塾の先生へ

 最近,塾の先生からHPについての温かい評価と共に漢字や書写の指導の場で「学習意欲を持たせるような話」等についての相談メールをいただきました。(Nさんありがとうございました!)
 それに対する私なりの考えをメールでお答えしたのですが,その私の返信メールの一部を紹介します。
 HPを見て下さってありがとうございます。このような感想メールを送ってくださる方のおかげで,またHPを更新していく元気が出てきます。

 さて,漢字・ひらがな についてですが,塾の場合でしたら,堅苦しい学校と違って自由に様々な方法で定着を目指していけるのではないでしょうか。また学校では,「漢字を学習する意味」等についてのお話もすることがあるかもしれませんが,塾という場所では,そういうお話が必要かどうか私にはよく分かりません。ただ学校でもやっているようなことだけでは,塾としての魅力,可能性を使い切っていないことになるような気がします。

 もし私が塾に勤めているとしたら,話などせずすぐ学習に入ります。「先生の話」でも書いていましたように,私は朝のお話がそれほど必要だとは思っていません。週番としてどうしてもしなければならないので,苦し紛れにしていたのが本当です。

 すぐに学習に入るといっても相手は小さな子どもですから,ゲーム的なものでどんどん漢字にかかわる問題等を出していきます。最初はすごく簡単な問題で,必ず全員がすぐ分かるようなものから始めます。それをどんどん出していくわけです。なぜ漢字を勉強するのかなんて考える間もないぐらいの勢いで,子どもと先生とで盛り上がっていけたらいいなと思います。
 
 漢字の学習で大切なのは,まず何より「読める」ことだと思います。そこで,簡単な漢字交じりの短文を10ぐらいずつプリントしておき,それをできるだけ速いスピードで全部読めるようにします。考えて読んでいるような子は,すぐに忘れてしまいますね。そこで,これをゲーム感覚で行わせます。全部読める子から,教師の所に来させ,教師はストップウォッチを持っていて,全部読めるまでの時間を計ります。その時間がある時間(前もって教師で計ってみて基準を決めておきます)以内だったら合格,ということにします。

 そして,事前に子ども一人ひとりに「レベルアップカード」というような表を配っておき,合格するたびに1ポイントずつそのカードの表に印をつけていきます。そして,10ポイント貯まると例えばポケモンシールを1枚ゲットできるシステムにしておきます。このあたり,公教育ではなかなか問題を指摘されるかもしれないところですが,生き残りをかけた教育産業の世界では当然のように行われているシステムですね。

 ゲームとしては,漢字の書き順リレーも考えられます。子どもをいくつかのチームに分け,教師の言った漢字(例えば,教師が「かんがえる」と言うと,子どもは,黒板に,「考える」と送りがなもつけて書く)を各チームから一人ずつ出てきて,黒板に1画ずつ書いていきます。出てくるのは,一人ずつですが,チームで相談してもいいことにします。そうしないと,ある子が間違った場合その子のせいになって,周りから責められることもあるかもしれないからです。そして,書き順も,字も正解したチームは,全員1ポイントアップということになります。

 また,簡単だけど,案外書き順に迷うような字を全員に書かせてみることもおもしろいと思います。例えば「上」とか「右」とか,「必」とかです。大きい子には,「飛」などもおもしろいと思います。ただ漢字を書くとか,ただ漢字を読むでは,大人でもいやになってきます。何かそこに目的をつくってやることで,本人も助かるように思います。

 ひらがなをきれいに書かせるとしたら,私だったら,「し」とか,「く」とか,単純な字を,2センチ四方ぐらいの大きなマスに1文字書き,その下に同じマスを10個ぐらいつけたプリントを用意し,そこに見本と同じ字を書かせていきます。できた子から持って来させ,見本と同じように書けた字に○をつけていきます。そして,その○が8つ以上の場合,合格ということにします。もし10個とも○をつけるぐらいきれいに書いた子がいたら全員にストップをかけ鉛筆を置かせ,前を見るよう言い,プリントを高く掲げ,「この人は全部に○がつきました。すごいです!今まで全部に○がついた人はいません。」というような大げさな評価を全員の前でします。当然そのためには,○の基準を厳しくしておきます。そして,合格した子は1ポイントアップの印をつけてやります。これもポケモンシールにつながります。こうして,全てのひらがなをすませていきます。次は2文字以上の言葉や,ことわざを写させていきます。

 30分や1時間の中身をできるだけ緊張感があり,集中できるようなものにしていきたいと思います。そのためには教師が1時間後にはぐったりするぐらい,次々とリズムよく盛り上げるようどんどんほめながら,感心しながら,びっくりしながらパフォーマンス豊かに演じていかなければならないと思います。そして教師が頑張るだけで子どもがシラケないよう,そこにシール,ポイントカード等の小物,仕掛けを上手に用意しておくことが必要だと思います。時には教師が一人あれこれ頑張るより,ちょっとしたポイント制等のシステムをつくりあげて,教師がラクをしている方が子どもが張り切るということもあります。
 
 長々と役に立たないことを書いてきたかもしれません。どうぞ塾でしかできない,またNさんしかできない方法で,楽しく「字」の学習をしていって下さい。応援しています。