組み分け帽子

 高学年になるにつれて,「算数」に対する苦手意識を持つようになる子がいます。実際,数学的な思考にはどうしても個人差が表れます。
 しかし,そういう子にもどうにかして「意欲的な思考」を促していきたいものです。はじめの一歩かもしれませんが,ちょっとした導入にもあらゆる方法で興味を持たせたいものです。

整数の見方で

 5年生の算数で,「奇数,偶数」を学習します。啓林館の教科書では番号によって赤組と白組に分けていき,その数の集まりの特性から奇数,偶数の定義に導いていきます。
 
 この「番号によって組み分けをする」という導入の場面で,あのハリーポッターに出てきた「組み分け帽子」を導入教具として利用します。
 これは実際に,魔法使いの帽子のような先の尖った黒い帽子を店から購入しても(○○ハンズあたりにはありそうに思います。)いいし,黒い布や画用紙クリックすると写真を表示します。)で作ることができるでしょう。またもっと手軽にネット等から「組み分け帽子」の写真を印刷し,それを大きな封筒に貼ることですませることもできます。その封筒は底を切り取って筒状にします。実物の帽子の場合は上の方にカードを入れる穴と後ろに指の入るような切り込みを入れておきます。そして,帽子の中に小さな袋を貼り付けて,帽子に入れたカードはそこに入るようにします。それから1から6までと11,12を書いた計8枚のカードと,赤と白のカード2枚を用意します。これで準備は終わりです。

 そして,これを使用する日は朝からその組み分け帽子を子どもに見せ,
「今日はこの組み分け帽子を使って算数の授業をします。」
とだけ伝え,期待感を膨らませておきます。

 実際の授業では次のように進めます。

「ドッジの試合をするのに赤組と白組にチームを分けることになりました。出席番号で組み分けをします。その組み分けをするのはこのハリーポッターの組み分け帽子さんです。出席番号を書いたカードをこの帽子の上から入れると,この2枚の赤と白のカードのうちどちらかが(と言って2枚の赤白カードを見せて)下に落ちてきます。(前の席の子に1から6まで書いたカードを渡し)さあ,どのカードでもいいから1つ選んで先生に渡して下さい。」

 教師は,帽子の中(帽子の後ろの切り込み)に指が入るようにして持ち,指の先で赤と白のカードの2枚のどちらでも落とせるようにして持っておきます。子どもから渡されたカードが奇数か偶数かで落とすカードの色を決めておきます。子どもから渡されたカードは帽子の中の袋に入れます。その後何度か帽子を振って決めた色のカードを下に落とします。
 黒板には

   赤組
   白組

と書いておき,1回ずつ組み分けされた方に番号を書いていきます。

 1から6までの組み分けがすんでから,

「では,この帽子に11番のカードを入れたら,組み分け帽子はどちらの組に決めるでしょうか。」
「12番はどうでしょう。」

と予想させ,その理由を言わせていきます。

 以上で「組み分け帽子」の働きは終了です。

 ここはとても簡単な場面で,分かる子にはすぐに分かるのですが,数に対する苦手意識を持っている子がいるような実態によっては,少しは興味を持てる支援ではないかと思います。
 他の場面でもこの「組み分け帽子」は,ブラックボックスとして利用できそうです。