【幻】


眠りにつくと、私はあなたが側にい夢を見るの。
毎夜繰り返される破滅の幻影とあなたの姿。

同じ道を歩んで欲しくないと思う反面、私は狂おしいほどあなたを求めていた。

夢の中で、あなたは私に微笑みをかけ、前世のように愛してくれた。
どんなに辛く苦しい戦いの中でも、あなたさえ側にいれば耐える事が出来たのよ。

目が覚めると、それは幻だと気づき、私はまた独り孤独な戦いの中に戻る。
ふと頬に手を当てると、私の瞳からは一筋の涙がこぼれていた。

この小さな海は私の心。
決して人には見せてはいけない私の心だった。

夢と気が付いた時の虚しさ・・・。
その理由は、ひどくあなたを求める私がいるからなのね。


     
                        END