始業式

 4月の始業式後に,各部から何か話をしなければいけないことになっています。もし来年度も生活指導部長だったら次のような内容の話をしようかなと今考えています。



 「愚か」って言葉を知っていますか?
 「愚か者」とか「愚かな人」とか言うことがあります。「賢い人」の反対が「愚かな人」です。つまり「愚か」とは賢くないということです。

 例えば,犬の背中に1億円をくくりつけると,犬は喜ぶでしょうか。そのお金を持ってお店に行けば,一生分のおいしい餌がもらえるのに,犬はそのお金の価値,ありがたさに気づくどころか嫌がって捨てていってしまうでしょう。その犬は愚かですね。

 ここにいるみんなはそんなことはしないと思っているでしょう。でもこの中に,この犬と同じぐらい愚かな人がいます。その人は自分の背中に1億円よりもっと高い宝物を背負っているのに,それに気づいていない人です。
 みんな全員持っているんですよ。ほら君も,(と言って前の子の所まで行ってその子の背中を指さして)ここにあるでしょ。分かってる?えっ?分かってない?君は?えっ君も分かってない!?
 じゃあ教えてあげましょう。みんな持っている何億円よりも高い宝物。それも3つもあるんですよ。

 1つ目は「命」です。自分の命は1つしかありません。今生きているのは当たり前ではないのです。もしかしたら,明日重い病気になるかもしれないし,事故にあうかもしれない。今元気でいられるのはすごくすごくありがたくて,幸せなことなんです。自分の家族の命もそうです。いつかは家族との別れもきます。自分や家族が今生きているありがたさ,大切さに気づいていない人は愚かな人です。

 2つ目は「言葉」です。言葉というすばらしい能力を持っていても,そのすばらしさに気づいていない人がいます。言葉の本当のすばらしさ,大切さに気づいていない人が,「死ね」とか「ばか」とか「うざい」とかいう汚くて,臭くて,醜ーい言葉を使います。こういう汚い言葉を使った回数だけ人はどんどん汚く,醜くなっていきます。逆に「頑張れ」とか「きれい」とか「うまい」というような,人を元気にしたり,明るくする言葉を使うほど人の心は綺麗になっていきます。そんな言葉の力に気づかず,汚い言葉を使って醜くなっていく人が愚かな人です。

 3つ目の宝物は「友達」です。友達がいるから学校は楽しいのです。その友達を大切にできない人は愚かな人です。

 どの宝物も,持っている時はそのありがたさが分かりにくく,大切に使おうとしません。そしてなくした時に初めてその大切さに気づきます。まるで昨日までの春休みのように。

 さあ,みんな新しい学年になりました。一生に一度だけの学年です。今日から「命」「言葉」「友達」という自分の宝物を大切にできる賢い人になっていきましょう。