季節風とくらし
(5年生)

 5年生の社会で「国土」について学習します。
 その中で
「日本の季節がはっきりちがうのは季節風と関係がある」
ということを学習する場面があります。教科書(大阪書籍)では次のような記述と挿絵があります。

 冬には,ユーラシア大陸から冷たい北西季節風が日本海をわたってふいてきます。このときにあたたかい海の流れのえいきょうを受け,空気が水分をたくさんふくみます。この風が山地にあたって,日本海側に多くの雪をふらせます。そのころ,太平洋側では晴れた日が続きます。
 夏になると,太平洋上の高温でしめった空気が南東季節風となって,日本にふいてきます。そのため,太平洋側では,雨がたくさんふり,むし暑い日が続きます。
季節風

 初めてこの部分を見た時,思わずウ〜ンとうなってしまいました。
 確かに分かりやすい説明図と簡潔な説明文です。しかしこの図を指し示しながら言葉だけの説明をするのは,あまりにも無味乾燥な授業になりそうな予感がしました。
 
 そこで,ある年は黒板に日本地図を大きくかき,その真ん中に山の代わりに画用紙を三角形におったものを貼り付け「ユーラシア大陸からの風がこの山にあたると・・・」と説明したこともありました。
 今年はこれをバージョンアップして行い,大変楽しく「季節風」の授業ができたように思います。その様子を紹介します。


(準備物) 四季の写真,画用紙,山の写真,日本地図(掛け図),紙吹雪,うちわ

(板書)
四季のある日本の気候

 題名をノートに写した後,全員に四季の様子を印刷したプリント(教科書の写真をスキャナーで読み込んだもの)を配り,ノートに貼らせます。


 日本では四季がはっきりしていることが気候の特色であることを確認します。
 次に黒板に日本全図の掛け図を掛け,次のような問いをします。
(発問1)「日本には冬と夏は違う方向から風が吹いてきます。この風を季節風といい,日本の季節のちがいに関係しています。それぞれどちらから吹いてくると思いますか?」

 全員に自分の予想を持たせ(黒板に簡単な日本の形をかき,それに自分の考えを矢印で書かせ)た後,「ユーラシア大陸」「日本海」「太平洋」「北西」「南東」等の言葉の説明,確認をしながら風の向きを教えます。
 「では,この風が日本にどんな影響を与えるか実際に風を送って考えてみましょう。」
と,日本の掛け図を床に広げます。


(発問2)「日本の国土の特徴は?」
 前時まで何回か地形図を見ながら白地図に山地,山脈,高地,平野,川の書き込みをしてきているので,
「山地が多い。」
という反応が返ってきました。
 そこで,
「そう,山地が多いね。」
と言いながら,三角形に折った画用紙に山の写真(スキャナー→拡大プリント)を貼り付けたものを日本の真ん中に置きます。


「では冬の季節風を送ってみましょう。」
と,紙吹雪をユーラシア大陸側からうちわであおいで送ります。


 紙吹雪を送りながら,
「北西季節風が日本海をわたって」
「空気が水分をたくさんふくみ」
「山地にあたって」
「日本海側に多くの雪」
「太平洋側では晴れた日」
等の説明をしていきます。

 子どもたちは大変興味を持って学習できました。そしてこの後初めて教科書を開いて一番上で紹介している説明文を読ませると,いくらかイメージのはっきりした理解ができたように思います。