最近では備品として,小さなテレビカメラの付いた投影装置が入っている学校もあります。 そういう備品のある学校にお勤めの方はこのページはとばして下さい。 これは,今から7年前頃そういう便利で小さな機器が学校にはまだあまり入っていなかった頃のお話です。 |
昔々,あるところに,算数の計算をどうにかして速くできるようにさせたいと思っていた先生がおったそうな。 その先生,いつもは子どもに,縦10マス横10マスに数字の入った百マス計算表プリント(岸本さんの「落ちこぼれをなくす研究会」が出しているB4版の冊子が有名)を渡して,九九の計算や,加法,減法の練習をさせていた。 百問するのに,時間を計ってやれば子どもも本気でするだろうと, 「よーいどん。」 で始めさせ,百問できた子から, 「できました。」 と言わせ,その時の時間をストップウォッチを見ながら, 「何分何秒。」 と一人ずつ言っていた。 元来ものぐさなこの先生,いちいち一人ずつ時間を言わなくてもいい方法はないものかと,無い知恵を振り絞った。 そこで,あの陸上競技で使われるでかい電光掲示板にタイムが表示されるやつを買えばいいと思いついた。 さっそく教材機器カタログを見ると,目ん玉が飛び出るほどの値段! 学校に言っても相手にもされない。 そこで,ビデオカメラを使うことにした。 その当時は,ビデオカメラがどんどん進歩していて,最初は,ベーター方式のカセットをそのまま入れて撮るだけの大きなビデオカメラが29万円ぐらいで出ていたが,やがてVHS方式の肩にデッキだけ担ぎ,それにコードをつないだ小さいカメラで撮る方式の機械が現れる。 それから,8ミリの小さいカセットを使った,録画も再生も小さなカメラ1つで出来るような優れ物が出てくる。 学校には,その進歩に合わせたように,2台のビデオカメラが倉庫に眠っていた。 そこで,その中の古い方を,これはもう誰も絶対使わないだろうということで,教室に持って上がって,真下を撮るように支柱に取り付けた。 普通のタイムカウンターを置き,それをテレビにつないだカメラで撮る。 すると,テレビにはカウンターの数字が大きく映し出されたではないか! それからというもの,ものぐさ先生は, 「よーいどん。」 と言った後,カメラとテレビをつけておくだけで良かった。 しかも,この時以外にも,資料や写真の提示にも重宝しておったそうな。 今は昔のお話でございました。 めでたし,めでたし。 |