割合
(5年生)

5年生で学習する割合は,その概念をつかませることが大きな課題になります。
例えば,「全体の何パーセント」という意味を,問題を解く度にはっきり意識させていくことが大切です。

グラフの読み取り場面で

 グラフの読み取りで次のような問題があります。

 下の図は,あき子さんの学校で,ある月にけがをした人数の割合を,場所別に調べて,グラフにしたものです。
 (教科書では帯グラフで提示され,目盛りだけがつけてあります。)
 運動場でけがをした人数の割合は,全体の46%です。中庭,体育館,ろうかの人数の割合は,それぞれ全体の何%にあたるでしょう。
    (啓林館 5年生)

 これは比較的簡単な部分の問題で,普通,子どもたちは帯グラフの目盛りを数えて,それぞれの割合を百分率で答えていくはずです。しかしその意味をはっきり分かっていない子がいるものです。

 実際の授業ではこの問題を2度読ませた後,次のような発問をしました。

発問1,この文の中にはいくつ問題があるでしょう。

 3つが正解ですが,中に「4つ」と言う子がいました。
 その中身を聞くと,「中庭」と「体育館」と「ろうか」と「全体の何%」の4つだと言うのです。

 まず,「それぞれ」という言葉の読み取りができない子がいるということです。

 そこで,その子に「それぞれ」の意味の説明をし,
「中庭,体育館,ろうかの人数の割合は,それぞれ全体の何%にあたるでしょう。」
とは,一つひとつ分けていくと,
「中庭でけがをした人数の割合は全体の人数の何%にあたるでしょう。」
という問題と,
「体育館でけがをした人数の割合は全体の人数の何%にあたるでしょう。」
という問題と,
「ろうかでけがをした人数の割合は全体の人数の何%にあたるでしょう。」
という問題になるということを実際に言い直させることで確認していきました。

 1つ目盛りを読めると,後はすぐにできるようになりますが,ここで「割合」の意味をしっかり言葉に出して再度確認していきます。つまり,
中庭(30%)
とノートに書いているだけでは本当に理解しているかどうか怪しいのです。
 ここで次の発問をします。

発問2,「中庭30%」とはどういう意味でしょう。

「意味」の説明であり,「割合」の概念の習得の場面ですから,
「中庭でけがをした人数の割合が30%だということです。」
では不合格にします。ここでは,
「中庭でけがをした人数の割合は,全体の人数の0.3倍だということです。」
と説明するのだと指導していきます。

 そして,どんな場面でも%のつく問題は全て小数に直して書き込み,読みかえるクセをつけさせていきます。