コンサートレポート
管理人の視点から書き残したコンサートの記録です。
2010.9.20 名古屋音楽大学 Doホールにて
![]() |
|
今日は門下生の発表会。毎度一番負担を感じる本番。取り組む曲が難しいのもあるし、若い学生たちの中で一人年配の一般人として出演する事にもずっと抵抗を感じている。本当はレッスンだけ受けさせてもらって発表会はパスさせてほしいのに・・・そんな勝手は許されないよね・・・
例年この時期は発表会に専念する為に、本番を入れないようにしてきたのだけど、今年に入ってからの私は、自身の意思に関係なく本番予定が次々入ってきて、練習しなければならない曲が多過ぎてパンク状態。それに加えて今仕事が最高に辛い状態で、そのストレスで練習に身が入らない事も多く、今回ほど練習不足で臨んだ発表会はなかった。とりあえず先週の伴奏者宅での合わせから1週間はなんとかこの本番に向けての練習に専念して弱い点を集中的に練習し、あとは開き直って出演しようと腹を決めた。失敗してもいい。十分な練習ができていなくて自信がない状態でも、開き直って冷静に本番をこなす・・・こんな精神状態を鍛えるいい機会だと思う事にした。集中練習が功を奏して、危ない箇所は結構安定してきた。短い期間でも、本気でやればなんとかなるものだ。
いつもは午前中に7分ほどのリハーサルをやるのだけど、今日は私に別の予定が午前中入ってしまった為伴奏者にも了解を得てリハはなし。いつも出演順が最後の私は、そのたった7分のリハの為に伴奏者共に1日拘束されてしまうのだけど、今日は5時半本番予定の為遅くても4時には会場入りすればいい状態。これが意外に楽だった。長い待ち時間でどんどん緊張が増す事がなくて。Doホールにしろ成徳館ホールにしろ、響き具合を知っているので、ピアニストさえ承知してくれればリハの必要はない。次回からもそうさせてもらおうか?
名古屋音大の建物が大きく変わって、以前まで本番前の練習をしていた部屋がなくなり、別の場所を用意してもらったのだけど、どうやら私達だけの為に特別用意してもらえたみたい。昨日のレッスンで伴奏者が先生に練習室の件を尋ねた事で小串先生が計らってくれた事。他の学生はどうしていたのか? おかげで十分本番前の確認をする事ができた。前日のレッスンでもほぼ問題なく演奏できていたのだけど、今日の本番前確認でも問題なし。2人共とても落ち着いて演奏できる。互いに完成度は高くないのだけど、そうとは思えない落ち着いた出来。これがこのまま本番でできればいい・・・と、一通り通して、気になる箇所をちょっとおさらいした程度で、合わせを40分ほどで終了した。
「開き直ろう」と腹を決めたせいか、それとも、元々出来がよくないのだからと諦めていたせいか、今までで一番緊張しない状態で待ち時間を過ごした。遅く来て待ち時間が少なかった事もよかったのかもしれない。今回の発表会は精神的負担がすごく少なかった。
そして本番。これまでで一番緊張していなかったといいつつ、全く緊張しないわけではなく、若干手が震えて怖い箇所があったものの、ほぼ冷静に対処。冷静になろうとするあまり思い切った演奏はできていなかったかもしれない。けど終始音楽的にはいいノリで演奏できたと思う。心配だった3楽章もズレる事なくクリア。さすがに自信がなかった4楽章はちらほらミスタッチが出たものの、知らない人にはわからない程度にはごまかせたか?(苦笑) 元より完成度の低い状態で完璧な演奏など期待していなかったけど、ミスしても上手くごまかして、音楽を崩さずいい流れで演奏できた事は、自分でも良かったと思う。
今日は夢路追連で演奏した時から私の演奏を度々聴きに来てくれる人が、今日も来てくれると事前に聞いていて、今回は完成度が低いだけにその人をがっかりさせないかだけが気がかりだった。花束まで持って来てくれたその人。100点の演奏ではなかったけれど、その人に恥ずかしくない最善を尽くした演奏はできた手ごたえにホっとした。帰る前に小串先生に挨拶したところ、先生には絶賛してもらえた。すごくノリが良かったと・・・。桜井先生からは「完璧だった」とも・・・小さいミスとはいえ、プロの先生が見逃すとは思えないので、「完璧」というのは冗談だろうけど、悪くない評価はしてもらえた様子。自信のない状態でもこれだけの演奏ができるようになった事については、精神的に進歩できた・・・のかな? 一時緊張しまくってボロボロになっていた時期を思えば、かなり度胸がついたかもしれない。本番機会を増やしてくれた緑山のお陰かな?
あまりに忙しくて、レッスンも発表会も、辛くて何度も辞めたいと思ったのだけど、こうやって本番を上手くこなせたりすると「また頑張ろう」と性懲りもなく思う私。まともにクラシックを演奏する機会が少なくなっているので、やはりこういう機会は大事にしなくてはと思う。次は「トマジのバラード」あたりで更に正統派な演奏を目指すか・・・なんて、またきっと後で辛くて「辞めたい」と弱音を吐くんだろうけど。