大仏と大仏殿
(6年生)

 奈良時代の学習に入ると,まず現れるのが「奈良の大仏」です。「大仏」を通して,当時の世の中の様子や作らせた者の考え,人々の苦労等の学習をしていきます。
 ここではその学習に入る導入部分の一例を紹介します。

(準備物) 大仏の写真,東大寺大仏殿の写真

(展開
 教科書は閉じさせておきます。
 授業の最初はいつも前時の復習問題から始めます。この時は「大化の改新」についての問いを出します。(人物,内容,当時の様子等)
 復習問題の後,大仏の写真を提示します。

発問1「これは何か知っていますか。」

 たぶん,「見たことがある」「奈良の大仏」等の答えが聞かれるはずです。全く出ない場合は,教師から簡単な(「奈良にあるとても大きな仏像」程度の)説明をします。ノリやすいクラスの場合は,ここで
「さて問題です。仏像と銅像がけんかをしたらどちらが勝つでしょうか?」
などというクラシックななぞなぞを出します。

 次に大仏殿の写真を大仏の隣に提示します。

発問2「ではこれは何という建物でしょう。」

 子どもの中には歴史に興味を持って教科書や資料集を先に読んでいる子もいるので,これも答える子がいるはずです。それらの答えに加えて,この大仏殿に大仏が入っていることをはっきりさせます。

指示1「大仏と同じ姿勢をしてみましょう。」

 子どもたちにいすの上や床の上にあぐらを組ませて,手の形の真似をさせます。(中指を少し曲げていることにも意味があります。このあたりは後の調べ学習や修学旅行での質問内容の一つに入れることもできます。)

発問3「さて,この大仏と大仏殿はどちらが高いでしょう。」

 素直な子はすぐ「大仏殿」と答えるはずです。「なぜ?」と聞くと「だって大仏は大仏殿の中に入っているんだから。」と言います。もし,「大仏の方が高い。」と言う子がいたら,その理由を聞きます。その中に,

「大仏は座っているから大仏殿の中に入っている。もし大仏が立ったら,大仏の方が高くなる。」

という意見があったら,正解にします。

指示2「そうです。大仏は座っているから大仏殿より低いんですね。だから立ったら大仏殿より高い。・・・・かもしれない。でもちょっと待って下さいよ。ひょっとしたら,仏像が立っても大仏殿の方が高いということも考えられます。そこで,これから「大仏」と「東大寺大仏殿」についてそれぞれできるだけ詳しく調べてノートにまとめていきましょう。その中で大仏と大仏殿の高さも分かってくるかもしれません。もし分かったら,大仏の高さは座高の高さだからそれを2倍して立った時の身長として,大仏殿の高さと比べてみましょう。では調査開始。」

 これで奈良時代の導入は終わりです。調べ学習に入る前に「立った大仏」と「大仏殿」はどちらが高いと思うか予想を立てさせておくと,より意欲的になるかもしれません。
 また高さだけに固執するのでなく,できるだけたくさんの情報を集めて,新しい問題を自分でつくることも目的にさせると調べ方が広がると思います。