「おや?随分ご機嫌斜めだね、俺のお姫様は。」


まぁ無理もないか。
ここのところ交易続きで海に出たままだった。
元々この世界の住人でないお姫様に、
俺のいない生活は、俺が思っている以上に退屈だ。


「しばらく仕事を休めそうなんだ。
どこかへ出かけようかと思っているんだけど?
行きたい場所はないのかい?」

「・・・・・・・・・。」


そう誘いかけても、俺の方を振り向きもしない。
こりゃちょっとまずいかな。


「返事が無いのは肯定と受け取るからね、。」


俺は強引に後ろからを抱き上げて、
そのまま表につないであった馬に乗せる。


「・・ちょ・・ちょっとヒノエくん!?」

「お喋りしてると、舌かんじまうぜ?」

「え・・・。」


俺はそのまま馬を走らせて、予定通りの場所へ。


「さぁ着いたよ。」


俺は目的の場所でを馬から抱いて降ろす。


「・・・って随分走ってきたけど、ここ・・どこ?
しかも勝手に・・。」

「ここは倶利伽羅。しばらく仕事詰めだったのは、
おまえをここに連れてきたかったからさ。
せっかく来たのにゆっくり出来なきゃつまんないだろ?」

「でも・・。」


まだちょっと拗ねている


「え!?ちょ・・ちょっと、なにこれ!?」


大きな布を被せる。その上からそっと抱きしめて


「これ、必要になるから。あそこで着替えといで。楽しみにしてる。」

「???」


そう、ここはちょっとした湯治場。
しかも紅葉もちょうど良い感じだし。
退屈でお疲れの姫君にはちょうどいいだろ?

ただ、ここは混浴なんでね。
君の体を皆に披露してやれるほど、俺は心広くないし。

温泉は好きだろう?

だがきっと・・俺が入ってきたら驚いて・・

でも今日は・・・俺は逃がしてあげないよ。
久しぶりに帰った旦那に随分冷たかったからね。
が『もうやめて』って言っても離してやらないから。

覚悟しておきな。





(野々宮の『後書きと書いて言い訳と読む』)

この創作は、Web拍手お礼用に作成したもので、
OffLineの忙しさから掲載しそびれてしまった作品です。
テーマが『秋』でした。
中途半端な感じもするので、掲載を迷っているうちに
すっかり世の中が冬になってしまった(^^;
というかわいそうな作品です。

この作品のもし続きを見たい・・なんてリクエストがあれば、
作成して差し上げますよ(^^;;