皆さんの中には初めてタイに行く人もいるだろうし、何回もタイに行かれている方も多いだろう。
僕も、何度かタイへ行っている。
知人やイベントで知り合った人に「今までタイに行った中でどこが一番好き?」と聞かれる事があるが、いつも答えに困る。
どこもかしこも、それぞれ素晴らしいのだ。
バンコクは、排気ガスと灰色に染まった空が好きにはなれないが、毒々しいネオンの明かりや人々の喧騒、欲望に満ち溢れたそんな町、そんな人々の生きる事へのバイタリティが好きだ。
そんな喧騒が、心にある種のリズムとなって僕を再び明日へと導いてくれる町でもある。
僕はやはり嫁の実家がスコータイなので、スコータイが好きだ。
タイで初めて王朝が誕生した町。
古の遺跡は19世紀になり初めてユネスコが発掘、修復しただけあって、ひっそりと静かにそびえたつ。
それは、見るものに崇高な気を与えるような、静かでそして存在感のある建造物である。
建物をじっと見つめると、建物の内部から古の旋律が聞こえてくるようだ。
遺跡公園は緑に囲まれ、池が何箇所もあり公園にある売店の、ムーディッディオ(豚肉の干したもの)を食べながらビールを喉に押し込むとなんとも言えない。
はるかむかし、この場所で王族たちも僕と同じようにあぐらをかき、ツマミを片手に、この美しい公園で美酒を飲んだに違いない。公園を離れ少し都市部に行くと、バンコクとは違う活気に満ちた市場が顔を出す。
色とりどりの果物や野菜、見たこともない魚、そしてグロテスクなほどボリュームのある肉類が市場の主役だ。
市場で何かをツマミながら、バンコクよりはるかに安い価格で買い物をする。
バンコクとは違い、英語が話せる人間がいないので片言のタイ語で話しかけ買い物をしていくと、自分が市場に飲み込まれていくような感覚になる。
自分がタイ人になったような、そんな落ち着ける場所だ。スコータイは農家が多い。
嫁の実家も農家で、主に米を作っている。
農家は朝が早い。
飼っているニワトリの泣き声で目を覚まし、畑へ出かける。
ひと作業をしたあと、遅い朝食をとり、また畑へ出かける。
日中、陽がのぼり暑くなると仕事を中断し、酒を煽ったり、高床式住居の床下でハンモックに揺られ、スコータイの風を感じながら昼寝をする。
夜は幻想的な星空が灯り早めに蚊帳に入り眠る。
実に人間らしい生き方ではないだろうか?そんなスコータイが僕のベストスポットである。僕は南も好きだ、初めてタイに行ったのがプーケットだった。
海が好きな僕はプーケットにサーフィンをやりに行った。
サーフィンをするならば、雨季でないと駄目だ。
波がないのである。
日中に思う存分波に乗り、夕方にオープンエアーのバーに行く。
塩水でカラカラの喉にビールを流し込みながら外を見ると、赤でもなくピンクでもない夕焼けが水平線の彼方に沈んでいく。
それは、空と海との境界線がわからなくなるほどで、海からの吹き上げてくる潮風が、酒で火照った身体を優しく包む。マイトン島もいいだろう。
プーケット港から船で行き、白いビーチで自由気ままにたわむれる。
パルテノン神殿のような作りの、白を基調としたホテルのプールバーでプールに入りながら、プールから突き出た椅子でカクテルを飲むことができる。
とても美しい島である。結局、どこが一番かは言えないが、その土地その街独特の文化や、景色、人々があり、旅行者のニーズに答えてくれる。その土地をよりいっそう楽しみたいのなら、行く前に事前に情報収集するのもよいだろう。
いきあたりばっ旅もスリルがあり楽しいかもしれないが、やはり行く先々で後悔をしたくなかったり、自分のベストスポットを作るにも期待に胸を膨らませ情報を収集するのはよい事ではないだろうか?
これを読んで頂いた読者の方も、タイのガイドブックを開いてもう一度タイへ思いをはせても楽しいかもしれません。