
| 生活指導担当として,全校に掃除態度の改善を求めていかなければなりません。そこで,掃除中の様子を見て回り,よく掃除をしている子の学年,クラス,名前をチェックしていきました。またその様子を写真に撮っておきます。 戸のレールの間を掃いている所や,便器のふちを棒ずりで丁寧にこすっている所も写していきます。約10人ぐらいの写真を撮り,クラスや名前を照合しておきます。また,ゴミステーションに出されたゴミ袋の中で,先をくくっていないものも写真に撮ります。 登下校と同じように,掃除についてもスライドを使いながら全校朝会で話をしていきます。スライドではよく掃除をしている場面を次々に映し,その仕方や子どもの名前等を紹介していきました。またゴミ袋の先をくくってない写真を映し,注意もしていきました。しかし,これだけで次の日から劇的に掃除態度が変わるようなことはありません。何日かしてゴミステーションで待っていると,やはり何人かゴミ袋の口が開いたままで持って来る子がいました。ある女の子に「この前注意したことを覚えている?」と聞くと,「覚えている。」と言います。「じゃあなぜくくらないの?」と聞くと,「めんどくさいから。」と平気で答えました。 その場で袋の口をくくらせて返しましたが,「めんどくさい。」と平気で言えるところに絶望感を持ってしまいます。この子たちの中の一人でも,掃除を本気でするようになっていってほしいものだと思いながら,ステーションの中のゴミ袋を1つずつ見ていきました。すると,口が開いたままの袋が4つありました。これからのために,出したクラスに返して注意しなければなりません。どこか後ろめたい気分になりながら,これも仕事と割り切って袋の中からクラスを特定するブツを探し出します。 生活指導は嫌われ役,という漠然としたおそれを持っていましたが,出されたごみ袋の中をあさりながら,それが今現実となりそうな予感がしていました。担任にしてみれば午後の授業を始めようとしているところに,ゴミ袋の中から自分のクラスだと調べて,わざわざ一度出したゴミを持ってこられて,突き返されるのです。感情的に遺恨を残すことになるのだろうという覚悟をしました。 集会で「ゴミ袋の口をくくりましょう。」と指導しても,「覚えているけどめんどくさい。」という理由でそれができない子がいるということが分かったので,このように個別に直接的に指導していくしかないと思いました。掃除時間中ゴミステーションの前に立っていれば,ゴミ袋についての指導はできますが,掃除自体の指導ができなくなります。そこでゴミステーション前でのチェックは,委員会の活動の1つに入れてもらうことにし,掃除中は校内を指導して歩き,最後にステーション内のチェックに行くことにしました。 掃除始まりのチャイムが鳴っても,実際は教師はなかなかその指導に動けないものです。プリントの採点や連絡帳への記入,プリント印刷,授業準備等をしている途中に掃除が始まるからです。昼休憩に始めた仕事を,掃除時間にもつい続けてしまいたくなります。しかし,その誘惑を振り切って掃除時間には必ず指導に回るようにしています。 子どもの掃除への意識を変えていくには,少なくとも掃除中には全職員がいっしょに掃除をし,指導や評価をしていくことが最低限の必要条件になります。一事が万事です。このような当たり前のことができる学校には自然と規律が生まれてくるように思います。 |