授業記録
まず,氷を入れたコップに水を注ぎます。
しばらくして,コップの周りに水滴がついてから,発問します。
発問1:「コップの周りに水がついたのは,なぜですか。」
挙手で答えさせます。・・・(水蒸気が冷やされて水になる。)
発問2:「コップの周りを拭いたら,また水がつくと思いますか。つくと思う人は○,もうつかないと思う人は×を紙に大きく書きなさい。」
全員の記入を確認して,実際に拭いてから結果を確かめます。・・・(やはり,水蒸気が冷えて水がつく。○)
指示1:「では,その水蒸気を作ってみましょう。アルコールランプに火をつけようと思う人。」
授業直前まで三角フラスコの水を沸騰させておきます。
その三角フラスコに先の細くなったガラス管を差したゴム栓をつけて,三脚の上に置いておきます。
児童一人にランプに火をつけさせます。
火のつけかたに問題がある場合は,正しくできる子が出るまで,何回か次々と指名していきます。
直前まで沸騰していた水を熱するので,すぐ沸騰を始めます。
発問3:「水がこのようにわきたつことを何と言いますか。紙に書きなさい。」・・・(沸騰)
発問4:「水が沸騰するのは,約何度ですか。紙に書きなさい。」・・・(約100度)
発問5:「このように水が水蒸気になることを何と言いますか。紙に書きなさい。」・・・(蒸発)
この場面で,大爆笑が起こりました。
その時の様子を会話で再現してみます。
T:「水が水蒸気になることを何と言いますか。紙に書きなさい。」
(児童が用紙に答えを書く)
T:「はい,全員書けましたね。大体同じ答えになっているようです。
水が水蒸気になることを『蒸発』と言いますね。
えー,一人,面白い答えの人がいました。
『発じょう気』!!
(ここで爆笑が起こりました。
この子のお父さんはちゃんとその答えを見られていて,
一緒に大笑いされていました。)
えー,多分,蒸発と水蒸気がまぜこぜになったんでしょうね。
ありがとうございます。
これ,これから水蒸気の勉強をする度に使わせてもらいます。」 |
発問6:「水は,沸騰するまで蒸発はしない。○か×か。」・・・(×)
説明:「水は,あたたかくなると,段々蒸発していきます。コップの水も置いておくと,段々減っていきますね。」
発問7:「水蒸気を冷やすと水になります。では,水を冷やすと,何になるでしょう。」・・・(氷)
これは,もう,一々紙に答えを書かせずに挙手をさせて,直接一人に答えさせました。
発問8:「では,氷がとけると何になるでしょう。」・・・(水)
これも,挙手で答えさせます。
このあたりは,早く済ませます。
発問9:「そう,氷がとけると,水になります。では,雪がとけると何になるでしょう。」
子どもたちはすぐに,これも,「水になる。」と言います。
T:「残念,雪がとけると春になります。」
と,まあ,お約束のおとぼけをかまします。
(しかし,これでもちゃんと親に受けます。)
ここまでで,板書はこのようになっています。
「固体」「液体」等についても,全員で言わせたりして,確認していきます。
発問10:「固体は温めると液体になります。では,角砂糖を熱すると,液体になるでしょうか。なると思う人は,○,ならないと思う人は,×を書きなさい。」
実験1:スプーンに角砂糖を乗せ,アルコールランプで熱する。・・・○
説明:「固体は,温めると液体になります。では次に,液体を気体にする実験をしてみます。液体を少し入れたナイロン袋にお湯をかけてみます。さて,どうなるでしょうか。」
実験2:ナイロン袋(アルコールを少量入れて,空気を抜いて口をくくったもの)をバットの中に入れ,それにポットからできるだけ熱い湯をかける。(沸騰しているような温度が成功の秘訣)→ナイロン袋が大きく膨らむ。
発問11:「なぜ膨らんだのでしょう。」
事前に,「次に,液体を気体にする実験をしてみます。」と言っているにもかかわらず,正解はなかなか出ないかもしれません。
もし,すぐ出てきそうなクラスの実態であれば,事前に何も言わずにすぐ実験をして見せ,「なぜ膨らんだの?」と聞いた方がいいかもしれません。
説明:「これは,ナイロン袋の中の液体がポットのお湯の温度で温められて,気体になったからです。例えば,水は温められて水蒸気になると,体積が約1700倍にも増えるのです。」
本当は,ナイロン袋の中に水を入れて温めるといいのですが,これでは,あまり膨らまないのです。
アルコールのような蒸発しやすい液体だと,急激に膨らみ,その変化をはっきり観察することができます。
だから,上の説明でも微妙に「例えば」等,ナイロン袋の中が水とは,はっきり言っていません。
ちょっとインチキ臭いですか。
もし,気になるようでしたら,はっきり「この実験では,中にアルコールが入っている。」と言ってあげて下さい。
説明:「では,次は逆に,水蒸気を水にする実験をしてみましょう。」
実験3:空の一斗缶に高い温度のポットの湯を適当に入れ(1/10ぐらい),わざとらしく「ワン,ツー,スリー。」等カウントしてから,ほとんど全部中の湯を捨てます。そして,すぐにしっかり蓋をします。(カチッとはまる蓋のついた一斗缶を用意しておいて下さい。)そのままでも面白い変化が見られるのですが,早く急激な変化を見たい時は,それを洗い桶の様な大きな入れ物の中に入れ,上から水をかけて冷やします。すると,ベコン!,ベコン!とつぶれていくはずです。(もし,この実験を本当にやられる場合は,必ず一斗缶を2個用意して,1つの方で事前にやってみておいてください。湯の温度や,入れ方,捨て方,蓋の仕方に慣れておかれた方がいいと思います。)
発問12:「なぜ,この缶は,つぶれたのでしょう。」
これも,事前に「水蒸気を水にする実験をしてみましょう。」と言っていても,なかなかはっきりした理由は出ないはずです。
また,それを見越して,事前にわざと「水蒸気を水にする実験をしてみましょう。」とヒントを言うことにしています。
説明:「一斗缶の中に湯を入れて,捨てた時に,一斗缶の中には水蒸気がいっぱい残されました。その水蒸気が缶にかけられた水で冷やされて水,固体になったのです。すると,さっきの反対で,今度は,体積が約1/1700に減ることになります。それで,ベコンとつぶれちゃったんですね。」
ここまでで,板書は次のようになります。
「4℃」「1.1倍」等は,親用に「因みに・・・」という感じで,説明してもいいと思います。
以上で,ほとんど「もののあたたまりかた」のまとめの授業は終わることになります。
この後,最後にこの「ベコン」実験をもっと手軽に子どもの机の上ですることにします。
つまり,一斗缶の代わりにペットボトルを使うのです。
ペットボトルに適当に熱い湯を入れ,すぐに捨てます。
そして,すぐ蓋をし,班に1つずつくらい配っていきます。
ペットボトルは,炭酸飲料の入っていた容器の方がへこみ方が急で,大きな音がして,迫力があります。
水をかけずに放っておいても,しばらくするとバコッとつぶれて,飛ぶようにして倒れることもあります。
あまり近くで見ていると,大きな音にびっくりして,後ろに転んだりするかもしれませんので,注意してください。
参観されている家の方の近くにも,いくつか置いてあげると面白いと思います。
最後に,
「なぜペットボトルがへこんだのか理由が言える人?」
と子どもに聞くと,あまり手が挙がらないかもしれません。
そこで,
「難しいね。今日帰って,家の人とまた話してみましょう。」
ぐらいで終わってはいかがでしょうか。
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