『ばれんたいんでー』というの世界の行事は・・
如月に女の子から男へ告白する行事だという・・。
でもを手に入れるためなら・・オレはなんだってする。
別に男から告白してもいいじゃないか・・と思う。
『ちょこれーと』がどんなものなのか知らないけど・・
これならどうだい?姫君はこういうの好きだろう?
揺れる気持ちの答え
〜ヒノエくんと未来を歩きたい〜
「おい、これすぐに用意できるか?」
オレはが天幕に入った後、自分の部下を陣に呼び寄せて
『あるもの』が手に入るかどうか・・訪ねていた。
「少し手間取るかもしれませんが、丑三つ時までにはなんとか。」
「そうか。悪いが頼まれてくれるか?」
「承知しやした、頭領。」
オレが頼んだのは、白い鳥の羽。
以前オレの耳飾を見たが・・・
『私、鳥の羽ってすごく好きなんだぁ。綺麗だよね。』
そういってオレの耳飾に触れていた。
その笑顔を思い出したんだ。
鳥の羽で、なにかの装飾品でも作ろう!
それを身に着けてもらえれば、他の奴らへの良いけん制になる。
弁慶にはそういことはあまり向いていないだろうから、
これならあいつを出し抜ける。
『ばれんたいんでー』というの世界の行事は・・
如月に女の子から男へ告白する行事だという・・。
でもを手に入れるためなら・・オレはなんだってする。
別に明日、男から告白してもいいじゃないか・・と思う。
『ちょこれーと』がどんなものなのか知らないけど・・
が笑顔になれれば、なんだっていいと思う。
・・弁慶には譲らない。はオレだけの姫君だ。
オレはとにかくその羽が到着するのを待った。
・・姫君の最高の笑顔を夢見て・・・。
「頭領、お待たせしやした。言いつけになったものお届けに参りやした。」
「ああ、ありがとう。ここへ置いてくれるか?」
オレは羽を持ってきた部下に、
天幕の中にそれを置くように指示した。
「それにしても頭領、こんなの何に使うんです?」
「・・いいだろ、別に。」
「は・・はい。」
それでは失礼します・・と部下はあわてて出て行った。
オレがこれについて言いたくないのに気が付いたのだろう。
・・簡単に気づかれては困るんだ。
の喜ぶ顔が見たいんだからな。
さて・・じゃぁ始めるとすっかな。
オレは天幕の中の蜀台に火を入れて・・その羽を加工し始めた。
小さな輝く石と一緒に羽を紐に括り付けていく。
それを小さな輪にして・・ほら、綺麗だ。姫君にきっと似合う。
完成したことに気をよくしたオレは・・
そのままどうやらその場に眠ってしまったようだった。
翌朝、天幕にかすかに差し込む明るい光で
目が覚めたオレは、昨日そのまま眠ってしまったことに気が付いた。
作るのにあまった羽が、あちこちに散らばっている。
オレはとりあえずそれを片付けようと身体を起こしたとき・・
天幕が突風にあおられて・・羽が天幕の外に少し吹かれていった。
「まずいね、まだ秘密なんだからさ。」
オレは外に出てしまった羽を拾い集めようと
早朝で少し寒い外に、天幕の幕を開けて出た。
「ヒノエくん!!」
天幕を出てすぐに・・愛しい者の声が聞こえる。
はぁ・・まだ黙っておきたかったんだけどね。
「おはよう、。今日は随分と早いね。」
「それ・・どうしちゃったんですか?」
「さっき片付けようとしたら突風にあおられてね。
天幕の外に出てしまったんだよ。」
「綺麗な白い羽ですね!」
ああ・・やっぱり。ならそういって笑顔になると
思っていたよ。・・だからなおさら、もう少し黙っていて
うんと驚かせてやりたかったのに。
「姫君のお気に召したかな?」
「うん!すごく綺麗だよぉ。こんなの見たことない。」
「それはよかった。オレの天幕の中にもっと沢山あるよ、それ。」
オレは自分の天幕につながる布をわざと風が起こるように
少し大げさに開けた。オレの天幕の中で、その羽が
入り口からの風を受けてふわっと舞う。
「うわぁ〜!!すっごく綺麗!!」
「姫君が前に『羽が好きだ』って言っていたから
用意したんだ。ばれんたいんでーとやらは、
女の子から男へって言っていたけど、オレは好きな
姫君のためなら自分からなにかしたいからね。」
「え?じゃぁこれ・・私のためにわざわざ用意して・・。」
「これだけじゃないよ。、オレが本当に渡したかった物は
天幕の中にあるんだ。おいで、姫君。」
オレは羽に見せられているを自分の天幕へ引き込む。
やっぱりその笑顔、オレだけのものにしたいね。
「ここに座って。付けてあげるから。」
「付ける??」
オレは昨日作っていた装飾品をの腕につけた。
羽と輝く石で作った腕輪。オレの耳飾にごく近い感じの形。
「これを私に?」
「そうだよ。オレには「ちょこれーと」ってものが
どんな物かはわからないし、の世界じゃ逆なのかも
知れないけど・・やっぱりオレは自分からちゃんと
気持ちを伝えたい。・・これはオレの気持ちだよ、。」
「ヒノエくんの気持ち・・。」
「は弁慶が好きなんだろう?」
「え・・あ・・えっと・・。」
「目を見ていればわかるよ。・・でも弁慶には譲らない。
オレは本気だよ、。」
オレはオレの作った腕輪をはめたの腕をとり
自分の胸元に引き寄せる。
「ヒノエくん!」
「今は・・答えを急がないよ。姫君の思う通りにしたらいい。
でも・・最後にはオレを選んで。オレは待ってるから。
・・大切な姫君のためなら、いくらでも待てるから。」
「ありがとう・・ヒノエくん。
ヒノエくんのことも・・好きなんだよ。だから・・」
そういってオレの胸にコトっと頭を乗せてきた
の口から小さな・・本当にごくごく小さな声で・・
『・・待ってて。』
そう聞こえた。
待ってるよ。オレの大事な姫君の願いだからね。
最後にオレを選んでくれたら、それでいい。
弁慶なんかには譲らない。
もう誰にも譲ることなんで出来ないんだ。
オレは本気だからね。
・・・オレのところに来てくれるのを待ってるよ。
いつまでも・・・
オレはオレの胸に乗せられたの頭を
優しく抱きかかえ・・そう思っていた。
FIN
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