実践発表後に討議が行われました。その中で
「コミュニケーション能力の育成とはどういうことと捉えているか」
というような質問がありました。その時は「その資質の育成」ということでいくらか答えたのですが,はっきりと自分の考えをまとめて言うことができませんでした。
今なら次のように答えます。
コミュニケーションの能力には大きく分けて3つの面があると考えられる。そしてその3つの面はある1つのことに包含されるように思う。
3つの面とは「発信する能力」と「受信する能力」,そして「発信や受信するに足るだけの内容を身につける能力」と考える。
例えば「発信する能力」としては「分かりやすく話す(または書く)」「その時,場,相手等に合った話し方をする」「要点をまとめて話す」「外国語や語彙も含んだ様々な言語知識を豊富に持っている」というような能力。
「受信する能力」とは「要点をつかむ」「理解しようと努める」「話しかけられやすい雰囲気を持つ」「言語知識を持っている」というような能力。
「発信や受信するに足るだけの内容を身につける能力」とは「人に伝えたいだけの考えや情報を持つ」「受信した内容を比較,分析,吟味できるだけの自分の中の観点,知識,見識を持つ」というような能力。
そして,この3つの能力はある1つのことに包含,規定されるのではないかと考える。その1つのこととは,「そもそも人とコミュニケーションを図ろうとする意思,意欲」である。
いくらコミュニケーションのための高い技能を持っていようと,それを使おうとしなければ役に立たないし,その深化,成長はない。そして社会生活を営む上で不利益を被ったり,支障をきたすことも考えられる。
よって,学校ではこの3つの能力を引き出し,鍛え,伸ばすことに取り組むと共に,まずはコミュニケーション活動を行うことが楽しいと感じる体験をしっかりさせ,またそういう活動が楽しそうだなと思わせる状況,雰囲気作りを意識していくことが「コミュニケーション能力の育成」につながるのではないかと考える。 |
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