一人ひとりが主体的になり,                
           能率的で定着率の高い
新出漢字学習法

教師は見ているだけで
児童だけで学習が進み
教師が教えるより楽しく,意欲的に
書き順,画数等が自動的に修正されていき
鉛筆の持ち方,姿勢,まで改良され
字を丁寧に書くようになり
必要最低限の漢字練習で
漢字に対して自信を持つようになる
漢字学習法です。




はじめに

 「1つの漢字」が学習内容として学校で扱われるのは,普通,ある学年の,ある1時間の中でのほんの短い間だけです。それ以降は,「既に習った」漢字として,その字自体については,一生の間,何らかの縁がない限り,書き順等の学習を丁寧にすることはありません。
 それでも別に困らないし,漢字なんて所詮それぐらいなものだと言ってしまえば,それまでですが,一生使っていくものについて,その出合いの学習の瞬間ぐらいは,いくらか丁寧に出合わせたいものだと思います。

 しかし,新出漢字の学習は,国語全体の学習進度との関わりの中で,つい時間を節約し,簡単に済ませてしまいやすいところでもあります。そこで,漢字学習については,とかく教師主導で,児童は,漢字の読み,書き順等の説明を受けながら,黙々とノートに漢字を書いていくだけになりがちです。もっと忙しくなると,新出漢字の学習は,漢字学習専用の分厚い学習帳などを与えられて,「宿題で」ということになってしまうこともあるのではないでしょうか。

 これでは,多くの児童が,誤った書き順や,不完全な字体で漢字を覚えてしまうことになります。また,逆に漢字一字ずつについて,教師がその成り立ちから,書き順,部首,トメ,ハネ,熟語例,用法,意味,他の音訓の読み等についてまで説明し,時々児童にも発問しながらの
漢字学習では,1時間や2時間では到底1単元分の新出漢字の学習はできなくなり,ますます国語授業の進度を圧迫することになります。

 漢字学習のような,答えがはっきりしていて,ひたすら定着のみをめざせばいいようなものは,できるだけ効率的に短時間で済ませていきたいものです。また,そのような学習は,教師があまり介在しなくても,学習者だけで進めていけるようなシステムを作りだしていきやすい分野でもあります。
 但し,各自に任せた個人学習のシステムにしてしまうと,注意力不足等で誤った覚え方をしてしまうことが案外多くあり,一生の中では,とんでもない時に,つまらないことで恥ずかしい思いをしたり,困ったりすることもあります。
 「国語学習」では,正確な日本語の読み書きを次世代に伝えていくことが,まず第一に大切なことであるはずです。

 この新出漢字学習法は,とかく退屈で不正確になりがちな漢字学習に,児童が主体的にならざるを得なくなり,しかも能率的で,各自の覚え方を確認しお互いに訂正していける漢字学習のシステムの一つです。





         授業の実際
                
   
準備物

   「くりかえし漢字ドリル」
   
「国語ノート」 「漢字テストノート」


ステップ1(読みを確実に)
前時に,ドリルの新出漢字の入った短文20文の読みを確実にしておきます。(ゾンビチェック方式がお勧め) 
まず,読みだけを確実にしておくことが重大なポイントです。読みと,書きを一度にすると負担が大きくなります。
そして,このとき難しい言葉の意味もはっきりさせておきます。(ゾンビチェックをせず,教師が一人ずつ読みのチェックをする場合は,読みが合格した子から下のようなドリルのページの中で意味の分からない言葉を辞典で調べ,そのドリルに意味の書き込みをさせます。時間が無い場合は教師から説明をしておきます。)
                                      
           

ステップ2(説明練習)
一度に学習する漢字の量は,上のドリルの番号では,1から10までの10短文に含まれる新出漢字だけにします。
少ないときは1文字,多いときは5,6文字になりますが,それでもかまいません。

漢字学習をする前日の宿題で,その新出漢字の読み,書き順,部首等の説明の練習をさせておきます。
漢字の説明は,ドリルの前のページを見ながら行います。(その説明の仕方は最初は学校で教えます。詳しくは,この後に紹介しています)


             

ステップ3(新出漢字の板書)
授業では,児童は机の上に,「くりかえし漢字ドリル」と「国語ノート」を用意しておきます。
黒板には,上横一列に新出漢字の入った熟語を書いておきます。(慣れると,これも児童が書くようになります。)
上の例では,1から10までの10短文の中で,4,5,9の短文の中に新出漢字がありますから,黒板には



        
              


         
              
                     

と意味の分かる最低限の熟語で書きます。また,送りがなもつけて覚えた方がいいような漢字は(「話す」等)送りがなもつけて書いておきます。
もし,1から10までの10短文の中に新出漢字が入っていない場合は,黒板には何も書かずすぐにステップ7に移ります。

ステップ4(漢字の説明)
初めてこの「新出漢字学習法」を始める場合は,この後説明する方法で,教師が全てやって見せます。
因みに,私が4月に新しい学級を持って,初めてこの方法を教える時は,次のように言います。

「みなさんは,新しい学年になりました。
そして,新しい先生と勉強していきます。
当然,漢字の勉強の仕方も新しい方法になります。
今日からみなさんが漢字を勉強する方法は,
K・K式漢字学習法といいます。
この方法で勉強していくと,漢字がいつの間にか頭に入り,テストの点もぐんと良くなります。
今から先生が漢字の説明をしてみますからよく見ておいて下さい。
後で誰かに同じようにやってもらいます。
では,最初の漢字の説明をします。」


(ここからは特に,教師はしっかり演技をします。爽やかに,すっきり,歯切れ良く,子どもたちがこんな姿で説明してくれたらいいなーとイメージしてみて,その通りにやってみて下さい。)

(黒板の「事件」の「件」を指さして)

「説明します。
これは,事件の件です。
部首は,
(と言った後,「件」の右横に黄色のチョークで部首だけを書いて)にんべんです。
書き順は,1,2,3 ・ ・ ・
 (と言いながら,白チョークで一画ずつ数えながら腕を伸ばして,後ろから児童が書き順を確認できるようにして書いていく)です。
どうですか。」


             

「ここで,どうですか?と聞かれたみなさんのすることについて説明します。
今黒板に書いた字の書き順や,トメ,ハネ,画数などの説明で違うと気づいた人がいたら,『他に。』と言って,挙手します。
前で説明している人に当ててもらったら,その人と交代して,前に出てきて違うと思う場所に赤チョークで丸をし,再度画数を言いながら一画ずつ書いていきます。
もし,最初に説明した人の字が正しいと思えば,『同じです』と言ってあげて下さい。
では,ここでは,先生が書いた字がみんな正しいと思ったことにしましょう。先生が,『どうですか。』と言いますから,みなさんは,『同じです。』と言って下さい。
はい,今漢字の説明が済んだとします。
『どうですか。』
(と言って,児童に『同じです』と言わせる。)
ありがとうございます。
では,次。
もし,このようにみんなに『同じです』と言われたら,前に出ている人は今書いた漢字の気をつけるところ,間違いやすいところをどこか1つ考えて,そこに赤チョークで丸をします。
例えば,トメやハネ,線の長さ,書き順などについてです。
この「件」でやってみます。
気をつけるところは,下の線を長くすることです。
(と言いながら,赤チョークでその部分に丸をする。)

             

練習して下さい。
この,『練習して下さい。』で,みなさんは,自分の国語ノートに「件」だけでなく,「事件」と熟語で書いて練習していきます。
漢字練習の時は,国語のノートの最後のページから逆に使っていきます。
ノートの最後のページの左端から書いていくと,書いた字の上に手を置くことがなく,手が黒くならないからです。
普通の授業の時は,最初から順に使っていって下さい。」

  

このような説明を教師が何度か行い,段々にそれと同じ説明を児童にさせるようにしていきます。
当然,最初の内は上手にできるわけがありません。
昔から「言って聞かせ,やってみせて,やらせてみて,ほめてやらねば人は動かじ。」と言われているそうです。
説明をしかけてつまったら,どんどん一緒に言ってやって真似をさせていれば必ずスムーズにできるようになります。
また,早くさっと言える子がいたら,思いっきりほめてやれば,子どもたちの中で自然にかっこいい説明の姿のビジョンができあがっていくものです。
この説明をする時,前の教卓の上には,「救いの神(紙)」として漢字の説明が書かれたページを開いて漢字ドリルを置いておきます。
児童が前で説明をする場合,宿題で練習はしているといっても,途中でつかえたり,自信がなくなって自分の机のドリルを見に帰ったりすると,時間が長くなるからです。
また,ドリルが前にあり,見てもいいことになっていると出てくる児童も安心して出て来られるからです。

この「漢字の説明」を今までは教師がやっていました。
当然,教師ですから,児童よりもっと詳しく,時にはその成り立ちから丁寧に教えることもあります。
そうすることで,より意味深く漢字を覚えるだろうと思ってのことでした。
しかし,実際はそんなに面白い成り立ちの漢字ばかりあるはずもなく,一応は説明をしても,時間がかかるばかりで,聞かされる児童たちからも何となくどんよりとした退屈な雰囲気がひしひしと押し寄せてくる感じがしていました。
そこで,上のような形で,児童にさせてみたところ,一気に漢字学習に緊張感が生まれてきたのです。
教師の説明では,間違いもないだろうと思って,児童は受け身になってしまうのです。
ところが,友達の説明には,書き順や,画数の間違いがどんどん出てくるのです。
それを見つけようとする時,まるでクイズの間違い探しのような面白みが生まれるようです。
更に,時々は,児童の説明が済んだ後,教師の方から,
「今の漢字の書き順には間違いがあります。分かる人いますか。」
とか,
もっと緊張感を持たせるためには,
「全員手を挙げなさい。今の漢字の書き順でどこに間違いがあったか言える人は,手を下ろしなさい。」
などの指示をしたり,全員起立させて,言える子は座らせてみてもいいでしょう。
勿論,この前提には,人の間違いを笑ったりしないクラスであるということが必要ですし,上の例に挙げたような緊張感を持たせるための発問も,教師はニコニコしながら,「さあ,どうかな?」といった,いたずらっぽい明るい言い方が大切だと思われます。
そして,もし言えれば,「すごい!」と大袈裟にほめればいいし,分からなければ,「次,よく見ておこうね。」でどんどん進めていけばいいと思います。
また,児童も次は説明することになるかもしれないと思うと,前日の宿題での確かめも本気になるようです。
なお,「部首」については,まだ学習していない学年もありますが,「漢字にはこういうきまりがあるんだよ。」ぐらいで,とにかく「漢字」と「部首」というものをつなげて,ドリルに書いてある部首名を読むだけでいいですから,小さい内から「部首」も意識して学習していく方がいいように思います。

ステップ5(児童同士の指名)
教師の真似をして説明が済んだ児童は,最後に「練習して下さい。」と言って席に帰り,自分もノートに熟語を書いていきます。
そして,その児童は,ノートに3回熟語を書いた後,
『○○さん(君)お願いします。」
と,次の漢字の説明をする人を指名します。
指名された人が前に出てきて,
「説明します。」
と言うまでは,他の児童は何回もその漢字の練習をしています。
そして,「説明します。」の声と同時に全員鉛筆を手から離すという約束をしておくと,説明に集中できます。
以下,これを繰り返します。
初日は,教師が最初の字の説明をしますが,次回からは,最初の字の説明も児童にさせます。
その時の指示としては,
「今日は,○日だから,○番さんお願いします。」
とか,
「最初の漢字,説明しようと思う人どうぞ。」
「先生とジャンケンをして勝った人に最初をやってもらいましょう。」

等,いろいろあります。
教師は,書き順,誤りやすい箇所,その字の覚え方のコツ等で付け加えがある時だけ口を出します。
時々は,教師対全児童で向かい合って,空書きをしてみることもあります。(「必」等の特に書き順を間違いやすい字の場合,教師は逆空書きをしながら確認していきます。児童が前に出てきて全員と向かい合って逆空書きをするという実践も聞いたことがありますが,漢字をみんなに向かって逆に書いていくというのは,ちょっと荷が重いように思います。)
このようにして,10短文中に含まれる新出漢字の練習を済ませます。

ステップ6(再度,再度書き順の確認)
ここまでに児童は宿題で書き順を確かめ,友達の板書を見てまた書き順を確かめ,ノートに練習していきます。
しかし,ここでもまだ書き順が違っている児童が必ずいるはずです。
そこで,最後のつめをもう一度します。
新出漢字の最後の漢字を説明した児童は,ノートに3回練習した後,こう言います。
「書き順リレーをしましょう。」
この指示が出されると,児童は,各班で集まり,一人ずつ順番に(班では前もって班員独自の通し番号を決めておきます)今学習した漢字を1字ずつ全部順番にノートに書いていきます。
他の班員は,その児童の書き順の間違い,姿勢,鉛筆の持ち方等を指摘しながら見ていきます。
また,字が丁寧だったり,きれいだったりした場合も,
「きれいです。」
「かっこいい字です。」
等,「いいです。」だけでないOKサインを言わせていくと活気づくと思います。
中にはすごい褒め言葉を創り出してくる児童もいます。(チョー,ウルトラ,グレート,スーパー,スゴイデス。 ・ ・ ・)
全員の書き順の点検が終わった班は,漢字ドリルの小問題等に取り組んでいます。

ステップ7(漢字テスト)
全部の班の書き順リレーが終わったら,黒板の字を消し,その漢字が含まれた漢字ドリルの問題10短文(1〜10)のひらがなで書かれたページを開かせて,漢字テスト用ノートを使ってすぐテストを始めます。
  
        

この時,タイマーを5分にセットします。
と,いっても5分経って,すぐに出させるわけではありません。
特に1回目のテストの時は,時間もかかると思われます。
5分は,一つの目安にします。
同じ場所を次の日もテストしていくのですが,きっと段々5分以内にできるようになっていくはずです。
もし,5分以内にできて持ってくる児童がいれば,「早いねー!」としっかりびっくりして見せるだけでいいと思います。
時間を気にさせる理由は,1番から順番に漢字を考えていって,途中で,分からない問題があると,ずっとその問題で時間を使ってしまう児童がいるためです。
5分を意識させると,とりあえず分かる問題から先に済ませるようになります。
また,漢字学習のためにあまり時間を取りたくはないのです。
次の日からの漢字テストでは,授業始まりから5分後にはテストの提出が終わり,採点をして返しているようにしたいのです。
さて,テストができた児童から前に持ってくるわけですが,できればその子の後ろに列ができない内に猛スピードで採点をして,すぐ返すようにします。
この漢字学習法のキーポイントの一つは,新出漢字を習って,すぐその後にテストを行うという点です。
例えばこれが,ステップ6までで終わって,家でまた練習するということにすると,あれだけチェックしたにもかかわらず,まだ習いたての字ですから,ちょっとした思いこみで間違った形で練習してしまい,わざわざそれを定着させて学校に来る,ということがあるのです。
ステップ6までチェックにチェックを重ねてきたのですが,最後のチェックとして,このテストで教師が字の最終チェックをするのです。
そして,違ったところは書き直させて,正しい字を意識させてから練習の宿題を出すことになります。

ステップ8(テストの繰り返し)
テストを返された児童がまずすることは,ドリルの答えのページを開いて,違った漢字のあった文の上にチェックをすることです。
まずチェックをして,その後児童は答えを見ながら直して100点になるまで提出を繰り返します。
100点になった児童は音読等をしています。(音読勝負がお勧め)
違った字を直して持ってきた児童には,教師はすぐに丸をせず,まず,
「ドリルにチェックしていますか。」
と問います。
まだしていないという児童には,
「まずドリルにチェックをしてから答えを直す癖をつけましょう。」
と言って,丸付けはせずにすぐ帰させます。
1ヶ月もすれば,大体まずチェックするようになります。
なぜチェックをするかというと,その日の漢字練習の宿題は,そのチェックした短文だけを3回ずつ漢字練習帳に練習することになるからです。
このとき,必ずその短文全体をそのまま写させます。
漢字とその用法を一緒に覚えるためです。
その方が実際の場面で使えるはずと思ってのことです。
当然読み仮名も必ずつけさせます。
次の日提出された宿題の漢字練習帳は,できれば始業前にチェックしておきます。
違った短文を続けて3回ずつ練習していますから,教師もちゃんと1短文ずつ大きく丸をしていきます。
親もそういう点検をしてもらっているのを見て,教師に対する信頼感も持つようになります。
漢字や送り仮名が違っていたり,読み仮名がなかったりした場合は,それがたとえ3回の内1回だけ違っている場合でも,その部分を四角で囲み,そこからノートの上の欄外まで矢印を引き,そこに直すべき正しい字を書いておきます。
児童は,その日の内に休憩時間等を使って四角で囲まれた部分のある短文を新たに3回ずつ書き直して提出しなければならないということにします。
違った部分を消して,そこだけ直すようなことはさせません。
このチェックを厳しくすることで,家での練習をいい加減にしなくなります。
しかも,100点を取れば,その日の漢字練習の宿題はなくなるのですから,100点を取ろうと,家での練習も本気でするようになります。

このようにして,新出漢字を学習した次の日から毎日同じ場所のテストを,国語の時間が始まると同時に行うようにします。
教師は,授業始まりのチャイムが鳴り終わると同時に,(席についていない児童がいても)
「漢字テストをします。場所は○ページの○番から○番までです。用意できた人から始めなさい。」
と言った後タイマーのセットを黙って,わざとらしくします。
その内,子どもたちは,何も言わなくても,前の時間に漢字テストの用意だけして休憩するようになってきます。
また,そういう子が出てくるまで様子を見ていて,ある日そういう子が現れたら,大いにほめると,全体に影響が出てくるはずです。
時には,
「今日は5分きっかりで,書いている途中でも出してもらいます。80点以下の場合は放課後再テストをしてあげます。」
とか言うのも,効果あるでしょう。

このようにして,基本的には漢字テストは国語の時間には必ず行うようにします。
それも,できれば国語の授業を圧迫しないよう,テストと採点,直しの全てを7分程度で終わり,その時点でまだテスト直しが済んでいない児童は,その後の休憩時間にするよう伝えて,早く授業に入りたいと思います。
また,同じ場所を何回もテストしていきますから,違った漢字がある文の上にするドリルへのチェックも,同じ印では,どれが今日のチェックか分からなくなってしまいます。
そこで,1回目は間違った文の上に○をつけ,2回目は●をつけるようにすると,昨日と同じ文が違った場合は,そこに○があるので,それを塗りつぶせばいいようになります。
そして,3回目は赤色で
をして,4回目はというようにしていきます。

同じ場所のテストを2,3日続けて,ほぼ全員が100点を取れるようになったら,次の10短文の学習に移っていきます。
進度としては,その時学習している国語の単元の次の単元に出てくる漢字をテストしているぐらいがいいと思います。
毎日ですから,ドリルのページの1から20までの20短文を全員が大体正解できるようになれば,一つ前の単元に戻ってまたテストを繰り返すということをしていきます。
これを日常的に行っていると,単元が終わった時に行う市販のテストでも,特別にテスト前の漢字練習などをしなくても,殆どの児童が漢字の部分では満点を取るようになります。
しかし,100%の児童がそんなに絵に描いたように,漢字得意君になるわけではありません。
どうしても苦手な児童はいるものです。
しかし,そこは実態に合わせて,少しでも覚えていれば,そちらを評価してあげられるゆとりを持って,決して漢字アレルギーにならない程度の励ましをしていけばいいのではないでしょうか。

ステップ9(オートマチック化)
できるだけ詳しく記録しようと思って書いている内に,長くなってしまいました。
一体ここまで本当に読んでいただける暇な方がおられるのでしょうか?
そういう不安を持ちつつ,もう少し続けます。

さて,以上の方法が児童の身についてくるには,短くて,1,2週間はかかると思います。
一応の形になるには1ヶ月かかるでしょう。
特に,児童が前に出てきて,書き順の説明をした後の,その字で「間違いやすいところ,気をつけるところ」をどこか一つ見つけて丸をするのは,時間のかかることがあります。
それでも,最初の内はとにかくどんどん,どんどん指示して,真似をさせていけば,それもできるようになります。
できれば,最初の参観日に見てもらいたいものです。(但し,その時は,親の前で恥をかかせないよう一人ひとりしっかり練習させておいてからにして下さい。)
4月の間,この学習法の定着に時間をかければ,その後の1年間は教師の手を離れて子どもたちだけで知的な学習が進んでいく,バラ色の漢字学習の時間がやってくる(!?)はずです。

最近は,この発展型として,「教師がいない時バージョン」というのを行うことがあります。
教師が出張や年休,急な用事で自習にしなければならない時の強力な助っ人になります。
つまり,この「新出漢字学習法」の完全なオートマチック化です。
補教に来られた先生がびっくりされます。
簡単にまとめておきます。

1,新しい単元の漢字ドリル20短文の読みチェック(各班)
2,新出漢字の板書(学習リーダー)
3,説明練習(各自)
4,ステップ4〜7
5,答え合わせと直し(交換)
6,次の10短文のテストと直し


これを,実際に「教師がいないと仮定して」やらせてみるのです。
もし,動きが止まるところがあればそこをはっきり指示しておくのです。
実際,一度急に朝用事で遅れることがあって,教頭先生に電話で「子どもにK・K式でやるようにと言ってもらえば自習できますから。」とだけ伝えたことがありました。

もし追試された方や,他の学習方法をお持ちの方がおられたら是非ご意見をお聞かせ下さい。
参考にさせていただきます。
よろしくお願いします。







国語ノート   戻る
 新出漢字の漢字練習には国語ノートを使います。本当は漢字練習帳を使いたいのですが,漢字練習帳は宿題等で教師の机上に提出してある時があり,それまでに点検して返しておかなければならなくなるからです。また,宿題で練習した場所に点検の丸をするのに,授業で練習した場所と見分けをするのに,ちょっとした時間がかかるからです。
 国語ノートに漢字の練習をしていく時は,本文にも書いているように,ノートの最後のページの左上から下に書いていきます。こうすると,書いた字の上に手を置くことがなく手が黒くならないのです。また,ノートの途中にそのまま書いていくと,ノートの整理上まとまりがなくなるからです。

















漢字テストノート  戻る  
 漢字テストに1枚ずつのプリントを使うと,後の整理に困ります。また,テスト用に読みと(  )を刷ったプリントを用意するのも時間と労力がいります。
 そこで,漢字テスト用のノートを1冊つくります。1回に10短文でテストをする場合なら,10行のノートがいいと思います。大学ノートの大きさなら,真ん中に1本線を引いて,上下に分けると,見開きで4回のテストができるようになります。
 しかし,同じページにテストをしていくと,前回の答えが丸見えになってしまうので,見開きのページのうち,右上の10行だけを使ってテストをしていきます。次の日テストをする時は,次のページを開いて,また右上だけを使ってテストをします。
 そして,最後のページにいったら,最初に戻って,今度は左上だけを使って最後のページまでテスト,次は右下だけというようにしていきます。
 また,ノートの真ん中に全部線を引かせていく作業をさせることは,定規を使って線を引くという学習の基本的な能力を培うことにもなり,算数等でも生きてきます。













ゾンビチェック   戻る 
 ゾンビチェックとは,漢字ドリルの漢字交じり20短文の読みができるかどうかの点検法の一つです。
 以前は,一人ずつ起立させて読ませていったり,班ごとや,隣同士で点検をしたりしていました。これにもう少し,ゲーム感覚と読もうとする意欲付けをしたいと思い取り入れた方法です。

 まず,全員起立させて(させなくてもいいですが,緊張感をもたせる必要がある場合は立たせた方がいいようです。)20短文が全部読めるように練習させます。全部読める自信のついた者から教師の所に来て,読みをチェックしてもらいます。
 この時の教師のチェックは,最初の内はちょっと厳しくして,正しく読んでいても,考えながら読んでいるようでは,途中で「はい,ストップ。もっとすらすら言えるよう,もう一度修行していらっしゃい。」と席に返して,しっかりと覚えさせます。最初に,教師が20短文をすごい速さで読んで聞かせて,イメージを持たせるのもいいと思います。すらすら言えるようになれば,次の日も覚えているはずです。

 そうして,合格できた子は,教師の隣にみんなの方を向いて立たせます。これで,読みのチェックができる者が2人になったわけです。次にやってくる子は,教師かその合格した子のどちらかの前に行ってチェックしてもらいます。その頃になると,どんどんやってくるので,2人の前に列ができるはずです。
 こうして,次に合格した子も前に立つようにします。

 子ども同士のチェックの仕方は,もし,読みが違った場合は,「ストップ,○番を確かめてきて下さい。」とか,言わせます。決して間違いを喜んで指摘することのないよう気をつける必要があると思います。合格した場合は大きな声で「合格!」とか「おめでとう!」とか言わせます。
 最初は列ができますが,合格した子が次々とチェックする側になっていくので,短時間で読みの確認ができるようになります。

 ここで気をつけるのは,
最後の一人が合格するまで待つようなひどいことはしない
ということです。
 中には漢字の苦手な子もいるはずです。苦手な子が目立たない内に,合格していない子がまだ2,3人いる時点で,早めに切り上げることも必要だと思います。後の2,3人が気になる場合は,休憩とかに別に聞いてあげるようにします。

 昔ホラー映画にゾンビというのがありました。死人が宇宙からの隕石か何かの影響で生き返り,生きた人の肉を食べるようになります。ゾンビに噛まれるとその人もゾンビになっていきます。その話をして,ゾンビチェックとは,読みの合格した人がゾンビになり,次々とゾンビを増やしていく読みのチェック方法なのだと説明します。
 きっと子どもたちはゲーム感覚で読みに本気になると思います。
















K・K式漢字学習法  戻る
 これは,別にK・K式でもK・J式でも何でもいいのです。勿論,只の「漢字学習法」でもいいのですが,何か重みというか,格式ばったそれなりの雰囲気のある名前を付けたいのです。
 ちょっとしたことですが,「何とか式」と頭につくと,それなりに有名で,学術的で,効果がいかにもありそうな感じを与えるものです。この学習法を聞くときの児童の関心が高まり,また安心感を与え,何となく本当に漢字がよく頭に入りそうな気分にさせたいと思っての命名です。これで勉強していくと良さそうだぞと思って学習すれば,よりその効果は高まるはずです。

 自己顕示欲の強い先生なら,自分のイニシャルをつけて,これは先生が今までの経験から編み出した大変効き目のある方法で,先生の名前がついてます。と,大袈裟に話してみられてはいかがでしょうか。(私,この方法でやってます。)

 ご自由に名前をつけてみて下さい。       















音読勝負  戻る
 これは,よくやられているのではないかと思います。
 二人組になり,教科書1ページずつの音読勝負をします。まずジャンケンして,勝った方が読んでいきます。途中で間違ったり,つまったり,句読点を無視したりしたら,聞いている方が,「ストップ」をかけます。そして交代して,同じように聞いてもらいます。ストップをかけられた子は,次に読むときは,また最初から読んでいきます。
 どちらかが1ページの最後までいけたら,その子の勝ち。で,そのページは,もう終わりにします。もう一人も合格するまで,とやっていくのは面白みがなくなります。どちらかが勝ったら,すぐ次のページに移ります。
 今度は,負けた子の方から始めます。

 また,感情を込めた読み方をさせたい時には,一人ずつ読ませて,教師が聞いていきますが,どこか一言でも気持ちがこもっていれば,そこでストップさせ,次の子に移ります。
 教師は,合格の印として,「はい」と一言言うだけにします。「はい」と言われたら,次の子が読む,というパターンをつくっておきます。

 最初のあたりは,「気持ちを込めて」と言っても,棒読みが続くかもしれません。どこかで,誰かが少しでも気持ちを込めようとしたところがあれば,すぐに「はい」と言います。できれば,一言言っただけですぐに「はい」と言うのが効果があります。必ずそこで笑いが起こります。すぐに「はい」と言われて合格できた子は得意そうにします。
 そして,その次の子からは,大袈裟な読み方をする子も出てくるはずです。


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