蒼い綺麗なバイクをかたどった硝子細工。 バイク好きだよね・・・。 京から戻ってからも、烏丸通りを走る 天真くんのバイク・・よく見てた。 ・・でも声は掛けられなかった。 近いようで遠い・・・ ・・そんな存在になってしまった・・天真くん。 京で私を好きだって言ってくれたよね・・ でもそのときは、私はまだ・・気づいていなくて・・ 『無理、しなくていいんだぜ。』 そういって天真くんは笑ってくれた。 ・・私が返事が出来ないこと・・知っていたみたいに・・。 でも今は・・とても後悔しているの・・ ・・私、天真くんのこと・・・。 「あかね・・なのか?」 突然の声に私は振り返った。 「天真・・くん?」 後ろに立ってたのは、今、私の心を 占めている天真くん・・その人だった。 「まさか・・今日おまえに会うなんて思いもしなかった。 あかね、こんな店で・・なにやってるんだ?」 「天真くんこそ・・。」 「俺はさっきまで家にいたはずなんだが・・。 それより、あかねこそ、今日は駅前に 買い物に行くんだって蘭に言ってただろ?」 「・・うん。それが、駅前を歩いていて・・ 誰かに呼ばれたような気がして・・ 振り向いて見たら・・ここにいたの。」 「・・なんだ。俺と一緒か。 ・・それにしても変な店だな。 こんな寒い冬に、なんかこう・・寒い色だよな。」 「・・そうだね。」 そういえば最近は殆ど話もしてなかったような・・ そんな気がする。 「あかねの手元にあるそれ、バイクか?」 「そうみたい。綺麗な蒼いバイクだなぁって思って 見てたの。・・どこかで見たことあるような・・ そんな気もして。」 「・・そりゃ見たことあるだろ。」 「え?どうして?」 「俺のバイクと同じ車種がモデルだ、それ。」 「天真くんのバイクと・・同じ・・。」 「見てただろ?烏丸通り走ってんの。」 「え・・どうして・・それ・・。」 「見えてないようで、見えてるぜ。 同じ時間、同じ場所に歩道にいれば、 おかしいな・・くらいは思うだろう。 まして自分が惚れた女がそこにいるんだぜ。 気づかない奴はいないだろ。」 天真くん・・今、なんていった? ねぇ・・ひょっとして・・まだ間に合うの? 私、気持ち伝えてもいいの? ‐‐‐‐龍神さま・・お願い、私に少しだけ勇気を! 『その願い、叶えよう。我が神子のために』 急に頭に響く低い声が聞こえた・・。 そのとたん・・お店中の硝子細工が・・きらきらと 蒼く・・綺麗に光りだして・・ 「な・・なんだ?この光は!おい、あかね大丈夫か?」 蒼い光に包まれそうになる私を・・ 天真くんは私の腕を引っ張り・・私を引き寄せる。 「もう・・お前を見失うなんて・・沢山だ。 お前が誰を思っていようと・・俺は・・ 俺はあかねが好きだ。・・これだけは変わらない。 いや、変えたくない!だから・・行かないでくれ!」 あかね・・今言わないで、いつ言うの? 今度こそ・・ちゃんと伝えなきゃ。 大切な人の・・側にいるために! 「どこにも行かない。 私が好きなのは・・誰よりも大切なのは・・ 天真くんだけ。・・・大好き、天真くん。」 私が思いを告げたとたん・・私を包んでいた 蒼い光は・・うそのように消えていった。 『今の光は、その八葉を守護した『青龍』からの伝言。 われらは、神子と八葉が幸せになることを心から祈っている。』 また低い声が聞こえた・・。これは龍神さまの声・・。 「・・・よかった。またおまえがどこかへ 行ってしまうような感じがした・・・。 そんな思いは・・もうしたくない。」 蒼い光が消えても、天真くんは私を抱きしめたまま・・ そう言った。 「ごめんね、天真くん。私やっと気がついたの。 ・・遠回り、しちゃったね・・。 こんなに近くに・・いたはずなのに。」 「いいぜ。その分これから返してもらうからな。 ・・・もうあかねが嫌だって言っても、 離しやしないからな、覚悟しとけ。」 「うん。いいよ。もう大丈夫だもん。」 「・・クリスマスのやり直し、するか?」 「そうだね。せっかくだから買い物付き合ってよ。」 「よし・・ってこの店って出られるのか?」 「多分、大丈夫。青龍と龍神さまの力だもん。」 そういって私は、この不思議な硝子細工の店の扉を開けた。 大切な人・・天真くんとこれからを過ごすために・・。 これも不思議なんだけど・・店から出た先は、 駅前の大通りだった。 そして・・後日、その店を2人で探したんだけど・・・ いくら探しても・・二度と見つかることはなかった。 これはきっとクリスマスがくれた『奇跡』だったんだと・・ 今ならそう思う・・。 メリークリスマス! Fin |
天真EDでした(^^)
後書きは後日掲載します。
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