所で夏休みも半分以上過ぎてしまった終戦の日の翌日、
ボク達はウチの町内にヒッソリと在る“古墳”へ宝探しに行く事に成った。
と言うノも、
一学期終業式の三日前、校内大掃除の最中、
ボクと柑チャン、夏休み直前と言う事も有りハイ・テンションで、
ホウキは放棄し廊下でオシリをプリンプリン振りながら歩く“モデルごっこ”をして居たら、
生徒会長とウチのクラスの副級長を兼任して居る物好きな“イトマキ”事、
井藤 末來の目に留まり、透かさず注意された。
因みにカノジョ、ホントは“未來”って命名されたらしいんだけれど、
役所に出生届を提出する際ケアレス・ミスから“末”の字を記入してしまった為、
ザンネンながら“末來”に成ったと言う…ウソかマコトかワカラン事を、
カノジョの父チャンが何かの寄合で飲めない御酒飲まされ酔い潰れた時に零して居たノを、
柑チャンの父チャンが拾い上げ、尾ヒレを付けて野に放したとの噂。
ナンにしろその大掃除の後、ボク達二人はイトマキから報告を受けたらしき担任の、
誰が付けたか“マドンナ”事、窓 杏奈先生に呼び出され、
二度と無いソノ日の貴重な放課後を職員室と言う消しゴムみたいな無機質なトコで過ごす事に成ったのだけれど、
ソノ際“渾名負け”したマドンナ先生からヘンな話を聞かされたんだ。
「今度サボったら二人だけでトイレ掃除して貰うからネ、イイ?」
「ハィ」
「柑チャンは?」
「ぇえっ…」
「ぇえじゃナイ、はいって言いなさい」
「‥はぁぃ」
「ホントは掃除だってチャンと見詰めて遣ればイイモノが沢山落ちてるんだから」
「イイモノ?」
つい二人口を揃えて尋ねてしまった。
「そぅ。退屈で何も無い様に映るモノにだってイイモノ‥
宝物が必ず一つは眠って居るの。哲チャンの町内に在る古墳、
誰も気に留めない様なアソコにだって実は宝が有るのよ」
「ええっ」
又も揃った。
「うん、でも見付けられる人はそぅは居なくて‥。
君達なら大丈夫そうだけど、フフ」
コノ話を聞き、ボク達の心はソノ“宝”へと躍った。
夏休みに宝探しだなんて‥ナンとウマい話なのだろう。
それで先に吾へと返ったボクが横目で柑チャンを見ると、
カレは目と口を半開きで今にもヨダレ垂らしそうな程、最早夢中に成って居た。
…まぁ実際は夏休みが半分も消え去るまでスッカリ忘れて居たんだけれど。
ソンナ訳でいよいよ明日、勿論愁チャンも加えたボク達三人は、
“宝探し”へと出発する。
|