研究主題 「国際社会を主体的に生きる児童の育成」 −−−人や文化に交わり,自他のよさに気づき, 生きる力を育むコミュニケーション能力の育成をめざして−−− 主題設定の理由 国際化の進展が著しい現在,その状況に対応できる人間の育成は学校教育の中でも緊急で重要な課題になってきている。しかも,この国際理解教育を行うということは,21世紀の教育課題である「生きる力」の基となる資質の育成に大きくかかわってくると考えられる。それは,この学習の目的を「広い視野」「異文化の理解,尊重」「異文化の人々との協調,共生」「日本人として,個人としての自己の確立」「外国語能力の基礎」「コミュニケーション能力」等の育成を図ることであると捉えているからである。 外国語の代表として英語を取り上げ,会話を中心に学習していくことで,自国と外国の文化を背景とした表現方法の違いに気付くことができる。また,実際に外国の人と英会話による交流を体験していくことで,国際理解に必要な言語力と共に他の人とコミュニケーションを図ろうとする積極的な態度を養うことができる。特に日本人に欠けていると言われる,積極的なコミュニケーション能力の育成には,年齢の低い段階から実際に外国の人と英会話による交流を体験していく活動が効果的である。 研究開発学校による英会話学習に取り組んだ報告で共通するのは,「子どもの英語力は期待していたほど伸びなかったが,コミュニケーションを図ろうとする態度は確実に育まれた」「子どもが英語って面白い,コミュニケーションって楽しいと感じた」ということである。このコミュニケーションを図ろうとする積極的,主体的な態度こそ,国際社会を主体的に生きる基礎・基本の資質である。 また,国際理解とは外国を理解するということだけではない。まず自国についての理解を深めておくことが前提であり,基礎となる。国際理解のための一手段として英会話の学習に取り組みながら,一方では日本語や日本特有の文化の学習を深めていくことも大事にされなければならない。そして,外国について知ることで自国のよさに改めて気づくことにもなると思われる。 そこで,異文化に興味を持ち自国の文化と考え合わせながら調べ学習をし,英語を中心としたコミュニケーション活動を軸とした体験活動を行うことにより,「生きる力」を培っていけるものと考え,この主題を設定した。 |