて、招待客の注目を浴びながら会場の真ん中を通ってピアノの前へ・・・披露宴会場でのこんな事、結婚する当事者にならないと経験できない事かと思ってた(苦笑)。 演奏中はカメラマンに間近で写真を撮られたし・・・これは過去に経験済み。
で、問題の演奏はどうだったかというと・・・他の招待客のスピーチの間もそうだったけど、ビール瓶を持ってあちこちのグラスに注いで歩きまわる人が多く、まともに聴いているお客様があまりいない様子で、演奏中は終始ザワザワしていて、多分マイクを当てなければ生の音だけではほとんど聴こえなかっただろう。そんな状態で音量のバランスがどうだったかなど、もはや気にする事ではない。我々に演奏を依頼してくださった花嫁さんが多分一番聴きたかったのだろうに、交代にビールを注ぎに来る招待客の相手でほとんど聴けていない様子だった。花嫁さんも大変だ。私の方も、そんな会場の様子を目の当たりにしながら、間近で写真を撮られながら演奏に集中するのに一苦労。子供が目の前で走り回るような騒がしい中での演奏も過去に経験があるので、冷静に対処できて特に失敗なくこなせたけど、なんとなく不完全燃焼かも・・・まあこれも、奏者としての一つの経験、今後起きる演奏中の様々なトラブルに冷静に対応できる経験が一つ増えた・・・と思う事にしたい。