(2002.10)

国民総背番号制度

  政府が国民一人一人に番号をつけ、個人情報を完全に掌握することを真剣に検討し始めたのは、1970年(昭和45年:佐藤栄作内閣総理大臣)にさかのぼる。当時の行政管理庁は、行政機関の業務の無駄と国民へのサービスを向上するとの目的で、全国民の個人情報を一元管理する制度の導入を図った。しかし国民、野党の強い反対で導入は見送られた。いわゆる国民総背番号制度である。

  時の佐藤栄作内閣では行政管理庁(現在の総務省)を中心に大蔵、警察、外務、厚生、運輸など12省庁が『国民総背番号制度』の作成準備作業を進めた。そして全省庁が背番号制とIDカード導入で一致したのは、各省庁それぞれの黒い思惑があったからである。

 大蔵省(現:財務省)の狙いは「総合課税制度」だった。これは納税者に番号をつけることのより、例えばサラリーマンが給料の他に株取引などの投資や副業で収入を得ている場合、国民総背番号とIDカードを利用し、株や先物取引などから、それこそ競馬や競輪といった公営ギャンブルの当たり券の換金まで、カード提示を義務づければ不労所得を丸ごと捕捉して課税できることになるからだ。

 また厚生省(現:厚生労働省)は1997年から「基礎年金番号制度」を導入しているが、それとは別に個人の病歴、投薬情報のデータベースをつくって一元管理し、どの病院で診察を受けてもカルテの情報を共有できるようにすることを検討している。

 さらに警察(公安委員会)が管理する「運転免許」や犯歴情報、外務省の「パスポート」などそれぞれ別々の番号があるが、それらを住基ネットの住民票コードと結びつけることで、例えば役所にクレームをつけた住民の収入や病歴、その人物がいつ外国に旅行し、どこで交通事故を起こしたかまで瞬時にわかるようになる可能性を持っている。

 2002年8月に運用が開始された住基ネットは、まさに政治家、官僚による30年がかりの「最高機密戦略」の実現の第一歩となった。

<参考資料:インターネット、他>

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