「ほめる」を2つに分けると,「おほめ言葉」と「感心言葉」に分かれると思います。 例えば,子どものある行動に対して,「おほめ言葉」とは,その子に 「賞状を渡す」 ような行為です。 それに対して,「感心言葉」とは,その子が賞状をもらっている時に後ろから聞こえてくる 「すげぇー。」 というような声です。 「おほめ言葉」は上から, 「感心言葉」は下から聞こえてくるイメージです。 ほめるのがうまい人は,この2つを上手に使っています。 本人は意識して使い分けてはいないのでしょうが,本当に心からほめて,心から感心したように伝えています。 そして,子どもの様々な行為をほめていく中に,特に「感心言葉」を意識的に入れていくと,ボディブローのように,徐々に効いてくるように思います。 「おほめ言葉」を意識しすぎると,演技力の乏しい私などは,大袈裟にほめて相手が白けてしまったり,「おだてても,その手には乗らないよ」というような顔に出合うことがあります。 しかし,「感心」されると,満更でもないといった表情を見せてくれます。 私が新採だった頃,見かけた光景で,今でも覚えている「感心言葉」があります。 理科の時間,あるクラスが学級園に出て,植物の観察をしていました。 その時,一人の子が観察をサボって,トカゲを追いかけて捕まえていたようでした。 それを見つけた先生は,すぐにその子を叱るのでなく, 「おう,よう捕まえたなー。」 と言われて(感心されて)いたのです。 多分その後それなりの注意もされていたのでしょうが,こんな先生だったら子どもたちも心の壁を低くするのではないかと思います。 こういう時の「感心言葉」は,その子に対して効果があるだけでなく,その場面を見ている周りの子どもたちに対しても効果があるように思います。 三省堂の国語辞典によると 「ほめる」とは,「(長所・りっぱな行い・努力した点などを認めて)良く言う。」 とあり, 「感心」とは,「(その行為を)驚きの気持ちでながめること。」 とあります。 「おう,よう捕まえたなー。」 も,いわゆる「ほめる」言葉ですが,ここには,言われた者の心をくすぐる芯があります。 そういう言葉を特に、「感心言葉」と勝手に定義しています。 口先で「良く言う」(ほめる)か,「驚きの気持ち」(感心)を小さな事に対しても本当に持って言うかで,同じ「ほめる」でも違ってくるように思います。 |