コンサートレポート

管理人の視点から書き残したコンサートの記録です。

 2010.10.9 巌立峡(がんだて公園)にて

 
 

 今日は下呂市小坂で行われた「小坂の滝めぐり音楽祭 in がんだて」への出演。8月の萩原に続き、下呂での本番はまたしても雨。誰か雨男でもいるのか?(苦笑) 

 今回の本番はリハーサルなしが基本なのだけど、ドラムの音つくり、マイクのチェックなどを緑山のサウンドで作るという事になっていて、リハーサルを十分させてもらえた。その為に朝10時に元ドライブイン「いちい」に集合で、朝7時半に出発。「いちい」から会場までさらに車で20分。遠かった・・・

 会場には萩原でやった時と同じステージが組まれていて、十分な大きさの屋根。だから雨の中の演奏でも支障はない。客席にはクレーンで大きな屋根が張られていたが、雨漏りはするし、時々屋根にたまった雨水が「ザバーン」と落ちて落ち着かない。晴れて暑いのも嫌だけど・・・ウッドフォーラムみたいに暑いよりもマシか?

 会場は左写真の崖がすぐ目の前に広がる場所。実物はすごい迫力。ここはパワースポットなのだそう。今日はここでパワーをもらって充電したいもの・・・なんて思った。

 ステージ上でのリハでは、なぜかメンバーは皆本番でやる曲ではなく「Back to Bop」をやり始める。リハで本番に関係ない曲をやるというのも変な感じ(笑)。でも本番の雰囲気でこの曲を練習できるいい機会だったかも。明日の練習に備え、前回練習以降徹底的にこの曲を練習し、超絶技巧箇所も簡略化してある程度仕上げてあったものの、やはり私はまだまだ。最初の吹き始めがテンポに乗れないし、十分ウォームアップされていない状態だと速いフレーズの中で音が全部鳴らないし・・・本番1発でこれを成功させるには、まだまだ吹き込みが必要だと思い知るいい機会だった。

 そしてやっと本番で演奏する曲のリハ。いつもはサウンドチェックのみでそれぞれの曲の一部をさらっとやる程度なのだけど、今日は時間がしっかりあったので、ほとんど全部練習した。こんなリハも珍しい。私は皆の音がよく聴こえるし、PAのバランスはお馴染みのPAさんに任せておけばいいから楽だけど、バックは聴こえづらかったり、または聴こえ過ぎたり・・・という事がいろいろあったみたい。毎度の事ながら、生の音じゃない演奏というのは色々と大変だ。リハ終了後にPAさんが「ソプラノの高音は抑えているけど問題ないか?」と確認に来た。このPAさんは萩原からこれで3回目。いい感じに仕上げてくれる事はわかっているので「お任せします」と言っておいた。屋外での本番ではとても重要なPAを、安心して任せて演奏できるって、いいものだ。

 この週末は本番に練習に・・・とみっちり吹かなきゃいけない予定だった中、その前の週にちょっと無理して練習したら下唇にヘルペスが・・・なんとかならないものか、このヘルペス。これができると、ひどい時には2週間近く練習できなくなる。以前は1年に1〜2度程度しかできなかったものが、最近頻繁にできる。特に長時間練習した後には必ずできる。体調を崩して抵抗力が落ちるとできるというヘルペス。頻度が増えてきたのはトシのせいか? それでも早目に塗っておけば悪化を防げる薬のおかげで小さく済み速く治ったものの、小さなかさぶたができてしまい、リハの最初は調子良く吹いていたけど、長いリハの最後の方でとうとう痛み出した。ちょっと本番が心配だった。

 我々のリハの後は、「飛騨小坂の歌」というのを作ったというスペシャルゲスト:高田簾多良氏のリハを聴かせてもらった。我々のリハの後、私に話しかけてきて楽器の事を尋ねてきた人が、そのステージでサックスを吹いていた。それで我々のリハを食い入るように見ていたのか・・・高田氏の歌はとってもいい感じ。心地よく聴かせてもらった。

 本番は、オープニングに地元の小学生による演奏から始まった。懐かしい、ピアニカ、リコーダーがメインの合奏と合唱。一生懸命、しかも楽しげに演奏する子供たちの様子が素朴で印象的だった。一番嫌いな教科が「音楽」だと言われる昨今、子供に楽しく演奏をさせるってすごく難しい事だと思うのだけど・・・素朴な田舎の子供たちだからなのか? そして演奏終了後にインタビューを受けていた子供の口から出た「手拍子が嬉しかった」との言葉・・・聴衆と一体になって音楽を楽しむ、聴衆からパワーをもらって演奏できるこの感動を、こんな小さなうちから感じる事ができるのは素晴らしい事だと思う。

 スペシャルゲストの演奏に続いて我々の本番。雨が本降りになってきて待っている間は寒かったのだけど、ステージに上がったらライトの熱で意外に寒くなく、上着を脱いで演奏できた。ステージに上がるまでの間に濡れない場所がなかった為、萩原と同じくステージ上でケースを開けて楽器を準備。それでも今回は準備時間に余裕があったので、バタバタする事なく準備ができた。本番ではリハでは聴こえなかったモニタからの返しが聴こえてきて、その音色が耳触りだったのだけど、客席に聴こえる音がいい音なのは経験済みなので、モニタの音は気にせず吹いた。

 実は個人的に練習不足で臨んだ今回。ソロイスツでのJIVEに、クリスマスに出演依頼があった16曲ものサックスアンサンブルに、先月は門下生の発表会もあり、Back to Bopの練習・・・これらでパンクしており、何度も本番を経験して吹きならされた今回のプログラムを、自宅ではほとんど練習しなかった。それでもSpainとMake Up in the Morningの指が複雑な箇所は度々確認したけど、My Loveは緑山の練習で合わせる以外全く吹いていなくて・・・いつもなら本番1週間前ではおさらいするものの、ヘルペスの為に本番直前の1週間は練習できなかった。その為、自宅練習で確認してあった箇所は安定して演奏できたけど、得意だったハズのMy Loveで今回はミスが出た。いくら慣れた曲でも全く練習しないで本番に臨んではいけないと今回は思い知らされた。さらにヘルペス痕が痛む為、唇のセンターを外してマウスピースを咥えていたので、高音も何か所か外してしまった。フラジオも当たらなかった。そんな中でもSpainは難しいだけあって常に危機感を抱いて取り組んでいる為こんな状態でも安定して演奏できる。やはり日頃の練習で危機感を持ち続ける事が重要。

 プログラムの最後は、B.B.Q.時代から吹き込み続けてきた「青春の輝き」。この曲はずっとクラシックの吹き方を基本に演奏してきたのだけど、なぜか今日はフュージョン吹きで演奏してみたくなって、普段の練習ではやった事のない吹き方で午前中のリハ、そして本番と吹いてみた。やはり自宅できちんと練っていない吹き方をいきなり本番でやるのはマズかったか・・・?(苦笑)。でも、吹き慣れたこの曲がとても新鮮に感じられた。今後はこの吹き方でこの曲を練り直してみるのも面白いかも?

 雨の中、治りきらないヘルペス痕、練習不足・・・悪条件が重なった本番だったけど、最後まで自分を見失わず、熱さを込めた演奏はできたと思う。コンディションに関わらず大きく演奏を崩さず本番をこなせるようになったのは、本番回数をこなしてきたおかげ。なんとか無事本番をこなす事ができた。

 そして演奏終了後、ステージ裏で楽器を片づけていたら、何人かが「感動しました」とわざわざ言いに来てくださった。そう、「感動した」と言われる事がとても増えてきたように思う。いつも嬉しいこの瞬間。何よりの褒め言葉だ。さらには、高山でライヴハウスを経営しているという人が「是非うちでライヴをやってください」とまで言ってくださった。これには緑山氏も大喜び。「どんな人が聴いているかわからないから、こういう本番もやっておくものだ」と。このライヴハウスの主人はクラシックにも精通している様子で、私の演奏が専門的に勉強したものだと見抜いていた。このジャンルで演奏していてそう言われたのは初めてだけど、こういう日頃の苦労をわかってくれる言葉は、「感動した」という言葉とは違った喜びを感じる。あちこちで演奏する度に好評な緑山の演奏。こういう事が続くと、もっと多くの人に聴いてもらって、その名を各地にとどろかせたいな・・・なんて欲が出る。もっと頑張ろう!