赤い宝石のような綺麗なイチゴキャンディー。 それはまるで彼の額にあった宝玉のよう・・。 いつだって私を励ましてくれたよね。 まっすぐで元気で、誰より仲間思いで・・。 なんだかんだ言いながら、いつも最後は・・ 私のことをちゃんと守ってくれた。 お菓子のように、見ているだけで勇気が出る。 とっても頼れる・・明るくて元気な・・そんな人。 私を好きだって言ってくれたよね・・ 誰よりも大切だ・・って・・側に居たいって・・。 でも・・あの時私はまだ気がついていなかった。 一番大切だったのは・・他の誰でもないあなただってことに・・ ・・だからあの人が止めるのも聞かず・・ 私は一人現代に戻ってきた。 ・・京を離れたら・・もう二度と会えなくなるって・・ どうしてそんな簡単なことに気付かなかったんだろう・・。 異世界で出会った・・とても明るくて元気な人。 仲間思いで、私にもとても優しかった・・。 イノリくん・・私・・あなたに・・会いたい・・。 今とても後悔しているの・・京に残らなかったこと・・ あなたが大切だって・・気付かなかったこと・・ ・・私・・・イノリくんのこと・・・ 「・・・あかね・・なのか?」 突然の声に私は振り返った。 「イノリ・・くん。」 後ろに立ってたのは、今、私の心を 占めている・・イノリくんだった。 「ほ・・本当にイノリくん・・なの? どうして・・どうしてこっちの世界にいるの!?」 「それはオレが聞きてぇよ。 お師匠んとこで、いつも通り仕事していたはずなのに、 急に前が見えなくなったと思ったら、ここに立ってた。 ・・・そしたらお前がいるなんて・・驚いた。」 イノリくんがここにいることが信じられなくて・・ 私は思わずイノリくんに近づき・・・ 夢でないことを確かめようと・・彼の手首を掴んで 自分の胸元に引き寄せた。 「あかね・・。」 「暖かい・・本物・・だね。 また会えるなんて・・夢みたい。」 「なんでここに来ちまったかわかんねぇけど、 まぁ・・悪くねぇな、おまえに会えたし。」 「私もね・・駅前にいたはずなのに・・気がついたら ここに立っていたの。・・不思議・・だよね。 でも嫌じゃない、むしろうれしいくらい。」 本当に不思議・・夢の中にいるんじゃないかって・・ そう思うくらい。・・でも私はさっきまで大通りを 歩いていた・・。だとしたら・・これは『白昼夢?』 でも・・そしたら、この暖かい手は? 「なぁ、あかねが今触ってるそれ、なんだ? ここさっきから甘い匂いしてるけど、お菓子か? 赤くて・・まるで宝玉みてぇだけど。」 不意にそう聞かれて、私は先ほどまで自分が 触れていたイチゴキャンディーに目を移した。 「これは『イチゴキャンディー』だよ。 イチゴ味の飴なの。とても甘いお菓子だよ。 ・・綺麗な赤色だよね。 あのね・・イノリくんの宝玉みたいな色だなって そう思っていたの・・。」 「あかね、オレのこと忘れないでいてくれたんだな。 オレは・・変わんないぜ。おまえが京を離れたときも ・・今の気持ちも。ずっと変わんねぇし、変えたくない。 オレ・・あかねのこと・・。」 イノリくん・・今、なんていった? ねぇ・・ひょっとして・・まだ間に合うの? 私、気持ち伝えてもいいの? ‐‐‐‐龍神さま・・お願い、私に少しだけ勇気を! 『その願い、叶えよう。我が神子のために』 急に頭に響く低い声が聞こえた・・。 そのとたん・・お店の中全体が・・きらきらと 赤色に・・美しく光りだして・・ 「なんだ!?この赤いの!!おい、あかね大丈夫か!!」 赤い光に包まれそうになる私の腕を イノリくんは自分の方に引き寄せて、 私を両腕で抱きしめる・・。 「・・やっと会えたのに、もうどこにも行かせたくねぇ! オレはあかねが好きだ!もうこの気持ちは 止まんねぇ、いや止めたくねぇ。 オレの気持ちは変わらない! あかね・・もうどこにも行くな! オレの側にいてくれ・・・・。」 あかね・・今言わないで、いつ言うの? 今度こそ・・ちゃんと伝えなきゃ。 大切な人の・・側にいるために! 「どこにも行かない。 私が好きなのは・・誰よりも大切なのは・・ イノリくんだけ。・・・大好き、イノリくん。」 私が思いを告げたとたん・・私を包んでいた 赤い光は・・うそのように消えていった。 『今の光は、その八葉を守護した『朱雀』からの伝言。 われらは、神子と八葉が幸せになることを心から祈っている。』 また低い声が聞こえた・・。これは龍神さまの声・・。 「光が消えた・・。 よかった・・あかねが消えたりしなくて。」 赤い色の光が消えても、 イノリくんは私を抱きしめたままそう言った。 「イノリくん・・それ・・。」 私が目を開けてイノリくんを見ると・・ 店が赤色に光るまでは、京にいたときのまま・・ 赤い水干姿のままだったのに・・ 今はとても現代的なタートルネックの黒いセーターに 細身のジーンズ・・真っ白なコート上から羽織っている。 「龍神と朱雀の計らいみたいだな。」 「どういうこと?」 「さっきの赤い光が消える直前、なんか 頭にいっぱい情報が入ってきて、 最後に聞いた言葉が・・ 『神子と共に神子の世界で生きよ。』 だってさ。おまえと一緒に生きていくために 必要な物を龍神と朱雀がくれたんだな。 これってこっちの世界で言う 『クリスマスプレゼント』ってやつだよな?」 「クリスマスプレゼント!?」 「今日はクリスマスっていうんだろ? さっき頭に入ってきた情報の一つにそれがあった。」 「そっか。クリスマスプレゼントか。 ・・じゃぁ大事にしなきゃだめだよね。 イノリくん、私もう迷ったりしない。 やっと気がついたの。 私が側にいたい人は・・・大好きな人は・・ イノリくんだってこと。」 「わかってるよ、さっき言ってくれただろ? もうあかねを離したりしねぇから心配すんなって。 なぁ、クリスマスってやつをやり直ししようぜ。」 「やり直し?」 「もう一度二人でやり直し。あかね、駅前に居たんだろ?」 「うん、買い物をしようと思ってたんだよ。」 「じゃぁまずは買い物の続きからだ! ってこの店普通に出られっかな?」 「多分、大丈夫。朱雀と龍神さまの力だもん。」 そういって私は、この不思議な洋菓子店の扉を開けた。 大切な人・・イノリくんとこれからを過ごすために・・。 これも不思議なんだけど・・店から出た先は、 駅前の大通りだった。 そして・・後日、その店を2人で探したんだけど・・・ いくら探しても・・二度と見つかることはなかった。 これはきっとクリスマスがくれた『奇跡』だったんだと・・ 今ならそう思う・・。 メリークリスマス! Fin |
イノリEDでした(^^)
後書きは後日掲載します。
読んでくださって本当にありがとうございました。
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