見積もり
(6年生)

 ノートの答えを見ると,確かにそれらしいことは書いていても,それがなぜ答えなのかを説明できないということがあります。
 この「説明を確実にする」ということで,論理的な思考力を鍛えていくことができます。

 6年生で習う「積の見積もり」等は一見簡単な計算作業のように思えます。しかし,実は見通しをたてて,三段論法的に説明していかなければならない部分があり,論理的思考力を鍛える絶好の説明練習教材になります。

積のはんい

 例えば啓林館の6年生の教科書に次のような問題があります。

 次の計算で,積が1000より大きいのはどれでしょう。
  20×58   20×48   25×38

 この解答例としては
 
 20×58は20×50=1000より大きいから20×58は1000より大きい

といったような形が考えられます。
 しかし,こういう長い答え方ができる子は少ないし,このままを説明されてもよく分からない子がいそうです。

 そこで,答え方をもっと短く切って段階的にしていくよう指導します。
 例えば次のような答え方をノートに書くように指導します。

20×50=1000
20×58は20×50より大きい
だから20×58は1000より大きい

 これは,紙面への答えの書き方です。まずはこういう答え方ができるように例を示しながら練習をさせていきます。この時,三段論法的に数量関係を見通す思考力が鍛えられていきます。

 次にこの解答を人に説明することで,一層の理解,定着,表現能力の育成を図ります。

 実際には上のような解答を黒板に書かせ,人に自分の解答を説明する場面を設定します。「答えは書けてもその説明はできない」では本当の論理的思考力が育っているとは言えないし,説明しようとすることで更にレベルの高い理解をめざせるはずです。

 人に解答を説明する時はそれをそのまま読み上げるのではなく,説明する相手を意識した伝え方をするよう指導します。例えば次のような言葉を付け加えながら説明する習慣を身につけさせていきます。

私は,20×58は1000より大きくなると思います。
なぜかというと,
20×50は1000になるでしょう。(はい。)
20×58は20×50より大きくなりますね。(はい。)
だから20×58は1000より大きくなります。
どうですか。

 「説明」はノートに答えを書くだけより面倒臭くなります。しかし,「紙面への解答」と「人への説明」に使う言葉の使い分けや,説明時の問いかけのタイミング等を鍛えていくことで「思考力」というものを豊かにしていけるのではないかと,今取り組んでいるところです。