人権学習3つ目は, 傍観することの差別性について考えます。 対象は高学年です。 |
(1枚目) 「 」 オセーエワ 作 西郷 竹彦 訳 一ぴきの犬が,体をまえにかがめて,はげしくほえたてています。そのすぐはなさきに,かきねにぴたりと体をよせて,一ぴきの小ねこが,毛をさかだててふるえています。かーっと口をあけ,ニャーオ,ニャーオとないています。すぐそばに,ふたりの男の子がたって,どうなることかとみていました。 まどから,それをのぞいていた女の人が,とぶようにして,かいだんからかけおりてきました。女の人は,犬をおっぱらうと,男の子たちをしかりつけました。 |
(2枚目) 「あんたたち,はずかしくないの!」 「どうして,はずかしいの?ぼくたち, !」 男の子たちは,びっくりしたように,いいました。 「だから,わるいのですよ!」 女の人は,まっかにおこっていいました。 |
有名な作品です。 これを上のように2枚に分け,題名と途中の1カ所を空白にしてプリントしておきます。 まず,資料を配らずに,1枚目の内容(場面の状況)を問答しながら話していきます。これが,あの「フィンガーボール」から得た教訓です。つまり,状況の把握を確実に行う手だてを施します。 |
(資料を配る前に) 書き出しの1文 「一ぴきの犬が,体をまえにかがめて,はげしくほえたてています。」 を読む。 「なぜ,犬は吠えているのでしょう。」(児童の意見を聞く。以下同じ。) 次の1文 「そのすぐはなさきに,かきねにぴたりと体をよせて,一ぴきの小ねこが,毛をさかだててふるえています。」 を読む。 「ふるえているのは,寒いからですね?」 「このとき,小ねこは口を開いているでしょうか,閉じているでしょうか。」 次の1文 「かーっと口をあけ,ニャーオ,ニャーオとないています。」 を読む。 「その近くに誰かいます。誰だと思う?何人?」 「その男の子たちはどうしていると思いますか?」 次の1文 「すぐそばに,ふたりの男の子がたって,どうなることかとみていました。」 を読む。 「それを見ていた女の人がいました。その人はどうしたでしょう。」 ここで,1枚目の資料を配り,読む。 「この女の人はどう言ってしかったでしょう。また,それに対して男の子たちは何と言ったでしょう。プリントに(女の人),(男の子),と書いて自分の予想をかきましょう。」 2枚目を配り,読む。(「ぼくたち,」の後を消しておく。) 「なぜ,男の子たちはびっくりしているのでしょう?」 (実際に出された児童の意見) ・注意されないと思っていたから。 ・こらっと怒られるかと思ったら,「恥ずかしくないの」と言われたから。 「女の人は,何がはずかしいことと思っているのでしょう。」 「ぼくたち,」の後に続く言葉を考えて,プリントに書き込みましょう。」(なにもしていないよ。) 「『だから,わるいのですよ!』と女の人が言っているのは,何だから悪いと言っているのでしょう。プリントに『〜から,わるい。』と書きましょう。 「この話の題名は何だと思いますか。一言でこの話をまとめるとすると,どんな言葉がよいと思うかプリントの最初に書きましょう。」(だから,わるい) 「この話は,やっぱり小ねこを助けなければいけないということだけが言いたいのでしょうか。この話を読んで,自分の考えたことを書きましょう。」 |