資料の読み取りが難しい子は,目の前に参考資料があってもそれに気づくことができないことがあります。「書いてある言葉」が記号のように広がっていて,その一つひとつの意味まで理解しようとする習慣ができていないように思われます。「ここに書いてあるでしょ。」と言われて初めて「ああ,これか。」と急に霧が晴れるように認識できるようになることもあります。 資料,説明文を見る時は一つひとつの言葉,図,写真の意味を自分の中に落としていく,それなりの「探すための見方」をすることが必要です。 そういう習慣づくりの一環として社会の授業の中で時々クイズ形式で資料読み取り問題を出すことがあります。資料の細部まで注意深く読もうとするようになる手立てと考えています。問題の出し方によっては子どもも興味を持って楽しく学習できます。 実際の例として5年生の教科書からの問題の出し方を紹介します。 |
(教科書の見開き2ページを指定して)
今までは赤ボールペンを使って大事だと思う所に線を引かせていましたが,最近は,ある活動で全員がご褒美にもらった蛍光ペンを使用しています。 「重要語句に蛍光ペンで印をつける」ということを経験したことがない子もいます。また,やってみれば分かりますが,「大事だと思う所に赤線を引いて」と言うと,何人かはずーっと長ーくほとんどの文に線を引いて教科書が真っ赤になるような子もいます。ポイントになる言葉を絞り,短く印をつけ能率的に知識を身に付けていくような経験をさせることは,これから先,独学をしていく上での技能習得としても意味があるように思います。 線の引き方も指導しながら,3分後に教科書を伏せさせてから問題を出します。例えば,「これからの食料生産」のページでは
等の質問をしていきます。子どもたちには分かったら,「ピンポーン」とか「はい」とか言いながら自分の机を軽く叩いてから手を挙げさせています。時には誰も分からなかったり,分かる子が少ないような問題もあります。そんな時でもどんどん次の問題に進んでいきます。一人しか答えられないような問題ではその子を何回でも指名して,その数をポイント数として知らせながら偉い偉いとほめながら進めていきます。そして一応最後の問題まで終わってから,
と告げます。今度は問題が分かっていますから,焦点化した読み取りができるはずです。そして,2回目は問題をコロッと変えたりすると,にぎやかなブーイングの中でいくらか元気の出る「シャカイの授業」になることもあります。 2回目でも分かる子が少ない場合は3回目をすることもあります。全員が答えられるようになったら,次にそのページの中にある写真資料やグラフの中からできるだけ細かい部分を探して問題を出します。
最後の質問から,バイオファームではバイ菌が入らないように気をつけていることを考えていくことができます。 こういう問題を出すと,最初は「えー!写真は見てないよー!」などの声も聞かれることがあります。そういう時「先生は,端から端までよーく見ておいて下さい,と言いましたね。」と答えます。 子どもの実態によってはどんどん細かい問題を出していくほど盛り上がるかもしれません。要は子どもたちが資料を見る時の「目」に獲物を探すような雰囲気を持たせたいのです。 |