ご は ん  (5年生)


 5年生の家庭の授業でごはんの炊き方を学習します。ここでは,

ごはんと米の違いや吸水による米の変化を調べ,ごはんの炊き方について考える。

おいしいごはんの炊き方がわかる。

ことが目標です。これを2時間扱いで,1時間目に炊き方について考え,2時間目に実際にご飯を炊く実習をします。
 この1時間目にちょっとした実験を考えてみました。きっと子どもたちには臨場感のある学習になるのではないかと思います。



 ごはんを炊く学習の1時間目の展開内容です。

準備物:米,水,茶碗,一人用土鍋,固形燃料,げん米・はい芽米・白米の拡大写真(教科書の資料を拡大したもの),細長いグラスに入れて1時間吸水させた米,計量カップ,ボール,カセットコンロ(教室を使う場合に使用します。学級数の多い学校ではいつでも家庭科室が使えるとは限りません。)

発問1.(カップに入れた米を見せて)「この米をごはんにするにはどうすればいいですか。」

 この発問に対する,子どもたちの意見を
「米に水を加えて熱する」
とまとめます。そして黒板に

米に水を加え,加熱すると,ごはんになる。

と板書します。その後,
「では,その通りやってみましょう。」
と,米(100ml)

と水(120ml)を


一人用土鍋に入れ


固形燃料に火をつけます。


 ここまでが導入です。米や水の量については何も言いません。何気ない雰囲気で,できるだけ早くあっさりと済ませます。そして,ここからはこの土鍋はできるだけ端に置いておき,沸騰しようが,カタカタ音がしようが無視して次のように授業を進めていきます。

指示1.「米に水を加えて熱すると言っても,いい加減にしたら,ふっくらしたおいしいご飯はつくれません。どのような水の量を加えて,どのように炊いたらおいしいご飯をつくることができるのか調べましょう。」

ということで,教科書を開き,

米の種類
米とご飯の違い
米の洗い方
米と水の分量
米の量り方
米の吸水時間
加熱のしかた
火を消した後に行うこと

等についてノートかワークシートにまとめさせていきます。そして,この時間の評価はこの記入内容で行います。

 この後の発表で次のような内容をまとめていきます。

・米にはげん米,はい芽米,白米の種類がある。
(それぞれの米の拡大写真を提示し,ごはんには白米だけでなく3種類があることの確認をし,その栄養面の説明をする。)

・米とごはんでは体積がちがう。
(この時点では板書するだけで簡単にすませる。)

・計量カップで量るときにはすり切りにする。
(各班に米,ボール,計量カップを配り,すり切りの実習をする。)

・米はかき回しながら洗い,3,4回水をかえる。

・水は米の体積の1.2倍,重さの1.5倍にする。

・米は30分以上吸水させる。
(細長い透明なグラスに入った1時間前に吸水させた米とその場で水を加えた同じ量の米の違いを観察し,なぜ吸水させて炊いた方がいいのか考えさせる。)

・時間を計って,強火,中火,弱火にしていく。
(コンロに火を点けて強火,中火,弱火の実習をする。)

・10分間むらす。

・むらした後,かき混ぜ,ふきんをかける。



 このまとめをしている頃,一人用土鍋のご飯が炊けます。(約20分で固形燃料の火が消え,10分ほどの蒸らしを入れると,授業が始まって30分過ぎにはふっくらご飯ができていることになります。)


 授業中コトコト,シューシューとご飯の炊ける音がします。子どもたちはずっと気にしていて,「先生水が吹き出ていますよ。」等言う子もいるでしょうが,教師はできるだけ知らないふりをして,ご飯の炊ける音をBGMにしながら授業を続けていきます。

 そして,一応のまとめが済んだ後,おもむろに
「えー,ごはんが炊けたようです。
米とごはんでは体積がちがうという発表がありましたが,本当に違うのか,ここで比べてみましょう。」
とそれまでずっと子どもたちが気にしていたであろう土鍋を正面に持って来て,ふたを開け中を見せます。
その後,土鍋のごはんを茶碗によそい,炊く前の量の米を茶碗に入れたものと比べます。(提示装置があれば,テレビに拡大して映します。)
 

 以上で,次の時間の実習への意欲づけとその手順等のイメージはできると思われます。

 余裕があれば,少し仕掛けをした土鍋をもう1つ用意し,それにも火をつけていっしょに炊きます。上のような展開をした後,子どもの代表1人(時間の関係で)に2つの土鍋のご飯を食べ比べさせ,感想を聞きます。すると片方は柔らかくて,片方は固いと言うはずです。そこでそのわけを考えさせます。そして,柔らかい方の米は30分ほど吸水させておいたものだという説明をします。

 固形燃料でご飯を炊くという方法はほんの思いつきですが,案外うまくいきます。またこういう簡単な方法ゆえに,吸水時間の違いがはっきり現れるように思います。材料は全て100円ショップで手に入ります。