とても綺麗な濃い紫色のカード。 濃い紫色は王の色だと聞いたことがある。 『法王』と書かれたそのカードは、 王に相応しく、重厚感ある作りをしていた。 そう・・まるであの人が奏でていた音色のように・・ 紫の数珠を持ち・・帝の弟だった法親王。 本当なら、私なんかが気軽に話せるはずの無い 高貴な身分の人。 でもそんなのは微塵も感じなくて・・ とても繊細で、優しい・・とても優しい人。 私の体調を一番気遣ってくれて・・ いつも必死で私を守ってくれた人。 私を好きだって言ってくれたよね・・ 誰よりも大切だ・・って・・側に居たいって・・。 でも・・あの時私はまだ気がついていなかった。 一番大切だったのは・・他の誰でもないあなただってことに・・ ・・だからあの人が止めるのも聞かず・・ 私は一人現代に戻ってきた。 ・・京を離れたら・・もう二度と会えなくなるって・・ どうしてそんな簡単なことに気付かなかったんだろう・・。 異世界でであったとても・・とても優しい人。 でも奏でる音楽は、とても重厚で・・美しくて・・ いつも私を音を通じて励ましてくれたよね。 永泉さん・・私・・あなたに・・会いたい・・。 今とても後悔しているの・・京に残らなかったこと・・ あなたが大切だって・・気付かなかったこと・・ ・・私・・・永泉さんのこと・・・ 「そこにおられるのは・・神子・・ではありませんか?」 突然の声に私は振り返った。 「え・・永泉さん?」 後ろに立ってたのは、今、私の心を 占めている・・永泉さんだった。 「ほ・・本当に永泉さん・・なの? どうして・・どうしてこっちの世界にいるの!?」 「あ・・あの・・先ほどまで、自室で御仏に 祈りを捧げていたはずなのですが・・・。」 永泉さんがここにいることが信じられなくて・・ 私は思わず永泉さんに近づき・・・ 夢でないことを確かめようと・・彼の手を自分の 頬に引き寄せた。 「み・・神子。」 「暖かい・・本物・・だね。 また会えるなんて・・夢みたい。」 「私もとても驚いています。 どうしてこんなところに来たのか・・不思議です。」 「私もね・・駅前にいたはずなのに・・気がついたら ここに立っていたの。・・不思議・・だよね。」 本当に不思議・・夢の中にいるんじゃないかって・・ そう思うくらい。・・でも私はさっきまで大通りを 歩いていた・・。だとしたら・・これは『白昼夢?』 でも・・そしたら、この暖かい手は? 「神子、その紫苑の紙はなんですか? 先ほどから触れておられるようですが、札・・ですか?」 「ううん。これはタロットカード。 こっちの世界で占いに使う札のようなものだよ。 これは『法王』のカード。宗教者の代表だね・・。 ・・永泉さんみたいな職業の人だよ。 仏教で言うお坊さん。触っていたのは・・・ なんとなく気になったからだよ。 きっと・・この色が永泉さんの数珠の色に似てたから・・。」 「確かにその色は、私の数珠の色に・・良く似ていますね。 ・・これは私の勝手な考えですが・・神子は、この札で、 私のことを思い出してくださっていたのでしょう・・。 そして・・それはおそらく・・私が願ったからだと・・。」 「永泉さんの願い?」 「私はあなたが京を離れてから・・一度も あなたのことを忘れたことなんてありませんでした。 御仏に仕える身でありながら・・ 女性のあなたを・・神子を思い続けたのです。 そして・・・それは今でも変わらず・・。」 永泉さん・・今、なんていった? ねぇ・・ひょっとして・・まだ間に合うの? 私、気持ち伝えてもいいの? ‐‐‐‐龍神さま・・お願い、私に少しだけ勇気を! 『その願い、叶えよう。我が神子のために』 急に頭に響く低い声が聞こえた・・。 そのとたん・・お店の中が・・きらきらと 濃い紫色に・・美しく光りだして・・ 「み・・神子!?・・こ・・この光は・・。」 濃い紫色の光に包まれそうになる私を・・ 永泉さんはいつにない強さで私の腕を強く引き寄せて・・ ・・永泉さんの胸元へ私を引き寄せる。 「申し訳ありませんが・・神子をお譲りできません。 御仏に使える身が、このようなこと・・ 許されるとは思っておりません。ですが・・変えられないのです。 神子を思うこの気持ちだけは変えられません・・。 いいえ・・私自身が変えたくないのです! 神子を・・神子を私の元から連れ去らないで下さい!! どうか・・・私を神子のお側に・・・。」 あかね・・今言わないで、いつ言うの? 今度こそ・・ちゃんと伝えなきゃ。 大切な人の・・側にいるために! 「どこにも行かない。 私が好きなのは・・誰よりも大切なのは・・ 永泉さんだけ。・・・大好きです、永泉さん。」 私が思いを告げたとたん・・私を包んでいた 濃い紫色の光は・・うそのように消えていった。 『今の光は、その八葉を守護した『玄武』からの伝言。 われらは、神子と八葉が幸せになることを心から祈っている。』 また低い声が聞こえた・・。これは龍神さまの声・・。 「・・よかった。神子がご無事で・・。」 紫色の光が消えても、 永泉さんは私を胸に抱きしめたまま・・そう言った。 「え・・永泉さん・・それどうしちゃったんですか!?」 私が目を開けて永泉さんを見ると・・ 店が紫色に光るまでは、京にいたときのまま・・ 他の僧侶と同じように、肩から袈裟を掛けた あの姿のままだったのに・・ 今はとても現代的なブラウンのタートルネックの上着に クリーム色のダブルタッグのズボン。 さらに濃いブラウンのジャケットに・・帽子までかぶってる。 「どうやら、龍神と玄武の計らいのようなのです。」 「どういうこと?」 「先ほどの紫色の光が消える寸前に、私の頭の中に 大量の情報が流れ込んで参りました。 『神子と共に神子の世界で生きよ。』 私が最後に聞いた言葉です。 神子と共に生きていくために必要な情報を 玄武と龍神が私に下さったようです。 こちらの世界でいうなら 『クリスマスプレゼント』なのでしょうか。」 「ク・・クリスマスプレゼント!? え・・永泉さんの口から『クリスマス』 って言葉を聞くなんて・・。」 「これも頂いた情報の一つなのです。」 「そっか。クリスマスプレゼントか。 ・・大事にしなきゃだめだよね。 永泉さん、私やっと気がついたの。 私が側にいたい人は・・・大好きな人は・・ 永泉さんだってこと。」 「ありがとうございます、あかね。」 「永泉さん・・今、私のこと・・。」 「この世界には神子はいません。 お名前を呼ぶのが一番相応しいと・・教わりましたから。」 「うれしい!これからずっと一緒だね!」 「はい。では、『クリスマス』のやり直し致しましょうか?」 「やり直し?」 「もう一度、二人でクリスマスを過ごしませんか? あかねは確か・・駅前にいたのですよね?」 「うん、買い物をしようと思ってたんだよ。」 「ではまず買い物の続きから致しましょう。 お付き合いいたしますよ。・・ただ・・・ この不思議なお店、普通に出られるでしょうか?」 「多分、大丈夫。玄武と龍神さまの力だもん。」 そういって私は、この不思議な占いの店の扉を開けた。 大切な人・・永泉さんとこれからを過ごすために・・。 これも不思議なんだけど・・店から出た先は、 駅前の大通りだった。 そして・・後日、その店を2人で探したんだけど・・・ いくら探しても・・二度と見つかることはなかった。 これはきっとクリスマスがくれた『奇跡』だったんだと・・ 今ならそう思う・・。 メリークリスマス! Fin |
永泉EDでした(^^)
後書きは後日掲載します。
読んでくださって本当にありがとうございました。
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